「浅慮」の意味とは?類語や使い方、例文を紹介!
「浅慮」という言葉を聞いて、すぐに意味が分かる人は少ないでしょう。
正しい意味や使い方を知って、自分の語彙力を高めてみましょう。
目次
- 「浅慮」の意味とは?
- 「浅慮」の類語や言い換え
- 「浅慮」の使い方
- 「浅慮」の例文
- 「浅慮」の反対語や対義語
「浅慮」の意味とは?
「浅慮」とは「あさはかな考え」という意味になります。
文字を一つずつ取り出して詳しくみていきましょう。
まずは「浅」から。
「浅慮」という言葉において、「浅」は「あさはかな」という意味になります。
考えが足りないさまや深みがなく、あっさりしている様子、軽々しい様子を表しています。
「浅」はあまり物事を深く考えずに、簡単に考える人を指しています。
次に「慮」の意味について考えていきましょう。
「浅慮」における「慮」は、「考え」という意味になります。
よく使われる言葉として「思慮深い」(しりょぶかい)などの言葉がありますが、これは「ノリや勢いで判断せずに、物事を深く考えていること」を意味しています。
このように「慮」は「考え方」を意味する言葉となります。
この「浅」と「慮」を組み合わせた言葉が「浅慮」となります。
一般的にどのような人が「浅慮」というのか具体例を挙げてみましょう。
- 今が良ければそれでいい(将来のことまで考えていない)
- ノリや勢いで物事を判断しやすい
- パッと思いつきで話しやすい
- この行動を起こしたら結果がこうなるという、先が見えていない行動をおこす
「浅慮」な人の特徴をざっと挙げてみましたが、自分にもあてはまりそうだと感じた人はいるでしょうか。
もし、感じたのなら、あなたは「浅慮」な人かもしれません。
「浅慮」な人だなどと思われたくなければ、思いつきで話したり、軽々しいことは口に出さないようにしましょう。
- 「浅慮」の読み方
「浅慮」の読み方
「浅慮」は「せんりょ」と読みます。
「浅」の字を「せん」と読む読み方としては、他に浅い海を表す「浅海」(せんかい)、知識が乏しい様子を表す「浅学」(せんがく)、あさはかな知恵のことを「浅才」(せんさい)などといいます。
どの字も「浅い」という意味があります。
「慮」の字を「りょ」と読む読み方しては、いろいろと思いめぐらせた考えを表す「思慮」(しりょ)、他人に対して言葉や行動を控えめにする「遠慮」(えんりょ)、あれこれと心を配ることを配慮(はいりょ)などといいます。
どの字にも「考えて行動を起こす様子」が伺えます。
「浅慮」の類語や言い換え
「浅慮」の類語や言い換えについてみていきましょう。
- 「短慮」【たんりょ】
- 「短絡的」【たんらくてき】
- 「軽率」【けいそつ】
「短慮」【たんりょ】
「短慮」には2つの意味があります。
一つは、「考えが浅はかなこと」「思慮が足りないこと」、もう一つは「気の短いこと」を表す意味です。
この意味のうち、「考えが浅はかなこと」「思慮が足りないこと」が「浅慮」の類語として考えることができます。
例文をいくつか挙げてみます。
「あの子が良かれと思ってやったことだが、少し短慮がすぎたようだ。」
(あの子が良かれと思ってやったことだが、少し考えがあさかったようだ)
「こういう軽率な人と行動を共にしていると、私まで短慮になりそうだ。」
(こういう軽率な人と行動を共にしていると、私まで考えがあさくなってしまいそうだ。)
「あの頭の良い人がこのような事態を招くなんて、短慮すぎるとしか言えない。」
(あの頭の良い人がこのような事態を招くなんて、考えが浅はかすぎるとしか言えない。)
「短絡的」【たんらくてき】
「短絡的」もまた「浅慮」の類語にあてはまります。
「短絡的」とは、「物事の本質や筋道を深く考えずに原因と結果などを性急に結び付けてしまう様子」を表しています。
例えば、何でも楽観視しやすい人や深く考えもせずに思うままの行動をとってしまう人などが「短絡的な人」として挙げることができます。
人の意見を聞いてよく考えることを怠ったり、予期せぬはトラブルまで考えが及んでいない人は「短絡的」な行動に走りやすくなるので注意しましょう。
例文をいくつか挙げてみます。
「最近、いつも帰りが遅いからといって、すぐに息子の夜遊びだと断定するのは短絡的すぎるだろう。」
(最近、いつも帰りが遅いからといって、すぐに息子の夜遊びだと断定するのはあまりにも浅い考えであろう。)
「有名大学を卒業しているから仕事もできると考えるのは、短絡的だよ。」
(有名大学を卒業しているから仕事もできると考えるのは、浅はかな考えだよ。」
「軽率」【けいそつ】
「軽率」とは、「注意深く物事を考えない」「すぐに決めたり、行動を起こすこと」という軽はずみな行動を表す言葉です。
意味をみると「浅慮」と類語であるといえるでしょう。
いい年の大人なのに酔っぱらって道端に寝っ転がっていたり、夜中に大声を出して公園で遊ぶなどモラルを疑われる行動をしてしまう人、もしくは既婚者なのに他の異性と不倫してしまう人などが、軽率な人として挙げられるでしょう。
良い意味の言葉ではありません。
例文をいくつか挙げてみます。
「あの人が軽率な行動をとる人だとは知っていたけど、ここまで馬鹿だったとは。」
(あの人が物事を深く考えない人だとは知っていたけど、ここまで馬鹿だったとは。)
「この子が軽率な行動をとるようになったのは、全てあなたの責任よ。」
(この子が軽はずみな行動をとるようになったのは、全てあなたの責任よ。)
「浅慮」の使い方
「浅慮」の意味が分かっても、どのように使うのかを知らなくては使うことができません。
どのように使えばいいのか、具体例とともに説明していきます。
まず、「浅慮」を使う場面は相手や自分などが「浅はかな考えだと感じたとき」です。
相手に向けて使うときは「相手を非難するとき」によく使われ、自分に向けて使うときは「謙遜して話す、へりくだった表現」として使うことが多いでしょう。
具体的に文章中に「浅慮」という言葉を使うときの、他の品詞との結びつきを挙げていきます。
浅慮を○○
「このような事態になって、自分の浅慮を悔いていることだろう。」
「父親の浅慮を後悔しています。」
浅慮な○○
「それは浅慮な考えです。」
浅慮で
「浅慮で物事を考えてはいけないよ。」
浅慮にも
「浅慮にもこのような思いで生きております。」
浅慮から
「あなたの浅慮からこのような事態が発生してしまった。」
何たる浅慮
「このような振る舞いをするとは、何たる浅慮。」
「何たる」は「なんという」の意味。
非難や詠嘆の気持ちを表現する言葉。
浅慮さ
「そういう行動に君の浅慮さが伺えるよ。」
「浅慮」の言葉を使った四字熟語を挙げてみます。
「浅慮遠望」(せんりょえんぼう)
この言葉は「よく考えもせずに先のことを見据えていること」を指しています。
「遠望」(えんぼう)とは遠くを眺めるという意味。
先のことを見据えるという意味になり、「浅慮」とセットになって表現されることがあります。
いくつか使い方について説明してきましたが、他にも様々な品詞と結びついて使われることがあります。
「浅慮」の例文
「浅慮」の例文を紹介します。
「浅慮」には自分に対して使うときと、相手に向けて使うときの2つのパターンがあるので、それぞれのパターンを例に紹介していきます。
- 「浅慮」の例文1
- 「浅慮」の例文2
「浅慮」の例文1
「君の浅慮な行動に、もううんざりしているよ。」
(君のあさはかな行動に、もううんざりしているよ。)
相手に向けて使うときのパターンです。
相手のことを「浅慮」だといい、非難している様子が伺えます。
「君」の「浅慮」な様子にうんざりし、もうかかわりたくないとする話し手の感情が伝わってきます。
また、相手に向けて使うときは「その行動は浅慮すぎるからやめておけ。」などと、相手に注意を促す場合にも用いられたりします。
この例文では、軽率に物事を考えて行動するなという注意を促す表現です。
相手が軽率に行動しないよう注意している様子が伺えます。
「浅慮」の例文2
「私の浅慮によるものですが、この方法が一番良いかと思います。」
(わたしの浅はかな考えによるものですが、この方法が一番良いかと思います。)
自分に対して使うときのパターンです。
自分の考えを「浅慮」といって、へりくだった様子、謙遜している様子が分かります。
控えめに自分の意見を主張したいとき、相手の心を傷つけないように慎重に自分の意見を主張したいときなどに用います。
他にも、自分に対して「浅慮」を使う時は、「私の浅慮な思いから」「私の浅慮ですが」「私の浅慮にも」など、様々な品詞とくっつけて使用することができます。
「浅慮」の反対語や対義語
「浅慮」の反対語や対義語を紹介します。
- 「深謀」【しんぼう】
- 「深慮」【しんりょ】
「深謀」【しんぼう】
「深謀」とは「深く考えた立てた計略」を意味します。
「深謀をめぐらす」などと使います。
突拍子に何の考えもなく行動する「浅慮」とは対になる言葉です。
「深謀」には「深謀遠慮」という熟語もあり、「遠い先の将来のことを見据えて、ありとあらゆる場合を想定し、綿密に計画を企てる」という意味があります。
「深謀遠慮のもくろみ」などと使います。
例文としては、「こんなにも計画がスムーズにいくとは。君の深謀には感服するよ。」
(こんなにも計画がスムーズにいくとは。君の深く考えた立てた計略には感服するよ。)
「あなたの策は素晴らしい。深謀遠慮な結果である。」
(あなたの策は素晴らしい。綿密に計画を企てた結果である。)
「深慮」【しんりょ】
「深慮」とは「深い考えをめぐらすこと」を表します。
これも「浅慮」と対になる言葉として挙げられるでしょう。
例文としては、「深慮のある彼だから、このような行動を起こしたのにはきっと訳があるはずだ。」
(深い考えで行動する彼だから、このような行動を起こしたのにはきっと訳があるはずだ。)
「まだ若いのに、ここまでの深慮を持つとはなかなかのものだ。」
(まだ若いのに、ここまでの深い考え方ができるとはなかなかのものだ。)などが挙げられます。
「浅慮」という言葉を知らなかった人も、これを機に使えるのではないでしょうか。
社会に出ると、このような難しい言葉を用いる場面もあります。
覚えておいて損はありません。
間違いのないように正しい使い方を覚えましょう。