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「御の字」の意味とは?語源や言い換え、例文や性格、英語を紹介!

現在では「御の字」という言葉はあまり使うことも聞くこともありません。

どことなくお年寄りが使う言葉という印象があるのではないでしょうか。

「御の字」は若い人の間ではあまり活用されない言葉ですが今まで聞いたこともなかったし見たこともない、そんなことは無いと思います。

今回はあまり使わないけれど知ってはいる、でも詳しい意味や語源までは分からない、そんな「御の字」という言葉についてご説明させていただきます。

御の字

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「御の字」の意味とは?語源や言い換え、例文や性格、英語を紹介!>


目次

  • 「御の字」の意味とは?
  • 本来の「御の字」の類語や言い換え
  • 「御の字」の語源
  • 「御の字」を使った例文や使い方
  • 「御の字」の誤用されている例文と正しい例文
  • 「御の字」の英語


「御の字」の意味とは?

「御の字」の意味とは?

「御の字」には「十分でありがたいこと、特に優れたものまたはそのような人、きわめて満足なこと」といった意味があります。

御の字に使われている「御」という字は目上の者や優れたものを、尊敬し敬う時に使う接頭語です。

ですから「御の字」は極めていいという状態やものを表現する言葉になります。

「御」を使う言葉は「御身体」「御点前」などがあります。

  • 「御の字」読み方
  • 「御の字」は誤用が多い

「御の字」読み方

「御の字」の読み方は「おんのじ」と読みます。

パソコンやスマートフォンでおんのじと入れると「恩の字」と変換される場合もありますがこれは誤変換で、ただしくは「御の字」です。

字の雰囲気手には似ているのでこれでもいいのでは、と思ってしまいがちですが間違えないように気をつけましょう。

「御の字」は誤用が多い

「御の字」は上記のように「十分でありがたいこと、特に優れたものまたはそのような人、きわめて満足なこと」という意味を持ちます。

ですが「落第さえ免れることができれば御の字だ」「貸した金の8割が返ってきただけでも御の字だ」など十分でない状態、「まだましだ」「まあまあ納得できる」という意味合いで使われていることをよく見かけます。

これは残念ながら「御の字」の誤用です。

また文化庁が平成20年度に国語に関する世論調査を16〜60歳以上の一般男女に行ったところ、「御の字」の意味を「一応納得できる」と誤答した人の割合は全体の半分以上の4パーセントにのぼりました。

正しい答えである「大いに有難い」と答えた人の割合は38.5パーセントでした。

こういった結果から見ても「御の字」の意味を誤って認識している人は多いようです。

もし誤って覚えてしまっていたら「御の字」「まだましな状態、まあ納得できる」でなく「十分に満足、極めていい」と頭の片隅に入れておきましょう。



本来の「御の字」の類語や言い換え

本来の「御の字」の類語や言い換え

本来の御の字が「満足な状態、物事、人」を表すことは分かりました。

では御の字の類語や言い換えにはどういった言葉があるのでしょうか。

またどういった場面で用いるのでしょうか。

いくつかの例を下記に記載します。

  • 「万々歳」【ばんばんざい】
  • 「重畳」【ちょうじょう】
  • 「文句なし」【もんくなし】

「万々歳」【ばんばんざい】

「万々歳」はばんざいを強めた言い方でこの上なく、めでたく喜ばしいことという意味を持ちます。

こちらの言葉は御の字の「満足で十分」「めでたい」という感情がプラスされたものです。

また御の字より喜色を強く感じる表現です。

御の字の類語ではありますが御の字よりも「万々歳」の方が対人につかうのには適した表現でしょう。

「重畳」【ちょうじょう】

「重畳」には幾重にもかなさり合う、という意味もありますが「よいことが重なってこの上なく満足なこと、そのさま」「この上なく満足なこと、大変喜ばしいこと」という意味もあります。

こちらの言葉は「よいことが重なり、結果として満足」「この上なく満足」と2種類の満足な様子を表現することができます。

一般的に使われる重畳は前者よりも後者の「この上なく満足」という方になるでしょう。

また重畳は感動詞的にも用いることができます。

「文句なし」【もんくなし】

「文句なし」「文句」=「不平、不満」をなしで打ち消した表現です。

つまりは「不平、不満がなく満足した様子、状態」を表す言葉です。

完璧、非の打ち所がないと言い換えることもできるでしょう。

これは「御の字」の言い換えの言葉ではありますが自分に対して使うというよりは相手、対象物、物事といった自分以外への賞賛の言葉として使うこと場面の方が多くなります。

「御の字」の語源

「御の字」の語源

「御の字」の語源にはまず「御」という字が深く関わってきます。

「御」という字は前述したように敬う気持ち、尊敬する気持ちが籠っています。

「御身体に気をつけくださいね」「御心配いただきありがとうございます」などというように対言語につけて尊敬、丁寧の意を表す接頭辞です。

その「御」という「字」をつけたくなるほどに「十分でありがたい」「満足している」という意味から「御の字」という言葉は生まれました。

「御の字」という言葉はもともとは遊里で働く遊女が使う言葉で江戸初期から使われるようになりました。

堅い場面で使われるイメージの「御の字」ですがもとは遊里語なのです。



「御の字」を使った例文や使い方

「御の字」を使った例文や使い方

ここまで「御の字」の意味や誤用、語源について学んできましたが正しい「御の字」という言葉はどのような場面で用いられるのでしょうか。

下記に例文をいくつか記載します。

  • 「御の字」の例文1
  • 「御の字」の例文2
  • 「御の字」の例文3

「御の字」の例文1

「本来はこちらで片付けなければいけないことだったのに、手伝っていただいて御の字です」

こちらで使っている御の字は「十分でありがたい」という意味合いを持ちます。

誤用されがちな御の字という言葉ですが「ありがたい」という意味では言葉を受け取る相手も「ああ、ありがとうと言われているんだな」と分かりやすいです。

また御の字は日常で使うと古臭いという印象を受けることもありますが、ビジネスなどで使うと「ありがとうございます」よりも大人でスマートという好印象を相手に与えることもできます。

「御の字」の例文2

「入賞できるだけでも十分なのに1位をとれるなんて御の字だ」

こちらでは「極めて満足した」という意味で御の字を使っています。

御の字は「最高」という言葉と似た意味合いを持つ言葉なのでこういった場面でも用いることができます。

ただこの言葉を使った時に周囲の人で御の字の意味を「まあ納得できる」と誤認している人がいた場合はこの文章に引っ掛かりを感じてしまうかもしれません。

そういった恐れがある場合は御の字の類語、言い換えで記載した「万々歳」という言葉を使う方が無難かもしれません。

「御の字」の例文3

「もっと費用がかさむと思ったのにこんなに安く済むなんて御の字だ」

こちらは「十分でありがたい、極めて満足」という意味になりますね。

ここで気をつけなくてはならないのは「もっと費用がかさむと思ったのにこの程度であれば御の字だ」だと御の字の誤用になってしまうことです。

この程度という言葉は十分に満足しているというよりも「まあ納得できる」といった意味に近くなりますよね。

そうなると御の字の「極めて満足」と意味が離れてきてしまいます。

微妙なニュアンスの違いと言ってしまえばそれまでですがせっかく正しい御の字の意味を学んできたのですから間違わないように気をつけましょう。

「御の字」の誤用されている例文と正しい例文

「御の字」の誤用されている例文と正しい例文

御の字が誤用が多いという話をしてきましたが実際はどのような場面で誤用されがちなのでしょうか。

また御の字を誤用しないためにはどのような表現を使うのが適切なのか、どのようなシーンであれば御の字が適切なのかを下記にまとめます。

誤って御の字という言葉を使わないためにも簡単に目を通してみてくださいね。

  • 「まあ、雨が降らなかっただけ御の字じゃないか」
  • 「もっと結果は出せた思うけど、まあこれなら御の字だね」
  • 「留年じゃなかったから御の字だ」

「まあ、雨が降らなかっただけ御の字じゃないか」

これは典型的な御の字の誤用です。

ありがたい、という感情はありますが十分に満足な状態とは言えないでしょう。

もしこれを正しく言い換えるのなら「まあ、雨が降らなかっただけまだいい方じゃないか」となります。

また似たような場面で御の字を使うのなら「雨も降らなかったし、天気もこんなにいいなんて御の字だ」と使うのが正しい使い方になります。

「もっと結果は出せた思うけど、まあこれなら御の字だね」

これも上の例文と同じように完璧に満足はしていない状態で御の字という言葉を使ってしまっています。

納得はしているけど不満足な状態で御の字という言葉を使うと誤用になってしまいます。

ここだけはきっちりと覚えておきましょう。

「留年じゃなかったから御の字だ」

この場合、言葉の微妙なニュアンスによってこの「御の字」が正しい使い方か誤用かが変わってきますね。

「留年じゃなかったから」これが自分の予想を通り、予想よりも少しいい状態の場合は「一応納得できる」という意味合いが強くなります。

そうなるとこれは御の字の誤用になります。

ただ逆にこれが予想外の結果、つまりは留年するとばかり思っていたのにそうではなかったから「極めて満足」という状態ともこの例文では取れます。

そうなるとこの御の字は正しい使い方、となるわけです。

同じ例文でも発言する人の状態などによって正しいか誤用かが決まってきますからこの辺りは日本語の難しさを感じるポイントです。

「御の字」の英語

「御の字」の英語

ここまでは日本語の「御の字」について学んできましたがつぎは英語で御の字をいう場合にはどのように言うかを学んでみましょう。

また「御の字」という言葉は日本独特の表現だと感じるのですが英語ではどのような表現方法になるのでしょうか。

英訳では御の字は“most satisfactory”となるようです。

“satisfactory”は日本語に訳すと「満足な、申し分のない」という意味になります。

“most”「もっとも、最大の」という意味ですから合わせて直訳すると「もっとも満足いく、申し分なく最大の」という意味になるようです。

“most satisfactory”は堅い表現なので口語ではあまり使われず日常生活では@be quite enough”などが御の字という表現に使われることが多いようです。

icon まとめ

御の字という言葉は誤用が多いため、誤用についての話がこの記事のメインになりました。

御の字の誤用、正しい使い方については以下のようにまとめられます。

  • 御の字を「万々歳」「重畳」「文句なし」などの類語と置き換え文章的におかしくなければ正しい使い方。
  • 御の字を「まだ納得できる」「まだいい方」などと置き換えて文章的に成り立つ場合は誤用。

こう覚えておくと御の字の誤用はなくなります。

もし御の字という言葉を使う機会があり、使い方が正しいかどうかの判断がつき辛かった場合は上記の方法を試してみてください。

そうすることで御の字の誤用はぐっと減ることでしょう。

「御の字」は普段なかなか使わない言葉だからこそ正しい使い方を覚えておきたいものです。