「良きに計らえ(よきにはからえ)」とは?の敬語での使用例や現代語での解釈
皆さんは「良きに計らえ」という言葉を知っているでしょうか?
時代劇の中のセリフでよく耳にすることがあるのですが、日常生活の中では、全く使うことがないでしょう。
まあ、冗談めいた会話で出てくる程度ではないかと思います。
しかし、とても興味深い言葉でもあるので、今回はこの言葉について触れて行こうと思います。
目次
- 「良きに計らえ」とは?
- 「良きに計らえ(よきにはからえ)」の使い方
- 「良きに計らえ」の現代風な言い換え
- 「良きに計らえ」の敬語での使用例や言い換え
- 「良きに計らえ」の返事の方法(意味)
- 「良きに計らえ」の関連語と解釈
「良きに計らえ」とは?
「良きに計らえ」という言葉は、時代劇などのワンシーンで殿様が家臣に対して使っている場面が出て来ます。
「自分の良いように処理しておいていいぞ」といったような意味合いがある表現です。
ビジネスの場面でも上司に相談して指示を仰ぐというステップがありますが、いちいち詳細を聞きながら指示することは上の立場からすると、とても面倒なことです。
そのために、部下自身の独自の判断に任せるので、そのようにやっておくようにということで使われる言い回しです。
仕事では細々したことを上司に報告・相談することは、とても大切なことですが、権限委譲をある程度することで、スピーディーに物事がはかどることがありますので、そんな時に使えればいい言葉かもしれません。
- 読み方
読み方
「良きに計らえ」は、「よきにはからえ」という読み方になりますが、とくに難しい読み方をしませんので、問題はないでしょう。
「良きに計らえ(よきにはからえ)」の使い方
では、「良きに計らえ」を他の場面で使ってみると、どんな感じがするでしょうか?
真面目なシーンで使われることはないと思いますが、色々なシチュエーションに照らし合わせて見ていくことにしましょう。
- 日常生活の冗談に
- ビジネスでの冗談に
日常生活の冗談に
普段の生活の中で「良きに計らえ」と言うと、「君の好きなように振る舞えばいいさ」というように言うかもしれません。
奥さんが「今夜は何を食べたい?」と聞いてきたなら、旦那が「良きに計らえ」と答えることもユニークな使い方かもしれませんね。
また、彼女と旅行に行く時に「何処に行きたい?」と質問して「良きに計らえ」なんてことを言われたなら、これもユニークな使い方でしょう。
でも、その言葉を丸ごと受け止めて、自分の好みを優先されたなら、彼女がへそを曲げることは必至です。
「あの時、良きに計らえって、言ったじゃないか」と本気モードで怒って喧嘩することがないようにしなくてはならないかもしれません。
ビジネスでの冗談に
ビジネスのシーンでも、気心知れた上司・部下の関係で使ってみると、意外に面白いかもしれません。
「課長、今夜の接待の決裁を事前にもらいたいんですが?」とお願いした時に、上司が「良きに計らえ」と言います。
「摂待で使える経費の上限額はお前に任せる」という解釈もできますが、真剣に額面通りに受け止めて、一晩で何十万円も使わないようにしましょう。
後で、大目玉を食らうことは、目に見えていますから。
「良きに計らえ」の現代風な言い換え
「良きに計らえ」は、だれが聞いても、使ってみても、間違いなく古風な言い回しにしか聞こえません。
ジョークで使っているうちは、まだ笑ってやり過ごすことができるとできるのですが、真面目に使うと意味が理解されても、「変な人」と思われるのがオチです。
この言葉は、現代風に表現すると、どんな言葉で言うことができるでしょうか?
- 「適切な処理をしてくれ」
- 「最善を尽くしなさい」
- 「任せるからお願いね」
「適切な処理をしてくれ」
「適切な処理をしてくれ」という言い回しが、「良きに計らえ」の現代風の言い回しとして、当てはまる表現でしょう。
しかし、「適当に処理」ではなく、周りの状況を見ながら、「適切に処理」することなので、その時の状況に見合った処理をすることが重要なポイントです。
「最善を尽くしなさい」
「最善を尽くしなさい」もある意味「良きに計らえ」に近い解釈ができますが、「良きに計らえ」は、「後はお前に任せるので、俺は知らないぞ」とちょっと無責任な上司が姿が見え隠れしそうです。
一方の「最善を尽くしなさい」には、「その時の状況でできることを精一杯やりなさい」というニュアンスが込められています。
言い換えると「ベストを尽くしなさい」という意味でも理解することができます。
「任せるからお願いね」
これもかなり平易な言い方かもしれませんが、「後の処理は君の好きなようにしていいから」という意味で捉えることができますが、この言葉の裏には、「任せるけど、私は責任を取らないから、巻き込まないでね」と無責任な姿勢がありそうです。
ちょっとずるい人なると、このような言い方を、上手に使い分けます。
魅力的な女性の上司が、男の部下に対して、甘い口調で言いながら、いざとなると、「好きにしていいとは言ったけど、常識の範囲で行動しなさいってことよ」とハシゴを外してしまいそうな感じもします。
ちょっと危ない可能性もあるので、そのまま理解して行動することは、控えた方がいいかもしれません。
「良きに計らえ」の敬語での使用例や言い換え
では、「良きに計らえ」を敬語で使うなら、どのような言い方ができるでしょうか?
- 「お取り計らいのほどよろしくお願いいたします」
「お取り計らいのほどよろしくお願いいたします」
「お取り計らいのほどよろしくお願いいたします」という言い方が現代的な会話の中で、敬語の形で使われています。
主にビジネスシーンで使われることが大半なのですが、色々な解釈ができるので、用途別範囲が広い言葉です。
「中身を確認して受け取っていただくようにお願いします」という意味で使われることができますが、この他にも「物事がうまく進むように」や「何とか検討していただけるように」、「ご了解いだだけるように」といったようなことを相手に伝える時に用いられています。
ビジネスで取引先に対して、色々なお願いをする時に使えるフレーズなので、営業の職種の人は、何度が耳にしたことがあると思います。
もしかすると、実際にあなた自身もすでに使っているのではないでしょうか?
「良きに計らえ」の返事の方法(意味)
「細かな相談はもういいので、後はお前の判断で処理しなさい」という意味の「良きに計らえ」という言葉で上の人に指示されたなら、どのような言葉で返事をすべきなのでしょうか?
- 「御意」
- 「ありがたき幸せ」
「御意」
「御意」という言葉が「良きに計らえ」の返して方の1つですが、「(上の人=上司)のお考えの通りにいたします」という解釈ができます。
あるいは、「おぼしめし」という意味もあり、「あなた様のおぼしめしの通り」ということがいえるでしょう。
「御意」は目上の人の指図や命令の尊敬語のことで「御意のとおり」という表現の略された言い回しです。
平たく言うと、「そのとおりにします」という言い方で通じるでしょう。
「御意」は普段の生活の中で使ったとしても、意味を理解してくれる人はあまりいないでしょうし、変な目に見られてしまうでしょう。
会社でも上司の指示に対して「御意」と言うと、「なんだコイツ?」と思われてしまう可能性があります。
よほど時代劇が好きで、気の置ける上司ならジョークの意味も含めて使えるかもせません。
「ありがたき幸せ」
「ありがたき幸せ」も「御意」と同じように昔の古い言葉で、時代劇でよく出てくるセリフですね。
「めったにない巡り合わせ」、あるいは「幸運」といった意味を示している古めかしい言い回しです。
幕府の将軍様が家臣に対して、「良きに計らえ」と言うと、「ははぁ、ありがたき幸せ」というのが、定番的なセリフのパターンですが、と本当にこのような言葉が交わされていたのですから、面白いものです。
でも、心から本当に「ありがたい」と思っていたのかは定かではありません。
言葉は色々と取り繕うことができるとできますので、このような言葉にも裏があるはずです。
「良きに計らえ」の関連語と解釈
「良きに計らえ」は古い言葉ですが、この表現に関連する言葉も色々とありそうです。
- 「くるしゅうない」
「くるしゅうない」
「くるしゅうない。
ちこう寄れ」と言うような使い方があります。
これは「苦しくない。
遠慮せずに私の近くに寄ってこい」という意味で、「くるしゅうない」は「かまわない」や「差し支えない」と言う意味で使われます。
とは言っても、この言葉も古い言葉なので、現代の会話の中で使うなら、ジョーク的に使うことになるでしょう。
「良きに計らえ」とはよく言ったものだと思います。
「好きにしていいぞ」、「後は任せた」、「上手くバレないように片付けおけ」などと色々な使い方ができる言葉なので、現代で使うことができたなら、とても面白い会話ができて、とても弾んで仕方がないような気がしてなりません。
もし、オフィスでジョークでも使うことができたなら、上司に言わせてみると、仕事の進み具合もスピードアップでかきりするかもしれませんね。