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「采配を振る」の意味とは?類語、例文や英語を紹介!

「采配を振る」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

もしかしたら「采配を振るう」として覚えている人もいるかもしれませんね。

それならば、「采配を振る」はどのような意味を持つのでしょうか。

ここではこの言葉について解説します。

采配を振る

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「采配を振る」の意味とは?類語、例文や英語を紹介!>


目次

  • 「采配を振る」の意味とは?
  • 「采配を振る」の類語や英語
  • 「采配を振る」の正しい使い方
  • 「采配を振る」の例文
  • 「采配を振るう」は本来の使い方ではない
  • 「采配」とは
  • 「采配を振る」に関連する表現


「采配を振る」の意味とは?

「采配を振る」の意味とは?

「采配を振る」というのは「陣頭に立って指図をする」「指揮をする」という意味になります。

もともと采配というのは対象が軍隊の指揮を取るときに持つもので、長い棒の先に切り裂いた白紙などを束ね、房のように取り付けていたものを指します。

指揮官がこれを振って合図をしていたことから「采配を振る」という表現が出来上がりました。

あるいは「采配を取る」と呼ばれることもあります。

  • 「采配を振る」の読み方

「采配を振る」の読み方

「采配を振る」の読み方は、「さいはいをふる」になります。



「采配を振る」の類語や英語

「采配を振る」の類語や英語
  • 「采配を振る」の類語
  • 「采配を振る」の英語

「采配を振る」の類語

「采配を振る」というのは任務や指示などを与えること、という意味を持ちますので、例えば「指示を出す」「指示を与える」「仕事を与える」という表現も類義語になります。

それ以外にも「命令する」「指導する」「通達する」などという表現も類義語になります。

基本的には「指示を出す」などに近い表現は「采配を振る」によく似た意味を持つと言えるでしょう。

「采配を振る」の英語

「采配を振る」という表現の英語には“have - under command”という言い方があります。

例えば「彼はあの人々に采配を振っている」というならば“He has those people under his command.”ということができます。

また、似たような表現で“take command”でも構いませんし、“take charge of”といった言い方も可能です。

「指揮をする、指導する」というのであれば“lead”を使い、例えば「彼は生徒たちに上手に采配を振っている」というのであれば“He leads his students pretty well.”などといった言い方も可能です。

日本語にも様々な言い方があるように、英語にも様々な言い方があります。

ニュアンスに応じて使い分けができると良いでしょう。

「采配を振る」の正しい使い方

「采配を振る」の正しい使い方

「采配を振る」という言い方は他にも「采配を取る」あるいは「采配」だけでも使われることがあります。

陣頭指揮をとる、指揮する、などという意味で使われますので、主語は誰であっても構いません。

「指揮を取りたがる」など、嫌味で使われる表現というわけでもないですから、目上の人に対しても使うことができます。

もともとは軍隊のトップに立つ人が「采配」を振っていたわけですから、尊敬の念も含まれているということがわかりますね。

また、「采配を振る」「采」は常用漢字ではありませんでしたが、平成22年11月、新しい「常用漢字表」にこの漢字が付け加えられました。



「采配を振る」の例文

「采配を振る」の例文
  • 「采配を振る」の例文1
  • 「采配を振る」の例文2
  • 「采配を振る」の例文3

「采配を振る」の例文1

「彼は引退後も采配を振った」

「采配を振る」という表現はスポーツの場においても使われることがあります。

例えば、監督などは若い選手をしっかりと指導し、使える選手に育てていかなければいけないですよね。

また、引退した後も今度は指導者としてチームに関わるということもあります。

そのような時、「彼は引退後も采配を振った」といった言い方ができるのです。

「采配を振るった」という表現もあります。

「采配を振る」の例文2

「彼はリーダーとして采配を取ることになった」

「采配を振る」という表現以外にも「采配を取る」という言い方ができます。

意味は「采配を振る」「采配を取る」のどちらも同じようになります。

後に述べますが、「采配を振る」が正しいのか「采配を振るう」が正しいのかわからず、「采配を振るぅ」などという言い方をしていた人の中には「采配を取る」という表現を使っていた人もいるかもしれませんね。

「采配を振る」の例文3

「あの人の采配ぶりは素晴らしい」

「采配」というのは指導力やリーダーシップなどを指すこともありますが、「采配を振る」「采配を取る」という表現ではなく、「采配」という表現だけで表されることもあります。

「采配を振る」などの動詞にすると「指揮する」などといった意味になりますが、「采配」という言い方をすれば指導力などを指すことになるのです。

そのため、例えば「あの監督は大胆な采配でチームを優勝させた」などといった使い方が可能です。

「采配を振るう」は本来の使い方ではない

「采配を振るう」は本来の使い方ではない
  • 本来はあくまでも「采配を振る」
  • 「国語に関する世論調査」の結果
  • 「振るう」は辞書でも認められた
  • 「采配を振るう」の漢字

本来はあくまでも「采配を振る」

中には「采配を振るう」として覚えている人もいるかもしれません。

実は本来は「采配を振る」が正しい方ですので、「振るう」というのは正しい表現とは言えません。

しかし、最近は「振るう」という言い方が市民権を持ちつつあります。

なお、「振る」というのは比較的小さなものの先端を握って上下左右前後に何度も繰り返して動かすことを指し、「振るう」というのは「拳を振るう」など、大きなものを勢い良く動かす様子を表すことが多いです。

「国語に関する世論調査」の結果

では、2008年度の「国語に関する世論調査」によれば、「采配を振るう」という言い方をする人が「采配を振る」という言い方をする人よりも増えたことがわかりました。

従来の「采配を振る」という表現を使う人は全体の6%、そして「采配を振るう」という表現を使う人は全体の4%ということがわかり、「振るう」という表現をする人の方が過半数を占めてしまったことがわかったのです。

「振るう」は辞書でも認められた

これによって日本国語大辞典も「振るう」という形を記載するようになりました。

よって、「采配を振る」という表現が正しいと言えば正しいのですが、最近では「采配を振るう」という表現も市民権を得ていると言えるのです。

近年ではより多くの辞書の「振るう」の欄にその例文として「采配を振るう」と記述されていることがあります。

「采配を振るう」の漢字

近年ではなんとなく広まりつつある「采配を振るう」は、1949年に出版された『闘牛』に出てくる「その下で編輯(へんしゅう)の采配を揮ふばかりではなく」という記述が始まりだと考えられています。

「揮ふ」は歴史的仮名遣いにおいて「ふるふ」になります。

もちろん、ここだけで「采配を振るう」という読み方を正当化することができませんが、このために「振るう」という表現が誤りであるとも言い切れなくなってしまったのです。

実際に「揮う」という動詞には「思うままに扱う」「棒状のものを駆使して用いる」という意味がありますから、「采配」の歴史的な意味を考えると、「揮う」でもおかしくは無いのです。

そのため、完全に肯定することができないけれど否定することもできない状態にあります。

ただし、「揮う」は勢い良く動かすことを指すため、「采配」を動かすイメージを考えると違和感があるのではないか、という人もいます。

「采配」とは

「采配」とは
  • 「采配」のイメージ
  • 社会的な表現

「采配」のイメージ

先ほど、「采配」というのは白い紙等を細く切り、短冊のようにして何枚も重ね、長い棒のようなものにつけたものであり、大将がそれを振って軍隊を指揮していたという話をしました。

それが何なのかさっぱり想像がつかないという人は、例えば戦の場面で対象の立場にある人が馬に乗り、「采配」を振りながら「進めーっ!」と指示を出している様子を思い浮かべてみてください。

大将は陣頭指揮をとりますよね。

ドラマなどでは刀が使われることもあります。

社会的な表現

もともとは戦の場で使われていた言葉ですが、徐々に販売活動や選挙運動などにおいてもこの言葉が使われるようになりました。

たとえ「采配」という小道具を使わなかったとしても、陣頭指揮を取るべき責任者が周りにあれこれと指示を出し、統率をとっていく様子を「采配を振る」という表現で表すようになったのです。

しかし、世の中には指示の出し方が下手な責任者もいるものです。

それに対し、「采配を振る」という表現は比較的責任者の統率の仕方が上手で、良い結果が出ているときに使われることが一般的です。

「采配を振る」に関連する表現

「采配を振る」に関連する表現
  • 「軍配を上げる」
  • 「軍配を返す」

「軍配を上げる」

世の中には「采配を振る」以外にも戦の場面から使われるようになり、今では一般的に使われている表現がいくつかあります。

例えば、「軍配を上げる」もその中の1つになります。

もともと「軍配」というのは「軍隊うちわ」の略語てあり、戦国時代においては武将が陣頭指揮を取るために用いていた団扇の形をした扇のことを指すのです。

そして最近では相撲の行司が立ち会いなどを表すときにこの大木を使うようになり、勝利を収めた力士のほうにこの扇を上げ、勝利を示すということから一般的に勝利の判定をすることを「軍配を上げる」というのです。

「軍配を返す」

下において、制限時間いっぱいになった場合に行司が軍配団扇を返しわ取り組みを始めさせるということを「軍配を返す」と言います。

icon まとめ

いかがでしょうか。

「采配を振る」という表現は自分では使ったことがなかったとしても、聞いた事はあるという人が多いのではないでしょうか。

「振る」「る」がウ音で終わっているということもあり、「振る」のか「振るう」のかどちらが正しいのかわからなかった、つい曖昧にしてしまっていた、という人も多いかもしれませんね。

実際には「振る」という言い方の方が一般的ですが、「振るう」という表現も今の時代においては誤りというわけではありません。

ただし、昔「采配」というものが使われていたときの状況を考えるのであれば、「振る」の方が適切だといえます。

しかしその一方で「揮う」という漢字もありますし、言葉というのは時代によって変化していくものですから、昔からこうだから今の時代も後、と言い切ることができません。

言葉のアクセントなども徐々に変化していると言われますが、2008年に「振るう」を使う人が過半数いるということがわかったように、これからもそちらの表現が主要となっていくかもしれませんね。

ただし、人によってはやはり「振る」と言う表現こそが正しい、と考える人もいますので、シチュエーションに応じて使い分けることも大切です。

例えばビジネスの場においては誰が聞いても正しいと思える表現を用いることが重要です。