「君側の奸」とは?意味と類語!例文と使い方!
この「君側の奸」は、望ましくない存在に違いありませんが、昔から必ず存在していると考えていいかも知れません。
目次
- 「君側の奸」とは?
- 「君側の奸」を分解して解釈
- 「君側の奸」の類語や言い換え
- 「君側の奸」を使った言葉と意味を解釈
- 「君側の奸」を使った例文や短文など(意味を解釈)
「君側の奸」とは?
君側の奸とは、仕えている立場で、その君主を自らの思い通りに(悪い方向に)動かそうとする人間のことです。
このような人間はいつの世にも居るもので、権力者を思い通りに動かすことで、自分にとって何らかの利益にすることが目的です。
このような人間にとって、仕えている君主は言わば「操り人形」です。
それをいかに自分が思った通りに利用できるかと考えています。
現在の世の中でも決してそのような存在が居ないとは言えず、古くは江戸時代やその前から、時の執権や将軍といった立場の人物の周りに居たと推測されています。
- 読み方
読み方
「君側の奸」は、「くんそくのかん」と読んでください。
読み方として難しい部分は、「君」を「くん」と読むことと、最後の「奸」という漢字でしょう。
前者は、この言葉の意味から「君主」(くんしゅ)の「君」だと分かれば、普通にそのように読めるでしょう。
後者の「奸」は、「邪な」(よこしまな)という意味のある漢字で、「かん」としか読み方がないので、そのように読むのだと覚えてしまいましょう。
「君側の奸」を分解して解釈
「君側の奸」を2つの言葉に分け、それぞれ詳しく解説していきます。
この2つの言葉の意味が、そのまま「君側の奸」の解釈に繋がっていることが分かるでしょう。
- 「君側」
- 「奸」
「君側」
「君側」は、「君主の側の人間」という意味になります。
ほとんどの場合で、いわゆる重鎮と呼ばれるような「側近」(そっきん、その人間にかなり近い人物)だと考えていいでしょう。
「奸」
「奸」は先に書いたように、「邪な考え方をもった」と解釈してください。
ここでのそれとは、自分の思い通りに君主を操り、自分の利益にしようという悪い考え方です。
よって、そのような考え方をもった君主側の人間が、この「君側の奸」という言葉で表現されます。
「君側の奸」の類語や言い換え
「君側の奸」と似た意味のある言葉や、言い換えに使える表現などです。
見た目から似た言葉だけでなく、カタカナ語も挙げていきます。
- 「君側之悪」(くんそくのあく)
- 「奸臣」(かんしん)
- 「フィクサー」
「君側之悪」(くんそくのあく)
「君側の悪」とも表現され、「君側の奸」と全く同じ意味です。
「奸」をそのまま「悪」と表現しているだけなので、同様の言葉だとすぐに分かるでしょう。
一般に「君側の奸」より、こちらの「君側之悪」の方が同じ意味でよく使われている言葉です。
よって、「君側之悪」の言い換えが「君側の奸」だと表現してもいいくらいです。
「奸臣」(かんしん)
悪いことを考えている家臣(家来)という意味です。
「君側の奸」に近い表現ですが、「側近」という意味は含まれていないので、「君側の奸」より広い解釈で使うことができます。
直接君主が操れる立場でなくとも、君主側なことを利用し、悪巧みするような人間のことだと解釈してください。
「フィクサー」
この言葉自体は聞いたことがあっても、詳しい意味は知らないという人も多いと思います。
このフィクサーとは、簡単に言ってしまえば「影の実力者」です。
時の権力者の背後にこの存在があることも少なくなく、「君側の奸」以上に好き勝手にその権力者を動かすことができるほどの人物のことです。
「君側の奸」の場合、権力者に仕えているという立場ですが、フィクサーはそうではなく、その権力者に利益が提供されたり(お互いに得になるようなケースです)、何かの弱みを握ることで好きに操っている存在です。
その為、権力者側も操られていることが分かっていますが、まず逆らうことができず、そのような存在があると、文字通り「操り人形」となってしまいます。
「君側の奸」を使った言葉と意味を解釈
君側の奸を使った言葉と、その意味の解釈です。
「君側の奸」は決して好まれる存在ではない為、歴史上でもこのようなことが少なくありませんでした。
- 「君側の奸を討つ」
- 「君側の奸を除く」
「君側の奸を討つ」
言葉のまま、「君側の奸」だと分かっている存在を倒すことです。
「討つ」という表現は、失脚させるという意味も含みますが、普通に考えると殺してしまうことです。
いわゆる「クーデター」とは違い、権力者が操られていた(それにより、多くの人に悪影響があった)状態を正常に正す為に行われる行為です。
「君側の奸を除く」
こちらも上とほとんど同じ意味ですが、この「除く」は殺すというところまで強い表現ではなく、実質的に排除する(失脚させる)ことだと考えていいでしょう。
日本の歴史において、このようなことは幾度と行われてきたと考えられますが、同時に、これがうまくいかなかった為に、「君側の奸」が次の権力者となってしまったという例もあります。
「君側の奸」を使った例文や短文など(意味を解釈)
「君側の奸」を使った例文や短文と、その意味の解釈です。
実際の歴史上の出来事も含めて例を挙げていきます。
- 「君側の奸」を使った例文1
- 「君側の奸」を使った例文2
「君側の奸」を使った例文1
「かの徳川家康は、実は君側の奸だったと言えるだろう」
15代の徳川慶喜まで、約300年も続いた江戸時代の初代将軍は徳川家康ですが、この徳川家康は、豊臣秀吉の天下の時代にはその実質的な掌握下にあり、2代目となる豊臣秀頼の重臣(後見人)という立場だったにも関わらず、最後にはそれを倒してしまい、自分が天下の立場に就きました。
このようなことは戦国の世の習いなので、決して責められることでもありませんが、「君側の奸」に操られるだけでなく、最後にはそれによって乗っ取られてしまうことまであるいい例として挙げておきます。
「君側の奸」を使った例文2
「あの専務は、もっぱら君側の奸だという噂だ」
社長に近しい立場の専務が実は「君側の奸」で、何やら悪巧みしているという噂が立っているようです。
どこの会社でもあるそうな話で、決していいことではありませんが、相手が専務ともなると、その告発をするのもまた難しく、厄介な問題だと言えるでしょう。
君側の奸は、いつの世にも必ず居ると言っていいでしょう。
ただ、対象の君主や権力者と近い存在なことがほとんどなので、それを取り除くことも容易ではなく、その人物がそうだと分かっていながら、静観しかできないという場合も少なくないのが現実です。