「網羅的」とは？使い方や例文！「網羅的」と「包括的」の違い

「網羅的」とは?

「網羅的」とは、「対象とするものを残らずに幅広く取り入れている状態」や「そのことに関係する広範な分野・範囲・対象に及んでいるさま」を意味する言葉になっています。

「網羅的」という言葉は「対象(目的)とする全てのものを集めていたり取り入れていたりするさま」を意味しています。

そのため、「網羅的」には「残らず・余すところなく・すべてをカバーしている(対象とする分野や範囲において漏れ・抜けがないこと)」という意味のニュアンスがあります。

例えば、「実験の失敗の原因がどこにあったのか、網羅的に調査したいと考えています」や「Googleは網羅的検索の利便性によって世界的な大企業になりました」などの文章において、「網羅的」という言葉の「すべての対象・範囲をカバーする」の意味を示せます。

「網羅」の語源は、魚を取る網と鳥を捕まえる羅(あみ)にあり、元々は「人を束縛するもの・人を規制して制裁する法律」を意味していました。

• 「網羅的」の読み方

「網羅的」の読み方

「網羅的」の読み方は、「もうらてき」になります。

「網羅的」の使い方や意味

「網羅的」の言葉の使い方やその意味を、分かりやすく解説していきます。

• 「網羅的に考える」
• 「網羅的解析」
• 「網羅的に検索」

「網羅的に考える」

「網羅的に考える」とは、「一つの対象・物事だけに絞り込まずに、幅広い分野やすべての対象を前提にして考えること」を意味する言葉です。

「網羅的に考える」という言葉は、「可能性のあるものすべてについて考えること」や「対象になるものすべてについて残さずに考えること」を意味しています。

例えば、「ビジネスをスタートさせる時には、対象顧客層を網羅的に考える必要があります」や「各種の仕事を網羅的に考えた結果、私にはこの職業が合っていると思いました」などの文章で使えます。

「網羅的解析」

「網羅的解析(もうらてきかいせき)」という言葉は、「ある系に属している対象となるすべてのデータ・資料について詳しく解析すること」や「調べようとしているデータ・情報・変数(数値)を残らずにすべて測定して分析すること」を意味しています。

「網羅的解析」という言葉には、「測定・分析しようとする系の下にあるサンプル(資料)の種類・数量を余すところなくカバーしている」や「一つのサンプル(資料)の特徴・性質についてあらゆる角度から残らずに計測して分析している」という意味があります。

「網羅的に検索」

「網羅的に検索」という言葉は、「すべてのコンテンツや情報を対象にして検索すること(余すところがない幅広いデータ集合の中から目的のデータを探すこと)」を意味しています。

「網羅的に検索」は「探そうとしているコンテンツ(情報データ)があるか無いかを、一度の検索(サーチ)だけで確認できること」を示唆していて、Googleのように「すべての分野・領域・範囲を検索対象に含めていること(探すことができるデータの集合としてインデックスした状態にあること)」を意味しています。

例えば、「網羅的に検索すれば、見つけようとしている情報は必ず見つかるでしょう」などの文章で使えます。

「網羅的」と「包括的」の違い

「網羅的(もうらてき)」と「包括的(ほうかつてき)」の違いは、「網羅的」は「目的のものと関係するすべてのものを残らずに集めたり取り入れたりすること」を意味していますが、「包括的」は「一つのグループの中にある複数の要素を包み込んで束ねるようにひとまとめにすること」を意味しているという違いがあります。

「網羅的」とは「ある対象Aに関係する対象B、対象C、対象D……などを残らずに取り入れるさま」を意味しているのですが、「包括的」というのは「対象Aの中にある複数の要素を包み込んで(ひっくるめて)一つにまとめてしまうこと、総合的であること」を意味しているという違いがあるのです。

「網羅的」は「目的とする色々な対象・分野・領域を幅広くカバーしているという収集のニュアンス」があり、「包括的」は「一つの対象(分野)の中にある複数の要素をひっくるめて一つにまとめているという総合のニュアンス」があるのです。

「網羅的」を使った例文や短文など(意味を解釈)

「網羅的」を使った例文や短文などを紹介して、その意味を解釈していきます。

• 「網羅的」を使った例文1
• 「網羅的」を使った例文2
• 「網羅的」を使った例文3

「網羅的」を使った例文1

「漢籍に当たって、網羅的にその漢文調の言葉を調べてみましたが、結局その言葉の語源や出典については分かりませんでした」

この「網羅的」を使った例文は、「広範な分野・時代の漢籍に当たって、余すところなく(調べていない漢籍がないくらいに)その漢文調の言葉を調べてみましたが、結局その言葉の語源や出典については分からなかった」ということを意味しています。

「網羅的」を使った例文2

「行方不明者を探し出すためには、網羅的に捜索範囲を広げて、徹底的な聞き込みを行っていく必要があります」

この「網羅的」を使った例文は、「行方不明者を探し出すためには、捜していない場所がないくらいに余すところなく(残らずに)捜索する範囲を広げて、徹底的な聞き込みを行っていく必要がある」ということを意味しています。

「網羅的」を使った例文3

「この各企業のサービスに対する顧客満足度の数字は、網羅的調査の結果なので信頼できると思います」

この「網羅的」を使った例文は、「この各企業のサービスに対する顧客満足度の数字は、対象となる顧客層・年齢層すべてを幅広く集めて調査した結果なので、信頼できると思う」ということを意味しています。

「網羅的」の類語や類義語・言い換え

「網羅的」の類語(シソーラス)・類義語・言い換えについて、分かりやすく解説していきます。

• 「カバーしている」
• 「総花的・包含している」
• 「満遍なく」

「カバーしている」

「網羅的」の類語(シソーラス)・言い換えとして、「カバーしている」があります。

「カバーしている」は日本語でも一般に普及して使われている言葉で、「ある対象や範囲(領域)に及んでいること。

その対象や範囲について触れていること」を意味しています。

その意味から、そのことに関係するものすべてに及んでいることを意味する「網羅的」と良く似た意味合いを持つ類語として、「カバーしている」を上げることができるのです。

「総花的・包含している」

「網羅的」の類義語・言い換えとして、「総花的(そうばなてき)・包含している(ほうがんしている)」があります。

「総花的」というのは、「関係する人すべてにまんべんなく恩恵・利益を与えること」や「全方位に向けて配慮していること」を意味する言葉です。

「包含している」という言葉は、「ある物事や分野を包み込んで含んでいること」や「ある物事・対象を考慮の対象として含めていること」を意味しています。

それらの意味から、余すところなく集めたり取り入れたりしているさまを意味する「網羅的」は、「総花的・包含している」という言葉で言い換えることができるのです。

「満遍なく」

「網羅的」の類語(シソーラス)・言い換えとして、「満遍なく(まんべんなく)」があります。

「満遍なく」という言葉は、「偏ることなくすべての人・分野に及んでいるさま」や「全体に余す所なく行き渡っていること」を意味しています。

その意味合いから、そのことに関係するものを残らずに集めたり取り入れたりしているさまを示す「網羅的」と近い意味を持つ類語(シソーラス)として、「満遍なく」を指摘することができるのです。

「網羅的」の英語と解釈

「網羅的」という言葉は、一般的に“cover”(カバーしている・及んでいる・含んでいる)の英語で表現することができます。

「網羅的」を意味する英語としては、“exhaustive”(余すところなく徹底的な・完全な)や“exhaustively”(徹底的に)、“comprehensive”(包括的な・幅広い)、“all-inclusive”(すべてを広く含んでいる)もあります。

• “This exhaustive dictionary covers a lot of technical terminology.”
• “This investigation was all-inclusive about employment situation.”

“This exhaustive dictionary covers a lot of technical terminology.”

この「網羅的」を使った英語の例文は、「この網羅的な辞書は、たくさんの専門用語をカバーしています」ということを意味しています。

“This investigation was all-inclusive about employment situation.”

この「網羅的」を使った英語の例文は、「この調査は、雇用情勢についての網羅的な調査でした」ということを意味しています。