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「五臓六腑に染み渡る」の意味とは?類語、敬語や例文、英語を紹介!

「五臓六腑に染み渡る」という表現を知っているでしょうか。

ここでは、「五臓六腑に染み渡る」という言葉の語源や意味について解説します。

五臓六腑に染み渡る

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「五臓六腑に染み渡る」の意味とは?類語、敬語や例文、英語を紹介!>


目次

  • 「五臓六腑に染み渡る」の意味とは?
  • 「五臓六腑に染み渡る」の類語や言い換え
  • 「五臓六腑に染み渡る」の読み方
  • 「五臓六腑」を使った例文や使い方
  • 「五臓六腑」について解説
  • 「五臓六腑」の役割
  • 「五臓六腑に染み渡る」の英語


「五臓六腑に染み渡る」の意味とは?

「五臓六腑に染み渡る」の意味とは?

美味しいものを飲んだ時など、「五臓六腑に染み渡る」という言い方をすることがありますよね。

「五臓六腑に染み渡る」というのは、「腹の底まで染み通ること」という意味を持ちます。

つまり、飲んだものなどが内臓全体に染み渡っていくように感じられるほど美味しい、渇望するものであった、などということを指す表現なのです。

お酒に関して用いられることが多いです。



「五臓六腑に染み渡る」の類語や言い換え

「五臓六腑に染み渡る」の類語や言い換え
  • 「動物の体の内部にある器官」
  • 内臓、臓器、五臓、腸、臓物など
  • 「感情と直感の中心」

「動物の体の内部にある器官」

1つの単語と言うわけではありませんが、五臓六腑と言うのは「動物の体の内部にある器官」と同じ意味になります。

内臓、臓器、五臓、腸、臓物など

このような表現の使い分けについて紹介しましたが、五臓六腑と言うのは一般的に内臓や臓器などと表現することもできます。

ちなみに、使い分けとしては内臓と言う表現は最も一般的に用いられており、臓器と言う場合は臓器移植など、一つ一つの器官を分けて表現する場合に使われます。

五臓六腑と言うのは西洋医学が入ってくる前の医学用語であり、あくまでも漢方医学の表現になります。

そしてはらわたと言うのは料理などで使われることが多いですが、「腸が煮えくり返る」と言う形で激しい怒りを堪えることができない様子、あるいは「腸がちぎれる思い」などのように悲しみや憤りを表すことが多いです。

臓物というのは鳥や獣、魚などに用いることが多いです。

「感情と直感の中心」

「五臓六腑」と言う表現は内臓を表す表現ですが、同時に「感情と直感の中心」と言う意味も持ち合わせています。

そのため、例えば胸筋や心胸、腹、魂、心、ハートなどと言う言葉が使われる場合もあります。

「五臓六腑」と言うとどうしても内臓を思い浮かべる人が多いことでしょう。

その一方で感情などをつかさどる器官を指すこともあると言うのは面白いですよね。

「五臓六腑に染み渡る」の読み方

「五臓六腑に染み渡る」の読み方

ちなみに「五臓六腑に染み渡る」と言うのは「ごぞうろっぷにしみわたる」と読みます。

名前の通り、5つの臓と6つの腑を指すからです。



「五臓六腑」を使った例文や使い方

「五臓六腑」を使った例文や使い方
  • 「五臓六腑」の例文1
  • 「五臓六腑」の例文2

「五臓六腑」の例文1

「このお酒は五臓六腑に染み渡るような美味しさがある」

先ほども述べた通り、「五臓六腑に染み渡る」という表現はお酒に関して使われることが多いです。

とても美味しいお酒などを飲んだ時に「五臓六腑に染み渡る」という言い方をすることが可能です。

とても喉が渇いている時など、飲んだものが全身に染み渡っていくような感覚を覚えたという経験を持つ人も多いのではないでしょうか。

そんな時に使うことができる表現です。

お酒に関して使われることが多いですが、お酒以外でも使うことができます。

「五臓六腑」の例文2

「あの人の発言は五臓六腑が煮えくり返るような怒りを感じた」

「五臓六腑に染み渡る」という表現は1つの慣用句ですが、「五臓六腑」というのは後程述べる通り、体の中の臓器などを指しています。

そのため、「五臓六腑」だけでも使用することが可能です。

5つの内臓と6つのはらわたが煮えくり返るほどの怒りを感じた、全身で怒りを感じた、などという表現をする時にこの「五臓六腑」という言葉を使うことができます。

「五臓六腑」について解説

「五臓六腑」について解説
  • 五臓六腑とはどこ?
  • 膵臓が含まれていない理由
  • 三焦について

五臓六腑とはどこ?

五臓六腑というのは伝統中国医学、つまり漢方において言われる5つの内臓と6つのはらわたを指します。

五臓は心臓、肝臓、肺臓、脾臓、腎臓、六腑は大腸、小腸、胃、胆、膀胱、三焦になります。

膵臓が含まれていない理由

五臓は精神や血気を貯蔵することを得意としており、六腑は水や食べ物を消化し、体液を動かすことを得意としています。

五臓には膵臓が含まれていません。

実は膵臓の「膵」「神経」という考え方はこの翻訳の過程で付け加えられたものであるため、この考え方は杉田玄白らがオランダからやってきた解剖書を翻訳する際、伝統医学で使用されていた言葉で当てはめたものであるため、西洋の医学とは全く違うのです。

西洋医学の膵臓は内臓を物質とみなしており、同じ「膵臓」でも西洋医学と東洋医学では同じものを指すわけではないのです。

三焦について

「五臓六腑」の六腑の1つである三焦は実態があるものではありません。

大腸、胃、小腸、胆、膀胱はその実態がありますが、三焦だけは形がないと考えられていることもあります。

しかし、これは実態はリンパ管を指しています。

リンパ管は全身にあり、全てを管理統括すると考えられています。

そのため、三焦とだけ考えると何のことかわからないと言うこともありますが、リンパ管を指すと考えればわかりやすいかもしれません。

「五臓六腑」の役割

「五臓六腑」の役割
  • 肝臓の役割
  • 心臓の役割
  • 脾臓の役割
  • 肺臓の役割
  • 腎臓の役割
  • 胆の役割
  • 小腸の役割
  • 胃の役割
  • 大腸の役割
  • 膀胱の役割
  • 三焦の役割

肝臓の役割

肝臓は魂を宿すと考えられています。

判断力や計画性などの精神活動をコントロールしており、「将軍の官」と呼ばれることもあります。

筋肉を司り、さらに爪を作り出します。

目をコントロールしているため、肝臓が悪くなってしまうと目に影響が出たり、逆に目に影響が出れば肝臓の機能が低下します。

邪気を防ぐとも言われています。

心臓の役割

心臓は神を宿すと考えられており、近くや記憶、思考や意識、判断などの精神活動を行います。

「君主の官」と呼ばれており、血流をコントロールしています。

薬を介して全身に血を行き渡らせ、体の器官の活動を支えています。

舌に影響を与えており、舌に問題が出ると心臓の機能が低下し、また心臓の機能が低下すれば舌に影響が出ると考えられています。

脾臓の役割

営を宿すと考えられており、消化や血液などを全身に送る運化を行っています。

消化や九州をコントロールし、吸収したものを背に送ると言う大切な作用をつかさどっています。

口に問題が出れば秘蔵の機能が低下すると考えられており、逆に秘蔵の機能が低下すれば口にも影響があると考えられています。

意識や知識を宿し、血流を良くするための動きを大切にしています。

肺臓の役割

気を司り、呼吸をコントロールしています。

呼吸によって体内の悪いところを吐き出し、良いものを吸収します。

秘蔵の働きによって運ばれた栄養を全身に行き渡らせ、鼻と相互作用を有しています。

腎臓の役割

精を宿し、成長や発育、そして老化や生殖などをつかさどっています。

水をコントロールしており、水分代謝を大切にしています。

骨を作り、呼吸を行います。

膝や腰にも影響を与えていると考えられています。

胆の役割

胆は決断や勇気をコントロールし、胆汁を有しています。

「中正の官」と呼ばれています。

小腸の役割

胃から送られてきた食べ物等のカスを受け取り、それをさらに消化します。

澄んだものと濁ったものに分け、澄んだものは脾臓を通して全身に送ります。

濁ったものは水分と固形分に分け、水分は膀胱に、固形物は大腸にと送り出すのです。

胃の役割

胃は消化吸収を行っており、食べたものを省庁や大腸に送り出します。

そして新たな飲食物を受け取ります。

大腸の役割

便を肛門から排出し、「伝導の官」と呼ばれています。

膀胱の役割

尿をため、さらに排尿作用を有しています。

「州都の官」と呼ばれています。

三焦の役割

三焦は水を運行するための水道として考えられており、体温調節さようならを持っています。

3つに分けられていると考えられており、上部は横隔膜より丈夫、真ん中の部分は横隔膜からへそまで、そして下の部分はへそから下を指します。

「五臓六腑に染み渡る」の英語

「五臓六腑に染み渡る」の英語
  • “to the heart’s core”
  • “seep into every fiber of being.”
  • “The internal organs and the bowels”

“to the heart’s core”

「五臓六腑に染み渡る」という表現はあくまでも漢方医学から来たものですので、英語にはこれとまったく同じ表現は存在しません。

しかしその一方で、やはり体の中心に染み渡るような感覚、というものはどこの国にも存在します。

そのため、例えば「このお酒は五臓六腑に染み渡る」という場合、“This taste of sake thrills me to the heart’s core”などのように、心臓の中心にかけて喜びを感じる、などといった表現をすることができます。

「嬉しさが五臓六腑に染み渡る」という場合は“The joy thrills me to the heart’s core”という事もできます。

“seep into every fiber of being.”

例えば「このお酒は五臓六腑に染み渡る」という場合、“I feel that beer seeps into every fiber of my being”という事ができます。

”fiber”は繊維という意味ですので、すべての繊維、神経に渡っていく、という表現になります。

全身の繊維、神経に美味しいお酒が通っていく、「五臓六腑に染み渡る」、という表現になるのです。

“The internal organs and the bowels”

ちなみに五臓六腑という言葉であれば、“the internal organs and the bowels”と訳すことができます。

これはそのままですが、「内臓とはらわた」という意味ですね。

ただし、「五臓六腑に染み渡る」で1つの慣用句ですから、例えば英語で「この美味しさが“the internal organs and the bowels”に染み渡る」と直訳しても意味が通じない可能性が高いです。

この場合はニュアンスを重視して訳すことが大切です。

icon まとめ

いかがでしょうか。

「五臓六腑に染み渡る」という表現は、漢方から来ているために日本酒など、和風のお酒で使われることが多いですし、中国からやってきたお酒やお茶などで使われることが多いです。

しかし、全身で喜びを感じた時なども「喜びが五臓六腑に染み渡る」という事もできます。

もちろん「おいしい」と表現することもできますが、この言葉は漢方に関連した用語を知っているといった知的な印象を与えることもできますし、ビジネスの場などでお酒が出てきた場合に使うと頭が良さそうなイメージを与えることが可能となります。

特に最近のビジネスでは飲み会が重視されることもありますので、美味しいお酒を出された時などは「五臓六腑に染み渡る」という表現を使ってみてはいかがでしょうか。

どの臓器を指すのか、などということを知っていたら、更に話を広げることができますし、飲み会を少々盛り上げることが可能になるかもしれません。