「符合する」の意味とは?類語、例文や英語を紹介!
「符合する」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
「ふごう」と読みますが、同じ読み方の漢字には「符号」と言うものもあり、混乱している人も多いかもしれません。
ここでは、「符合する」という言葉について解説します。
目次
- 「符合する」の意味とは?
- 「符合する」の類語や言い換え
- 「符合する」の正しい使い方
- 「符合する」の例文
- 「符合する」の英語
- 「符号」の類義語
- 「符合」の対義語
「符合する」の意味とは?
「符合する」とは、「互いによく当てはまること」、「合致すること」、「ぴったり合うこと」などと言う意味を指します。
符合とは割符が合うことや2つ以上の事柄がぴったりと当てはまることを指し、「符合する」はその動詞の形になるのです。
- 「符合する」の読み方
- 「符号」との違い
「符合する」の読み方
「符合する」の読み方は、「ふごうする」になります。
「符号」との違い
それに対し、「符号」は印や記号を指します。
特に数学においてはプラスやマイナスの正負の印を指し、一般的には「ある情報を伝達するために体系的に使われる記号」と言う意味を持っているのです。
だからこそ、例えばモールス信号などもこの「符号」に当てはまります。
ですから、同じ読み方であったとしても「符号」と「符合」は全く意味が違うのです。
「符合する」の類語や言い換え
- 「ぴったり合う」【ぴったりあう】
- 「一致する」【いっちする】
- 「一致」と「合致」の違いについて
「ぴったり合う」【ぴったりあう】
互いによく当てはまること、という意味では「ぴったり合う」と言う表現も「符合する」と同じ意味になります。
互いによく当てはまる、合致する、適合している、あるいは隙間なく密着している、などと言う時にも「ぴったり合う」と言う言葉が使われます。
「ぴったり」というのは隙間なく当てはまる様、あるいはうまく当たる様を指しており、「よく合っていていかにも似つかわしい様」と言うのは形容動詞になります。
「一致する」【いっちする】
「一致」と言うのは2つ以上のものがぴったり1つになること、食い違いがなく同じであること、と言う意味を指します。
例えば、「意見の一致を見る」「満場一致」などと使われますよね。
これも「符合する」の類義語になります。
また、「結果が一致する」「データに一致する」などと学術的にも使われることが多い表現です。
「一致」と「合致」の違いについて
同じく「符合する」の類義語には「合致する」と言うものがあります。
それならば、「一致する」と「合致する」と言うのはどのように違うのでしょうか。
どちらにも「2つのものがあるけど、1つになること」という意味で使われています。
しかし、例えば「DNAが一致した」とは言いますが、「DNAが合致した」とは言わないですよね。
その一方で「考えが一致する」と「考えが合致する」であれば違和感はありません。
つまり一致と言うのは具体的なものでも抽象的なものでも使うことができる単語であり、勝ちと言うのは抽象的なものにしか使えないと言えるのです。
「符合する」の正しい使い方
「符合する」と言うのは「しっかりと当てはまる」ことであり、物や事柄、人物などが一致する場合に使われる表現です。
特に敬語と言うわけでもありませんし、嘲笑的な意味合いが含まれるわけでもありません。
だから誰に対しても使うことが可能です。
例えば、ビジネスにおいては上司に使うことができますし顧客に対して使うことも可能です。
部下に対して用いることもできます。
むしろ専門的な学術用語と組み合わせて使うこともできるため、素敵な印象を与えることも可能です。
「符合する」の例文
- 「話が事実と符合する」
- 「彼らは監督のイメージに符合する」
- 「この政治家のマニフェストは都市の構想と符合する」
「話が事実と符合する」
推理小説などにおいて、警察官や探偵が容疑者となる人々から話を聞くシーンかありますよね。
もちろん警察官や探偵はそこにいた人々から話を聞いて何が起こったのかということを推測していくわけですが、やはり話が事実と符合する、つまり、事実をしっかりと述べている人、話の筋が合っている人、などはあまり怪しくありません。
しかし、その一方で話の辻褄が合っていない人、首尾一貫性がない人などはまず怪しまれます。
話が事実と符合していればまず問題は無いのですが、例えば犯人などの場合はまずどこかで矛盾が生じ、話が事実と符合しないのです。
「彼らは監督のイメージに符合する」
映画監督だが自分たちのイメージに従ってどの俳優を起用しようか考える時、やはりイメージに合う俳優を探さなければいけません。
そんな時、彼らのイメージに符合する人々がいれば、まずその人たちに話が行きます。
つまり、イメージに合っている人が優先的に話がもらえるため、俳優として成長していきたいと思うのであれば様々なイメージ、様々な場面、いろいろなキャラクターを演じることができる、と言う俳優として名を馳せていかなければいけないのです。
「この政治家のマニフェストは都市の構想と符合する」
政治家が選挙に出る時、マニフェストと言うものを発表しますよね。
そして、それは人々が望むものでなければ意味はありません。
同時に、都市には構想と言うものがあります。
都市がどのように発展したいのか、どのように観光客を引きつけていくのか、どのように人々にとって暮らしやすい街にしていくのか、などと言う計画が長期的に存在するものです。
もしもそのような場所で政治家として選挙に出るのであれば、やはりそのような構想に符合したマニフェストを掲げていた方が当選しやすいと言えるでしょう。
仮に符合していなかったとしても、都市の構想と真逆を行くようなマニフェストを掲げていたらなかなか当選しないかもしれません。
「符合する」の英語
- “fits with”
- “answer to”
“fits with”
例えば、「彼女の証言は事実と符合する」と言う場合、“Her statement fits with the facts.”と言うことができます。
日本語においてもフィットする、と言う表現がありますよね。
これは英語から来た表現ですから、もちろん英語においても「証言が事実とフィットすると言う意味で使うことが可能です。
“answer to”
「答え」「答える」などと言う意味で使われる“answer”も、「符合する」と言う意味で使われることがあります。
例えば、「あの男は新聞に書いてあった人相に一致する」と言う場合、“That man answers to the description in the newspaper.”と言うことが可能です。
決して「あの男は新聞に書かれている記述に返事をする」と言う意味ではありません。
この場合の“answer”は「符合する」「一致する」という意味であり、この場合は“answer to the description”で「記述に当てはまる」「記述にぴったりである」という意味になるのです。
「符号」の類義語
ちなみに、「符合」と間違われやすい漢字、「符号」は「ある情報を伝達するために体系的に使われる記号」だと言う説明をしました。
それ以外にも「符号」には「量の間の関係を示す文字」「コンピューターなどのデータ、あるいはそのようなデータの一連の記号による配列」、「慣習的な意味を持つ記号」、「区別をするための記号」「汚名の象徴」「印刷された記号」などと言う意味があります。
その場合、例えば「量の間の関係を示す文字」ならば「表徴」、「合図」、「兆候」、「目印」などが類義語になります。
「コンピューターなどのデータ、あるいはそのようなデータの一連の記号による配列」ならばコードや記号が類義語として挙げられます。
「慣習的な意味を持つ記号」は表徴や略号、紋章やシンボル、「区別をするための記号」は荷印や標識、目印、マーキング、刻印が類語として使われます。
「汚名の象徴」ならば汚点、マーク、烙印、「印刷された記号」は印、記号、目印、マークなどと言い換えることも可能です。
「符合」の対義語
- 「齟齬」【そご】の意味
- 「齟齬」の使い方
- ビジネスシーンでの注意
- 「齟齬」の例文
「齟齬」【そご】の意味
「符合」の対義語には「齟齬」という言葉が挙げられます。
漢字が難しいため、読めるけれども書けない、と言う人も多いかもしれませんね。
ビジネスシーンなどで使うときにはこの言葉は注意が必要です。
まず、意味としては「食い違いがある」と言うことです。
「齟齬」の「齟」は何度も歯を合わせる、噛む、と言う意味であり、「齬」は互いに入れ違うこと、と言う意味を指します。
ここから、「何度噛み合わせても入れ違って合わないこと」「食い違う」と言う意味になったのです。
「齟齬」の使い方
「齟齬」と言うのはただ単に意見の食い違いなどがある時のみならず、意見が食い違っていることにより対立が起こっていたり、物事がスムーズに行かなかったりするときに使われる言葉です。
例えば、「新聞社によって記事に齟齬が生じている」と言った場合、そこから社会にも反響が出ている可能性などが伺えます。
ビジネスシーンでの注意
その食い違いにより対立やトラブルが起こっている可能性を連想させる言葉だからこそ、この言葉をビジネスシーンで使う場合は注意が必要です。
例えば、目上の人に使ってしまうと「あなたと私の間には対立があります」と言うニュアンスが伝わってしまい、相手を批判しているように捉えられてしまう可能性があるのです。
また、「齟齬がないかどうかご確認ください」などと言う言い方をしてしまえば、「後から文句は言わないでくださいね」といった意味があるように聞こえてしまうのです。
ですから、この言葉は第三者が使う分には問題はありませんが、当事者としては使わないほうが無難と言えるでしょう。
「齟齬」の例文
例えば、「取引先のこの会社とあの会社の言い分には齟齬があります」と言う言い方であれば第三者として使っていますので問題はありません。
また、読者として「この新聞とあの新聞の記述には齟齬がある」などと言うことも可能です。
しかし、例えば「お宅の報告書と商品の説明には齟齬があります」は自分が当事者になっていますので、この表現は避けた方が良いです。
同様に、上司に対して「報告書作成しましたので齟齬がないかご確認ください」といった表現もタブーです。
まず目上の人には使わないほうが良いでしょう。
いかがでしょうか。
「符合する」は日常的にあまり聞く表現ではないかもしれませんが、一致する、合致する、などと言う意味でビジネスシーンや学術的な場面でよく使われます。
知的な印象与えることもできますので、ぜひ活用してみましょう。
なお、この表現は目上の人に対しても目下の人に対しても使うことが可能です。