「天の配剤」の意味とは?「物の損得は天の配剤」の意味?類語や英語を紹介!
普段の生活で反抗的な態度を取っていたり、嫌われる行動ばかりしている人が不幸な目に遭うと「罰が当たった」と思うことがありませんか?
人は誰しも幼いころから「神様がいて、いつも見守られている」という教えを受けています。
まるで見計らったかのようなタイミングで何かが起こると、「人を超えた存在によるもの」だと考えたくなります。
今回紹介する「天の配剤」という言葉も、その考えに深く関連しています。
目次
- 「天の配剤」の意味とは?
- 「天の配剤」の類語
- 「天の配剤」の使い方
- 「天の配剤」の英語
- 「物の損得は天の配剤」の意味
「天の配剤」の意味とは?
「天の配剤」という言葉を聞いて、すぐにパッと意味が浮かぶ人は少ないでしょう。
「天の采配」なら聞いたことがある人もいるでしょう。
しかし「天の采配」は誤用で、本来「天の配剤」が正しい言葉です。
意味は「悪い行いをすると罰を与え、良い行いをすると良い報いを与えるように、天は適切に物事を配置する」ということです。
この「適切に」という部分が重要で、ちょうど良いタイミングやまるで監視されていたかのように、うまい具合に出来事が起こることを表します。
- 「天の配剤」の語源
- 「天の配剤」の読み方
「天の配剤」の語源
「天の配剤」という言葉は、「天」と「配剤」という2つの単語で構成されています。
まずそれぞれの意味を追ってみましょう。
「天」とは国ごとに考え方が違います。
日本では主に「天国」や「天界」などで知られるように、人を超えたものが存在する場所を示します。
「そら」とも読み、地上よりももっと遠く離れた場所です。
「天におわす〜」という言葉を聞いたことがあるでしょう。
それが転じて、人を超えた存在である「神」そのものを「天」と表現することもあります。
中国での「天」とは「全知全能の存在」とされています。
神に近いのですが、=ではありません。
絶対的な存在で常に世の中のすべての物事と人を見ており、何か命令がくだされてもその人が従わない場合や悪い行いをするとその人物や物が滅ぶと考えられてきました。
このように国によって若干のズレは生じますが、「天」とは人智を超えた存在を示す言葉です。
「配剤」とは元は「薬を配合すること」でしたが、それが転じてちょうど良い具合に配合することとされています。
薬に関しては「調剤」や「調合」という言葉の方が使われる頻度が高く、「配剤」という言葉は「天の配剤」くらいしか使われていません。
つまり「天の配剤」とは、全知全能である天が何か一方に加担することなく平等に、善悪に見合った報いを適切に配合してくれる様子を示して、「天は物事を適切に配する」という意味で古くから様々な文献で目にする言葉となっています。
「天の配剤」の読み方
「てんのはいざい」と読みます。
読み方が似ていることもあり「天の采配(てんのさいはい)」という誤用が見られますが、正しくは「天の配剤」です。
「天の配剤」の類語
- 「神の思し召し」【かみのおぼしめし】
- 「宿命」【しゅくめい】
- 「お天道様が見ている」【おてんとさまがみている】
「神の思し召し」【かみのおぼしめし】
「神様が思っていらっしゃる通り」という意味です。
信仰している方が主に使う言葉ですが、日常生活上で予期しなかったことが起きた時に使う人も多く存在します。
実際に神様がいるかどうかはさておき、まるでタイミングを見計らったかのように自然災害や人では到底及ばない出来事が起こったとき、どうしても人は「人ではない何か大きい力の存在」を頭によぎらせます。
人が築いてきた文明・科学の力では説明がつかないものや、逆らうことができず身を委ねるしかない状況に出会ったとき、「これは人ではない力の存在が自分に与えた試練もしくは褒美」だと納得させるための言葉です。
悪いことが起きた時でも、奇跡のような良い事が起きた時でも使います。
「天の配剤」と似て、人の考えが及ばないところで神が適切に配した出来事が「神の思し召し」によるものだとされています。
「宿命」【しゅくめい】
宿命とは占いなどでよく耳にする言葉ですが、「前世から定まっている、どうあらがっても変えられない事」を差します。
この言葉も、「天」や「神」など人智を超えた存在を感じさせます。
通常、人は自分で取捨選択を行い人生を生きていくものですが、その中で「どう取捨選択しても結果は同じだった」と思える出来事が起こります。
「神」という存在は、「全ての存在の行く末を知っていてその行いに対して結果や試練を与えてくれる」と考えられています。
このことから、「自分や人の力ではどうにもならない事=誰かがそうなるように仕向けている」と結び付け、どのような工夫をしても同じ結果に操作できるのは「人智を超えた存在である神や天」しかいないと思うようになります。
そう思えるような物事を指して「宿命」と表現します。
「宿命」は偶然ではなく「なるべくしてなった」という必然性を表しており、人智を超えた存在がもたらしたかのようにという意味で「天の配剤」と似ています。
「お天道様が見ている」【おてんとさまがみている】
「お天道様」とは太陽を敬って親しみを込めた言葉であり、天地を司る神様を表す言葉でもあります。
日本でも代表的な宗教である神道にも神格化された太陽として「太陽神」が存在します。
人智を超えた存在が、この言葉でも表現されています。
その太陽(神様)が空からいつも見守っているからには悪いことをすると必ず懲らしめられる、という戒めです。
しかし「悪い事をすれば罰を与えるが、良い事にも必ず報いがあるから、いつもお天道様に見られていると思って行動するべき」というポジティブな意味も含まれています。
自分の普段の行いに対して、「それは悪だった(もしくは善だった)」と結びつけて考えるようなタイミングで適切な結果を神様が返してくれると考える部分が、「天の配剤」と似ています。
「天の配剤」の使い方
それでは、実際に天の配剤を使った例文を見ながら、使い方を理解しましょう。
- 「天の配剤」の例文1
- 「天の配剤」の例文2
「天の配剤」の例文1
「この人事異動はまさに天の配剤だ」
例えば会社に勤めている人であれば、昇進や部署の配置転換など異動を経験することがあるでしょう。
その時に、「この人が課長だったらな」と考える人がいたり、「自分は十分貢献しているから昇進するにふさわしい」と思いを募らせることもあるはずです。
その自分やまわりの人物が考えることと、実際に行われた人事異動がまさに適材適所で賛成できるものであったときに、上記の例文のように使います。
まるで天のように平等に物事を配置してくれたということを、「天の配剤」を使って表現できます。
「天の配剤」の例文2
「抽選で冷蔵庫が当たった途端、家にある冷蔵庫が壊れた。天の配剤かもしれない。」
この例文のように、初めから仕組んでいたわけではないのに偶然にしてはちょうどよかったと思える時に使います。
冷蔵庫が壊れることと、抽選で冷蔵庫が当たることも誰も知りませんし、予想もできません。
しかし、この2つの出来事が同時に起こることで人はまたもや人智を超えた存在について考えたくなります。
このように、人の力では成しえない偶然を差して「天の配剤」を使うことができます。
「天の配剤」の英語
そのまま日本語の「天の配剤」と近い形にするのであれば“the dispensation of providense”となります。
“dispensation”とは「分与、分配」、“providense”とは「神意、神、天帝」を意味します。
神の思し召しという意味である“God's will”も近いでしょう。
「物の損得は天の配剤」の意味
「損得勘定」という言葉を聞いたことがありませんか?何に対しても自分にとって得か損かという利害だけを考えることです。
この考え方はとても利口に聞こえるかもしれませんが、物事の損得は誰にも判断ができません。
一方から見れば損であっても、違う面から見ると得していると思えることもあります。
また、その場では得をしていても、後ほど損する結果になるかもしれません。
短絡的に損得ばかりを考えていても、人生を生きるうえではプラスにならないのです。
つまり「物の損得は天の配剤」とは、それが損か得かを部分的に判断しどちらか一方に決めつけてしまう事はせず、天の配剤により得られるものだと考えて長期的に捉えるべきだという意味です。
「天の配剤」自体はあまり聞きなれない言葉ですが、深い意味のある神秘的な言葉です。
悪い結果も良い結果も自分の行動が生み出すものではありますが、たまたま偶然が重なったときにはぜひこの言葉を思い出してみてください。
世の中にはまだまだ、説明がつかない事象が多数存在しているものです。