「拙著」とは?意味と類語!例文と使い方!
「拙著」という表現を知っているでしょうか。
作家や大学で研究している人など、この表現をよく使うことがあります。
それならば、「拙著」という言葉にはどのような意味があるのでしょうか。
ここでは「拙著」という表現について紹介します。
目次
- 「拙著」とは?
- 「拙著」の対義語
- 「拙著」を使った言葉と意味を解釈
- 「拙著」を使った例文や短文など(意味を解釈)
- 「拙著」の類語や類義語・言い換え
- 「拙著」以外の自己の論著を卑下して呼ぶ言い方
「拙著」とは?
「拙著」という表現は自分の書いた書物をへりくだって表現する単語になります。
例えば、作家や研究者などは自分の本を出版することがありますが、自分が出版した本、自分が執筆した本のことをへりくだって表現するときに「拙著」、というのです。
自分が書いた書物は自分で売り込んでいかなければいけません。
あるいは、研究者の場合は自分が書いた書物を引用して新たな研究をすることもあるでしょう。
そのような場合にも「拙著」という表現が使われます。
- 読み方
- 「拙著」の使い方
読み方
「拙著」という表現は「せっちょ」と読みます。
「拙」という漢字には男性が自分のことを謙遜する単語でもあります。
「拙著」の使い方
本を出版したことがないのであれば、「拙著」という表現を使う事はありません。
自分で本を出版したことがあるならば、「拙著に対して読者からさまざまな好評をいただきました」などと使うことが可能になります。
あるいは、すでに何冊もの本を出版したことがあれば、「このような内容に関して、オススメの拙著を紹介します」などと使うことも可能です。
「拙著」という表現で代用することにより、自分が出版した本のタイトル等を敢えて何度も述べる必要がなくなります。
「拙著」の対義語
「拙著」という言葉の対義語は「高著」になります。
「拙著」という表現が自分の書いた書物をへりくだる単語になりますので、対義語は自分の書いた書物を高めて表現する言葉なのかと思う人もいるかもしれませんが、高著という表現は他人を敬い、その人の著書を指す表現になります。
例えば研究者の場合、他の研究者が書いた文献を引用したり、参考にしたりすることも珍しくありません。
そのような時、もしも文章中で誰かの文献に触れる場合は「高著」という表現が使えます。
特に誰か尊敬している研究者が書いた文献について触れる場合、この表現が重視されます。
「拙著」を使った言葉と意味を解釈
ここでは「拙著」という表現を使った言い回しを紹介します。
- 「拙著ではございますが」
- 「拙著を謹呈する」
「拙著ではございますが」
「拙著ではございますが」、という言い回しは、自分の文献について述べるときに使える表現です。
例えば、自分が書いた本を誰かに贈呈したいと考える場合、「自分の本が出版されたのですが」「自分が執筆した文献があるのですが」などという意味で「拙著ではございますが」という表現が使われます。
「拙著を謹呈する」
「拙著を謹呈する」、というのは自分が書いた文献を誰かに謹んで差し上げること、という意味になります。
謹呈という言葉には人にものを送るという意味があり、謹んで差し上げる、ということになります。
自分の本が出版された場合、出版社から何部がその本を受け取ることがあります。
そしてその受け取った方も、例えば自分の研究においてお世話になった人や自分の指導教員、あるいはその分野で第一人者となっている先生たちに謹呈する、ということがあります。
そのような場合にこの表現が使えます。
「拙著」を使った例文や短文など(意味を解釈)
ここでは「拙著」という言葉を使った例文を紹介します。
- 「拙著」を使った例文1
- 「拙著」を使った例文2
- 「拙著」を使った例文3
- 「拙著」を使った例文4
「拙著」を使った例文1
「拙著のためには、多くの方々の協力をいただきました」
本を出版するというのは簡単なことではありません。
作家であれ研究者であれ、文章を執筆したら編集者が何度もそれを読み返し、文章を編集して書いた張本人が再度それをチェックし、という作業を繰り返します。
そして間違いがないように、わかりやすいように、さらに量などを考慮した上で出版されるのです。
必要に応じてイラストが組み込まれることもありますし、どのような表紙にするのか考えなければいけないこともあります。
女性の場合は旧姓を使って出版することもありますし、作家であればペンネームを利用することもありますので、著者の名前をどのようにするかということも考えなければいけません。
そのため、本を出版するという事は時間がかかることであり、多くの人たちの助けを必要とするのです。
そのため、本が出版された場合は周りの人に対し、感謝の意を述べることがあります。
「拙著」を使った例文2
「拙著のためには、助成金の獲得が大きな励みとなりました」
研究者が文献を出版する場合、お金がかかることも珍しくありません。
出版には数百万円かかることもありますから、中には自分でお金を出して出版する人もいます。
その一方で、自分の研究業績などを表に出し、助成金を獲得する人たちも存在します。
特に文献を出版するための助成金なども存在しますので、そのような助成金に応募することで「その文献には出版する価値がある」ということをその団体に説得し、助成金をもらう、ということもあるのです。
そのため、助成金がもらえることになれば文献の出版が現実的になると考える人も珍しくありません。
「拙著」を使った例文3
「拙著が出版されましたら、ぜひ謹呈させてください」
自分の本が出版された場合、大切な人にはプレゼントしたいと考える人も珍しくありません。
特に研究書の場合は自分の指導教員などに渡したいと考える人も多く、場合によってはサインをして欽定するということもあります。
しかし、出版にはとにかく時間がかかりますから、「出版されたら謹呈致します」ということもあるでしょう。
ちなみに、文献は著者の署名があると古本屋などで高く売れるという噂もあります。
ただし、著者が署名する場合は謹呈する相手の名前を書くこともあり、そこまで書いてしまうとそもそも古本屋で売れないという問題もあります。
また、謹呈という言葉以外に、贈呈という言葉が使われる場合があります。
「拙著」を使った例文4
「私の拙著を紹介させて致します」
作家であれ研究者であれ、自分の文献を売り込んでいかなければいけないこともありますね。
そのため、必要に応じて自分が書いた文献を紹介していかなければいけません。
今まで自分がどのような本を描いてきたのか売り込むことにより、その本を読者に読んでもらうことが可能になるのです。
研究者であればそこから引用してもらうこともできますし、自分の研究が拡大していきます。
作家であれば、多くの人に本を購入してもらうことで直接的な収入に繋がります。
「拙著」の類語や類義語・言い換え
ここでは「拙著」という表現の類義語について紹介します。
- 「拙作」
- 「愚作」
- 「駄作」
「拙作」
拙作という表現は出来栄えの悪い作品という意味もありますが、自分の作品をへりくだって表す意味も持ち合わせています。
つまらない作品という意味になり、自分が書いたものを指しているのです。
実際には自分が書いたものに誇りを持たなければいけませんが、謙遜が美徳とされる日本においては自分が書いたものを「価値のないものですが」などと表現することでその価値を高めることが可能になるのです。
「愚作」
愚作というのはくだらない作品、という意味です。
しかしそれ以外にも自分の作品をへりくだって指す、という意味合いがあり、「拙著」や拙作と同じ意味を持ち合わせていることが分かります。
自分の失敗作、ボツネタ、などと言われることもありますが、これはあくまでも謙遜した表現になります。
その一方で、研究者などはそれなりに自分の研究に対して誇りがありますから、この表現はあまり使わないかもしれません。
「駄作」
駄作という表現には出来の悪い作品、取るに足りない作品、という意味があります。
失敗している、くだらない、という意味があり、ネガティブな意味合いも含みます。
自分が書いたものをへりくだるというよりも、価値が低いものとして言及する場合に使われる表現だといえます。
「拙著」以外の自己の論著を卑下して呼ぶ言い方
ここでは、「拙著」以外に自分の論著を卑下する言い方を紹介します。
様々な言い回しがありますので、併せて覚えておきましょう。
- 「拙論」
- 「拙稿」
「拙論」
拙論という表現は十分でない議論、論理、という意味を持ち合わせていますが、それ以外にも自分の議論や論議などをへりくだっていう表現でもあります。
研究者などは自分の研究を主張してこそ仕事になりますので、自分の議論を相手に伝えていかなければいけません。
しかし、だからといって「自分の議論は他の何よりも素晴らしい」という言い方はできません。
そのため、自分の議論をへりくだって表現する必要があるのです。
そのような時には拙論という表現を使い、自分の議論や論議等について相手を尊重した上で説明していかなければいけません。
「拙稿」
拙稿という表現は自分の原稿をへりくだっていう言葉です。
研究者の場合、出版するといっても自分の本を出版するとは限りません。
例えば1人の研究者が何人もの研究者に執筆を依頼し、違う人たちが違う章を担当する場合もあります。
また、学術書などには自分の論文を投稿し、査読を経て出版してもらう場合もあります。
査読を経て出版してもらった学術書にはあくまでも自分の原稿が掲載されるという事ですので、自分の本というわけではありません。
自分の原稿が掲載されたときには出版社から自分の原稿の抜き刷りをもらうこともあります。
そしてこの抜き刷りを自分の指導教員などに謹呈するのです。
この場合は拙著とは言わず、拙稿になります。
自分の本を出版した、自分の研究を論文で発表した、などというわけでは無いのであれば、この拙著という表現を使う事はないでしょう。
しかし、本を読んでいるとこのような表現はよく出てきますので、ぜひ覚えておきたいものです。
自分の本をへりくだって指した表現であり、これ以外にも様々な言い回しがあります。
日本は謙遜が美徳の国ですから、他の言い回しと一緒に、合わせて覚えておけると良いですね。