「憐憫」意味とは?「憐憫」と「不憫」の違い・読み方・対義語・英語・類語【使い方や例文】
「憐憫」という言葉は文学的で日常生活ではあまり使われません。
いざ耳にした時にスムーズに理解する為にも、正しい意味を使い方を覚えておきましょう。
目次
- 「憐憫」の意味とは?
- 「憐憫」の読み方
- 「憐憫」の英語(解釈)
- 「憐憫」と「不憫」の違い
- 「憐憫」の言葉の使い方
- 「憐憫」を使った言葉・慣用句や熟語・サービスなど(意味を解釈)
- 「憐憫」を使った例文や短文など(意味を解釈)
- 「憐憫」の類語や類義表現
- 「憐憫」の対義語
- 「憐憫の情」と「同情」の違い
「憐憫」の意味とは?
「憐憫」の意味と言葉の成り立ちについて紹介します。
- 「憐憫」の意味
- 「憐憫」の成り立ち
「憐憫」の意味
「憐憫」の意味は「かわいそうに思うこと」「あわれみ情けをかけること」です。
人が不幸な状況になり悲しんでいる時に、自分も同じような悲しみを感じたり、相手に対して「かわいそうだ」という気持になることを言います。
自分の状況に対して起きるのではなく、人がネガティブな状態になった時に共感して起きる感情を表します。
「憐憫」の成り立ち
「憐憫」の意味をより理解する為に言葉の成り立ちについても紹介します。
「憐」は「憐れむ(あわれむ)」と読み、「気の毒に思う」「かわいそうに思う」という意味があります。
「憫」も「憫れむ(あわれむ)・憫える(うれえる)」と読み、「心で悲しく思う」「かわいそうに思う」という意味があります。
つまり「憐憫」は同じ様な意味の漢字が組み合わさることで「あわれむ」「かわいそうに思う」という意味を強調している言葉なのです。
「憐憫」の読み方
「憐憫」は「れんびん」と読みます。
非常に難しい漢字なので書ける人は少ないのですが、読めるようにしておきましょう。
「憐憫」の英語(解釈)
「憐憫」の英語には以下の幾つかの表現があります。
- “pity”
- “compassion”
“pity”
“pity”は「かわいそう」「残念だ」という意味で、良く使われる言葉です。
“It is a pity that you should miss a chance. ”で「チャンスを逃すとはお気の毒に=私はあなたがチャンスを逃したことに憐憫を感じた」となります。
“compassion”
“compassion”は「憐憫」を直訳した英語ですが、「何とかしてあげたい」という気持ちが含まれています。
“I have a compassion for your difficulty. ”で「あなたの困難に対して憐憫を感じる」となります。
「憐憫」と「不憫」の違い
「憐憫」と「不憫」は同じ「憫」という漢字を使っていて、意味もよく似ています。
この2つの違いは、動作の主体がどこにあるかです。
「憐憫」は「人に対して自分がかわいそうだと思うこと」で、「不憫」は「その人がかわいそうな状態にあること」です。
どこをメインにしているのかを考えれば使い方を間違えずに済みます。
「憐憫」の言葉の使い方
「憐憫」の使い方のポイントは「名詞として使う」ということです。
「憐憫する」とは言わず、「憐憫の情を買う」「憐憫を誘う」など、名詞や動詞を補って使います。
また「憐憫」は、対等な関係からそれ以降の関係の人に対して使う言葉で、目上の人に対しては使わないのが基本です。
「憐憫」を使った言葉・慣用句や熟語・サービスなど(意味を解釈)
「憐憫」を使った言葉の意味を幾つか紹介します。
- 「憐憫の情を禁じえない」
- 「憐憫を垂れる」
- 「憐憫の眼差し」
- 「自己憐憫」
「憐憫の情を禁じえない」
他人に対してあわれみをかけたり、かわいそうだと思う気持ちが湧いて来て抑えられないことです。
「禁じえない」がつくことにより、強く感じていることを表します。
「憐憫を垂れる」
目上の人が目下の人に対して憐みを感じたり情けをかけるという意味です。
「垂れる」という言葉により「上から下へ」を表していますので、目下の人から目上の人に使うのは失礼になります。
「憐憫の眼差し」
相手に対して「あわれむ様な視線を投げかける」ことを言います。
人が不幸に陥っている時に上手い慰めの言葉が見つからずに、じっと見つめている様子を表しています。
「自己憐憫」
自分に対して「かわいそうだ」「あわれだ」と思うことです。
「憐憫」は通常他人に対してあわれむ感情を表すのですが、被害妄想が強かったり抑うつ状態になると「自分ばかり不幸な目にあってかわいそうだ」と思う人もいます。
また、普段から自己中心的だったり自分で自分を高める「ナルシスト」になることもあります。
この様な自分に対する同情の意識が強いことを「自己憐憫」と言うのです。
「憐憫」を使った例文や短文など(意味を解釈)
「憐憫」を使った例文と解釈を紹介します。
- 「憐憫」を使った例文1
- 「憐憫」を使った例文2
「憐憫」を使った例文1
「災害で家族を失った子供に憐憫の情を禁じ得なかった」
テレビで災害の状況を放映していて家族を失った子供の話題になると、かわいそうで仕方がないという気持になることを表しています。
「憐憫」を使った例文2
「今年1勝もできなかったチームとして憐憫の眼差しを向けられているのが分った」
年間で結構な試合数をこなしているのですが、1勝もできずに終ったことで他のチームや保護者から「かわいそうに」という目で見られているのを感じたことを表しています。
「憐憫」の類語や類義表現
「憐憫」の類語には以下のものがあります。
- 「憐情」【れんじょう】
- 「慈悲」【じひ】
「憐情」【れんじょう】
意味は「相手をあわむ心」「かわいそうだと思う気持ち」です。
「情」という漢字が入る分、相手に対して共感する気持ちが強くなります。
「慈悲」【じひ】
意味は「相手への情けやあわれみの心」です。
こちらは仏教用語であり「仏や菩薩が人々をあわれんで苦を除き楽を与えようとする心」も意味しています。
言葉の意味から目上の人が目下の人に対して使う言葉となります。
「憐憫」の対義語
「憐憫」の対義語には以下のものがあります。
- 「薄情」【はくじょう】
- 「非情」【ひじょう】
「薄情」【はくじょう】
意味は「愛情や人情が少なく、人に対する思いやりの気持ちに欠けること」です。
人に親切にして貰ったからお返しをしよう等とは考えず、常に合理的に行動する傾向があります。
「非情」【ひじょう】
愛情や思いやりの気持ちだけではなく、喜怒哀楽の感情も表さない人のことを言います。
感情に左右されずに行動したり、感情の表現の仕方が分らないという人もいます。
「憐憫の情」と「同情」の違い
「憐憫」と「同情」はどちらも「かわいそうに思う」「あわれむ」という意味がありますが、この2つは微妙に違います。
「憐憫」は、相手の状況を一歩離れた目線から見て「かわいそうに」と思うことです。
「同情」は、相手の状況をまるで自分のことの様に共感して「かわいそうに」と思うことです。
「同情」の方が親しみが伝わり、友達に対して使い易い言葉です。
「憐憫」は難しい言葉で、堅苦しい場所や文章の中で使われます。
前後の文章から判断することと「あわれに思うこと」に置き換えて意味を理解しましょう。
文章を書くときに使うと引き締まったイメージになるので試してみては如何でしょうか。