「ご了承ください」と「ご容赦ください」、「ご理解ください」の違い
「ご了承ください」とは「どうかご理解いただき、受け入れてください」を示すビジネスで使われることが多い言葉です。
この記事では「ご了承ください」「ご容赦ください」「ご理解ください」の敬語の意味と使い方、意味の違い、使い方の違いについて詳しく説明していきます。
目次
- 「ご了承ください」の意味とは?
- 「ご容赦ください」の意味とは?
- 「ご理解ください」の意味とは?
- 「ご了承ください」と「ご容赦ください」の使い分け
- 「ご了承ください」と「ご理解ください」の使い分け
- 「ご了承ください」と「ご容赦ください」と「ご理解ください」を使った例文
「ご了承ください」の意味とは?
「ご了承ください」の意味は、「何らかの提案・条件・問題について、どうかご理解いただき、受け入れてください」になります。
「ご了承」の言葉は、「了承」に尊敬の意味を表す「ご(御)」がついたもので、「了承」とは「承諾(承知)すること・事情を理解して納得すること・理解して受け入れること」を意味しています。
「了承」の「了」は「納得すること・受け容れること」、「承」は「承ること(うけたまわること)」を意味します。
- 「ご了承ください」の言葉の使い方
「ご了承ください」の言葉の使い方
「ご了承ください」の言葉の使い方は、「何らかの提案・条件・仕事内容・問題内容などについて、(目上の人)に事前に理解してもらって受け入れてほしい場合」に使うという使い方になります。
「まだ始まっていないこと(これから始めること)」に対して使うことが多い言葉です。
また「ご了承ください」というと、「相手に事後的な異論・反論・苦情を許さずにとにかく理解して納得してほしい」という押し付けがましい印象も出てくるので、「ご了承のほど、よろしくお願い致します」「ご了承のほど、よろしくお願い申し上げます」といった言葉に言い換えて伝える使い方も多くなります。
「ご容赦ください」の意味とは?
「ご容赦ください」の意味は、「相手に対して自分がしたことについて、どうか大目に見て(寛容な心で)許してください」になります。
基本的に、自分が謙遜して相手に気を遣っている言葉になります。
「ご容赦ください」という言葉には、「自分が相手に対して申し訳ないこと(悪いこと)をしたと思っている気持ち」や「自分が相手の期待・要望に対して十分に応えられていないと思っている気持ち」が込められているのです。
- 「ご容赦ください」の言葉の使い方
「ご容赦ください」の言葉の使い方
「ご容赦ください」の言葉の使い方は、ビジネスシーンで「自分が相手先(取引先)に対して申し訳ないこと・悪いことをしてしまったと思っている場合」に使うという使い方になります。
ただし、必ずしも「本当に相手に対して悪いことをした時だけ」に使うわけではなく、「お忙しいところ、ご返事を急がせるようで申し訳ございませんが、なにとぞご容赦ください」というように「相手に対する強い気遣い・配慮」を意味する言葉としても使うことができます。
「ご理解ください」の意味とは?
「ご理解ください」の意味は、「こちらの事情・条件・都合・商品の状態などについて、どうか理解して(分かって)納得してください」になります。
「ご理解ください」という言葉は、こちらの事情やできることの限界について、どうか理解して受け入れてくださいということをお願いする言葉なのです。
「ご理解」の言葉は、「理解」に尊敬の意味を表す「ご(御)」がついたもので、「理解」とは「意味・内容が分かること」や「他人の気持ち・立場・事情を察して分かること」を意味しています。
- 「ご理解ください」の言葉の使い方
「ご理解ください」の言葉の使い方
「ご理解ください」の言葉の使い方は、ビジネスシーンで「こちらの事情・都合・限界などについて、どうか理解して納得してほしいという場合」に使うという使い方になります。
「ご理解ください」は、「ご了承ください」と比べると「すでに始まっている仕事の案件・プロジェクトに対して使う」という使い方が多くなります。
ただし、「今回の製品の状態について、これでご理解ください」では、こちらの都合を一方的に押し付けている印象が強くなってしまうので、「今回の製品の状態について、ご理解のほどよろしくお願い致します(これでご理解頂けないでしょうか)」といった柔らかくて丁寧な表現で使われることが多くなっています。
「ご了承ください」と「ご容赦ください」の使い分け
「ご了承ください」という言葉は、「主にまだ始まっていない仕事・案件・提案について、どうかご理解いただき受け入れてください(納得してください)」というお願いを意味しています。
それに対して、「ご容赦ください」という言葉は、「自分が相手に対して過去にした振る舞いや自分が今している事柄について、どうか広い心でお許し下さい」という謝罪・配慮の気持ちを意味しているという違いがあります。
何かの依頼・提案・お願いをした際には、「ご了承ください」というよりも「ご容赦ください」の方が相手に対する敬意・気配りの意思を分かりやすく示すことができます。
「ご了承ください」と「ご理解ください」の使い分け
「ご了承ください」という言葉は、「主にこれからやろうとしている仕事・案件・提案について、どうかご理解いただき受け入れてください(事後的に苦情を言わないでください)」というお願いをする場合に使われます。
それに対して、「ご理解ください」は、「今の時点ですでに始まっている仕事・案件・問題状況などに対して、どうか内容を分かって受け入れて下さい」というお願いをする時に使うことになります。
まだ始まっていない案件について理解・納得を求める場合には「ご了承ください」を使い、すでに始まっている案件について理解・受諾を求める場合には「ご理解ください」を使うと良いでしょう。
「ご了承ください」と「ご容赦ください」と「ご理解ください」を使った例文
「ご了承ください」と「ご容赦ください」と「ご理解ください」を使ったそれぞれの例文を紹介して、その意味を分かりやすく解釈していきます。
- 「ご了承ください」を使った例文1
- 「ご容赦ください」を使った例文2
- 「ご理解ください」を使った例文3
「ご了承ください」を使った例文1
「この条文で示した規約内容については、事前通知なく変更する場合もありますので、どうかご了承ください」
この「ご了承ください」を使った例文は、「現時点で示している規約の内容について、これから先のどこかの時点で、事前にお知らせすることなく変更することがあるので、そのことについてどうかご理解いただき納得してください」という意味になっています。
「ご容赦ください」を使った例文2
「一つ一つ手作りで制作している商品の都合で、販売できる数には限りがございます。
売り切れの際には、どうかご容赦ください」
この「ご容赦ください」を使った例文は、「ハンドメイド(手作り)の商品は大量生産ができないので、生産が追いつかず売り切れる可能性があり、もし売り切れていた場合にはどうか広いお気持ちでお許しください」ということを意味しています。
「ご理解ください」を使った例文3
「5歳未満のお子様のご同伴はご遠慮頂くというのが当店の経営方針ですので、どうかご理解ください」
この「ご理解ください」を使った例文は、「(お店の客層・雰囲気・他のお客様への影響などから)、5歳未満の子供の同伴は遠慮してもらうというのが当店の現時点の経営方針になっていて、どうかそのことについて分かって受け入れてください」という意味になっています。
「ご了承ください・ご容赦ください・ご理解ください」というビジネスシーンやビジネスメールで使う丁寧な言葉について徹底的に解説しましたが、いかがでしたか?
「ご了承ください・ご容赦ください・ご理解ください」という言葉のそれぞれの意味と使い方について例文も示して説明していますので、ビジネスメールでこれらの言葉を使いたい時にはこの記事を参考にしてみて下さい。