「齎される」とは?「齎」は常用漢字?意味と類語!例文と使い方!
「齎される」と書かれていても読めない、という人はほとんどかと思いますが、声に出して聞くと知っている言葉、という人が多いはずです。
ここでは、「齎される」という言葉についてご紹介していますので、ぜひこの機会に一読ください。
目次
- 「齎される」とは?
- 「齎される」の類語や言い換え
- 「齎される」を使った言葉と意味を解釈
- 「齎される」を使った例文や短文など
- 「齎される」の対義語
- 「齎される」はひらがなで書いたほうが無難?常用漢字?
- 「齎される」の英語や例文など
「齎される」とは?
「齎される」とは、「齎す」という言葉に可能・自発・受身・尊敬を表す助動詞「れる」がついた言葉です。
「齎す」とは、持ってくることや引き起こすことをいいますが、「齎される」の形では、ある物事について、それがこれまでと違った状態になることや、なにかが持ち込まれること、導入されること、という意味で使われています。
- 「齎される」の読み方・漢字
- 「齎される」の語源
「齎される」の読み方・漢字
「齎される」は「もたら(される)」と読み、聞いたことがある、使ったことがある、という方も多い言葉かと思います。
「齎」という漢字にはほかに、「セイ」「サイ」「シ」「もちもの」「たから」「ああ」といった読み方があり、持っていく、持ってくる、贈り物、宝物、持ち物、感嘆の声、などを意味します。
「齎される」の語源
「齎す」とは、持ち物や宝物などのほかに持っていく、持ってくること、という意味がありました。
和語である「もたらす」には、このような意味があり、「持つ」「持っていく」といった意味から「もたらす」という言葉が成立したのではないかと考えられています。
「齎される」の類語や言い換え
「齎される」という言葉はほかに、どのような言葉に言い換えることができるでしょう。
類語表現をいくつか挙げておきますので参考にしてください。
- 「伝わる」【つたわる】
- 「引き起こす」【ひきおこす】
- 「触発される」【しょくはつされる】
「伝わる」【つたわる】
「青銅器の作り方が伝わる」
「伝播する」という言葉で表現しても構いませんが、「齎される」とは、知識や金品が地点Aから地点Bに持ってこられることも意味します。
古くは日本の土地に渡来人がやってきて、さまざまな知識や物質が「齎され」たようですが、それを、「伝わる」ということもできます。
「伝わる」はとても一般的な物言いで、声に出しても伝わりやすく、また、文書やメール文などに使用しても、相手に理解されない、ということがないのが利点です。
「引き起こす」【ひきおこす】
「指摘したつもりが、彼との衝突を引き起こすこととなった」
「齎される」には、引き起こすという意味があり、よくないことが起こった場合にも使われます。
災害や災厄に関して、それが望んだかどうかに関係なく引き起こされた場合、「齎され」た、という表現をすることは多々あります。
しかし、「齎される」という言葉を使いづらい場合には、「引き起こす」という言葉に言い換えるといいでしょう。
「触発される」【しょくはつされる】
「友人がサーフィンを始めたと聞き、触発される」
なんらかの刺激に対し、別の感情や動作が起こることを「触発される」と表現することができます。
これは、「引き起こす」の場合にも似た「齎される」の類語表現といえます。
なにかに起因し、起こったできごとに関しては、「触発される」という類語を使ってみてもいいでしょう。
「齎される」を使った言葉と意味を解釈
では、「齎される」という言葉を使用した語句を紹介します。
どのように使われる言葉なのかを掴むためにも見ておきましょう。
- 「齎される結果」
- 「変化が齎される」
- 「齎された物」
「齎される結果」
「畑を持っていると、こぼれ種からも恵みが齎される結果となる」
意図するしないにかかわらず、なにかを行った結果、受け取るもののことを、「齎される結果」といいます。
もちろん、当初から望んでいた結果についても「齎される」という言葉を使うことがありますが、どちらも場合も、人の作為無作為に関係なく、受け取ることができる、というところが「齎される」という言葉の特徴となります。
「変化が齎される」
「使う道具を変えてみたところ、できあがりに随分と変化が齎された」
うまくいかないときには、環境を変えたり、使う道具を変えることでうまくいく、というできごとがよくありますが、このことに関しても、「齎される」という言葉を使うことができます。
人がなにをやってもダメでも、神のさじ加減一つで変化が起こる、という場合、たとえば天候によって差が生じるというようなことに関しても使用できる言葉です。
「齎された物」
「災害で多くを失ったが、代わりに齎された物もたくさんある」
大きな災害が起こると各地で聞かれる言葉ですが、家や大事な人、身の回りのもの、職など、これまで必要と感じていたものをさっぱり失ってしまっても、救助に来てくれる自衛隊や、ボランティアの人々とのつながり、そこから新たにはじまる事業など、意図せずして運ばれてきたものを、「齎された物」ということができます。
「齎される」を使った例文や短文など
次に、「齎される」という言葉を使用した例文を紹介します。
例文を見る中で、使い方をマスターしていってください。
- 「齎される」を使った例文1
- 「齎される」を使った例文2
「齎される」を使った例文1
「電化製品の普及によって、人々は生活における大変革を齎されることになった」
今でこそ当たり前のように使っている電化製品ですが、つい半世紀前までは、どれも当たり前ではありませんでした。
これから先にも、「AIの普及」や「電子マネーの普及」などが人々を待ち受けており、また、新しい生活が「齎される」のではないでしょうか。
「齎される」を使った例文2
「孫の誕生によって家族全体に幸福が齎された」
子どもが生まれるというのは、本当に喜ばしいことです。
「授かりもの」と昔からいわれてきましたが、昨今では不妊治療も珍しくなくなってきており、本当に子どもが誕生するというのは「授かる」といえる奇跡的な出来事です。
「齎される」という言葉は、この、「授かる」という言葉とも似たニュアンスで使われることが多々あります。
「齎される」の対義語
「齎される」の対義語も見ておきましょう。
反対の意味を持つ言葉が分かると、より、「齎される」という言葉への理解が深まります。
- 「運び出す」
- 「持ち去る」
- 「奪い取る」
「運び出す」
「すべて運び出すのは骨が折れる」
「齎される」とは、持っていく、持ってくる、というような意味の言葉ですので、その反対の意味になる言葉を思い浮かべてください。
「運び出す」は、「齎される」の完全な意味での対義語とはいえそうにありませんが、その類の言葉としてとらえると、「齎される」の意味が掴みやすいです。
「持ち去る」
「彼はそっとバッグを持ち去ることにした」
「齎される」には、「授かる」つまり、「恩恵を受ける」といった意味に近い言葉と先述しました。
ですので、逆になにかを持ち出すことを意味する、「持ち去る」という言葉を反対語の一つとしてあげておきます。
性質上、完全な対義語をあげにくい「齎される」という言葉ですが、反対の意味に近い言葉として覚えておきましょう。
「奪い取る」
「友人から恋人を奪い取ることに成功した」
こちらも、「授かる」「恩恵を受ける」という意味の逆の言葉になります。
「齎される」とは、なにかを受け取ること、という意味で使われますので、「奪い取る」という言葉も反対語の類といえるでしょう。
「齎される」はひらがなで書いたほうが無難?常用漢字?
「齎される」は、漢字を覚えるのが好き、という人にとってはたやすい漢字かもしれませんが、一般的には使われない漢字といえます。
ですので、ひらがなで書くようにしておくのが無難といえます。
また、「齎」という漢字は常用漢字ではなく、JIS水準では第2水準、漢字検定では1級の範囲に当たります。
「齎される」の英語や例文など
最後に「齎される」を意味する英語を見ておきましょう。
英語学習も、単語をすこしずつ覚え、知識を蓄積していくことが重要です。
- “brought about”
- “come from”
“brought about”
“brought”は、“bring”の受身形として使われ、“brought about”とは、引き起こすこと、また、「齎される」ことを意味するフレーズです。
“brought about big chance”といえば、「大きな好機を齎す」となり、“brought about a great change”といえば、「大きな変化を齎す」となります。
“come from”
“Where are you come from?”という疑問形でよく知られる“come from”というフレーズですが、これは本来、「○○から来る」「○○に由来する」という意味で使われており、また、「○○によって齎される」という意味も含んでいます。
学校で習った単語ばかりのため、なじみやすい、という方はこちらから使ってみるといいでしょう。
「齎される」とは、持ち込まれる、引き起こされる、導入される、といった意味で使われている言葉でした。
なにか、予期せぬ素晴らしいものが「齎され」たときには、感謝の心を忘れず、その恩恵を余すところなく受け取るようにしてくださいね。