「万死に値する」の意味とは?英語や由来、使い方を紹介!
日本語には色々な言葉があります。
その時々で使われる漢字や文字を見ていると、使われている字の意味や言葉自体と重みがひしひしと伝わってくることがあります。
その中には、「万死に値する」という言葉があります。
ドラマや小説、漫画のセリフの中でも、時おり耳にすることがあるかもしれません。
でも、どのような意味が込められているのでしょうか?
目次
- 「万死に値する」の意味とは?
- 「万死に値する」の類語や言い換え
- 「万死に値する」の由来
- 「万死に値する」を使った例文
- 「万死に値する」の英語
- 「万死」の意味とは
- 「万死」を使ったその他の言葉
「万死に値する」の意味とは?
この言葉には、とても強い怒りの念が込められていることを感じることがあります。
使われている漢字は「万」と「死」。
その中には、1万回の死という意味があるのでしょうが、これだけ多くの「死」と同等の重みがあるというという思いがあります。
言い換えると、それだけ重たい悪行や行動に対して罰するくらいのひどいことを指しています。
「1万回死ぬと同じくらいの罪の重さがある。」ということかもしれません。
「万死に値する」の読み
「万死に値する」の読み方は、「ばんしにあたいする」という読み方になります。
年配の方々なら、誰でも読み方に困ることはないと思いますが、「万死」を「まんし」と読むことはありません。
「万死に値する」の類語や言い換え
この言葉には、強い罪の重さを思い知られることや、懺悔の言葉の意味も感じられます。
そのような観点でほかの同義語を探してみると、次のような言葉が見つかってきます。
- 「痛恨きわまりない」【つうこんきわまりない】
- 「慚愧に絶えない」【ざんきにたえない】
- 「怒りが渦巻く」【いかりがうずまく】
「痛恨きわまりない」【つうこんきわまりない】
この言葉には、恨みつらみの気持ちが含まれています。
「悔やんでも悔やみきれない」という強いマイナスの念とでもいうのでしょうか?悔しい思いをしても、その恨みを晴らすことができず、心の中では"腸が煮えくり返る"と言った感じの良くない思いや、恨みの念が込められていることが、伝わってきそうです。
「慚愧に絶えない」【ざんきにたえない】
この言葉は、「ざんきにたえない」と読みますが、自分の行動や考えに対して、恥じる気持ちや反省する考えを表しています。
友人や知人、自分の家族に対して、大きな負担をかけたり迷惑なことをしたために、申し訳ないという意味が込められています。
しかし、「万死に値する」は、相手に対して発せられた言葉であれば、「慚愧に絶えない」とは、意味合いやニュアンスが少しことなってきますが、「万死に・・・」自体が自分に対する言葉なのであれば、似た意味として扱われるでしょう。
自分に対して、1万回もの死に匹敵するほどの罪を犯しまったということになるからです。
「怒りが渦巻く」【いかりがうずまく】
この言葉は自分に対して、ひどい仕打ちをした相手に対して、発する思いや泥々とした苦くきつい恨みの念が込められています。
自分の怒りを誰がにぶちまけたいと思ったり、やり場のない怒りを自分の心の中に溜めておくだけで、消化することができない、暗く負の相念と例えることができるかもしれません。
「万死に値する」の由来
この言葉の由来は、中国の春秋時代まで遡ると、考えてられています。
春秋時代は、古代中国の周王朝の後半の時期に当たる時代。
紀元前600年頃のことです。
隣国の呉と幾度なく抗争を繰り返しており、呉の6代目の王である闔閭の留守を狙って、越の王の允常が呉を攻めたのです。
その混乱に乗じて実の弟である公子(王子)の夫概が兄に対して謀反を起こしてしまいました。
そのことで闔閭の立場がとても揺ぎ始め、闔閭が越を憎むことになり、で、越を攻めたのですが、戦死したのです。
闔閭の後を継いだ次男の夫差は、この件をひどく恨んで、越の王の行いを「万死に値する=1万回殺しても気が済まないやと叫んだ」という逸話が残っています。
この残された言葉が、長い時を経て慣用的な表現として、「万死に値する」という言葉が広く使われるようになったとされています。
「万死に値する」を使った例文
では、この言葉は、どんな的に使われることがあるのでしょうか?
- 「万死に値する」の例文1
- 「万死に値する」の例文2
- 「万死に値する」の例文3
「万死に値する」の例文1
「無能なあいつの行いは、とても極悪非道で万死に値する!」
世の中は、人の心を平気で踏みにじるような、冷酷な事件や事故が数多く発生しています。
この時に、インターネットやニュースで、その出来事を見たり聞いたりすると、思わず、加害者に対して、強い憤りを感じたり、許せない気持ちになってきます。
この時に使う言葉が「万死に値する」という加害者に向けられた言葉になるでしょう。
本当に心の芯から許すことのできない激しい怒りでもあります。
「万死に値する」の例文2
「あの会社の責任は万死に値する」
社会的に、世評をとても気にしなくては、社会的な信用を落としかねない事故や事件も増えています。
ビジネスの世界でも、人の信用を喪ってしまっては、どんなに大きな企業であっても、ひとたまりもありません。
長い歴史を紡いできた古参の企業でも、ちょっとしたトラブルを引き起こしたことで、瞬時に社会から抹殺されることも珍しくはないのですが、コンプライアンスを順守するということを掲げている会社でも、自社の汚点や不正を覆い隠し隠蔽することが絶えません。
しかも、その不正が人名に関わることさえあり得ます。
しかし、社会的な信用の失墜や裁判沙汰にならぬように、自己保身的な姿勢から、ひた隠して、ほとぼりが覚めるまで、知らぬ存ぜぬという姿勢を固くなまでに貫いている所があります。
このような企業の悪行が白日の下にさらされた時には、被害者のみならず、一般人市民からも大いな怒りとひんしゅくを買ってしまうことでしょう。
このような時に「万死に値する」という言葉が慣用句的に使われることになるでしょう。
「万死に値する」の例文3
「あの政治家は国民を無視した政策はかりで、万死に値する」
この言葉は、政治の世界でも使われています。
国益を最優先にしたために、国民不在の政策となり、大きく重たい負担を強いることにならこともあります。
また、自己保身や私的な蓄財、汚職に手を染めて、クリーンな政治ではなく、ダークで野心的な行いが、反社会的ということもあるでしょう。
このような時に、その政治家に向けられる言葉として用いられることもあります。
政治家は国民の意見や要望を国の公を場で、代弁する代表者でもあります。
本来の目的や使命を怠り、自分の私利私欲のみで活動する政治家は、1万回の死刑に匹敵する悪行かもしれません。
「万死に値する」の英語
この言葉を英語にすると、次のような英訳になるでしょう。
“deserve to die 10000 times” (1万回の死に値する)まさに直訳そのものです。
“Deserve to certain death” “certain death”は、「絶体絶命」や「死地」という意味が込められていますが、「絶体絶命」+「値する」という組み合わせから、「生きる資格がない」=「死んでも償いきれない程の重たい罪」と解釈することができないでしょうか?
“worth thousands of deaths "thousands of deaths”は、「数千の死」という意味になりますが、それに“worth”(価値)という言葉が付け加えられています。「価値」という単語をとても悪いマイナスの意味で使っていますが、「数えきれないほどの死の重さがある」とでも、理解することができるはずです。
「万死」の意味とは
生命の助かる見込みのないことや、自分の命を投げ出す犠牲や奉仕の心、あるいは何度も地主ことを意味していることがあります。
「死」という言葉自体がとても重たく、あるときは不吉な言葉として、ある時は潔かったり、自己犠牲的な意味合いを持つこともあるでしょう。
「万死」を使ったその他の言葉
万死には他にどんな言葉があるでしょうか?
- 「万死を恐れず」【ばんしをおそれず】
- 「万死を一生を省みず」【ばんしをいっしょうをかえりみず】
- 「万死に一生を得る」【ばんしにいっしょうをえる】
「万死を恐れず」【ばんしをおそれず】
「1万回もの苦しい死を恐れることがない」という意味で使われることがあります。
この時の言葉を真意には、命を投げ出すということを意味もあります。
「死」の言葉の意味は一般的には嫌われる言葉のイメージが強いのですが、この時は何かしら自己犠牲的な意味合いがあります。
自分の大切な家族や恋人のために、自らの命を危険にさらしてまで、捧げる犠牲や奉仕の精神が貫かれている感じさえします。
「万死に値する」とは、全く逆の印象さえ感じさせる言葉です。
「万死を一生を省みず」【ばんしをいっしょうをかえりみず】
この言葉の意味としては、「生きのびる希望がない。持てない。必死の覚悟を決める。」ということになるでしょう。
末期の癌に犯されてしまい手の施すようがないくらいまでに、崖っぷちに立たされているひとの心境を著しているかもしれません。
その一方で、最悪の環境にまで追い込まれて、最後の踏ん張りの気持ちになるような心境でもあるかもしれません。
必死の覚悟で臨むことや立ち向かうで、不可能と思っていたことが、奇跡的な結果を生み出すことにもなるかもしれません。
この言葉は、マイナス的な面とプラス的な行動を示す時にも使えそうな言葉かもしれません。
「万死に一生を得る」【ばんしにいっしょうをえる】
これは「とても助かる見込みがなかった身体でも、何とかかろうじて助かること」や「万死の中うちに一生を得る」、「九死に一生を得る」という意味にも例えられます。
まさに奇跡が起こったという場面に最適な言葉ではないでしょうか?
「万死」という言葉は、使い方により、いい意味合いであったり、悪い意味になることもあります。
「死」という文字を不吉な言葉として、説明してきましたが、見方によっては、とても尊い、そして崇高な概念かもしれません。
そのために、「1万回の死」が意味する言葉も、状況により、付加される言葉によっても、前向きに捉えることができたり、良くない場合にも使われる言葉と思えるのです。
日本語には色々な言葉、文字がありますが、大きな数の概念の「万」と非との命の生まれ変わりをも意味する「死」の組み合わせは、もしかすると、とても精神性の高い心の深い情愛を示す優しい言葉にも感じ取れるのです。
それだけに「万死に値する」という、負の印象をあたえてしまう言葉よりも、「万死を恐れず」というような比較的に前向きにで勇気を持つことができる言葉を日頃から使っていきたいものです。