「往生」の意味とは?「往生」と「成仏」の違い・対義語・読み方・英語・類語
往生とは、元は仏教用語ですが、今ではすっかり一般的に使われています。
ですが、宗教によっては用いないこともあるので注意してください。
目次
- 「往生」の意味とは?
- 「往生」の読み方
- 「往生」の英語(解釈)
- 「往生」と「成仏」の違い
- 「往生」の言葉の使い方
- 「往生」を使った言葉・慣用句や熟語・サービスなど(意味を解釈)
- 「往生」を使った例文や短文など(意味を解釈)
- 「往生」の対義語
- 「往生」の類語や類義表現
「往生」の意味とは?
往生とは、「死去すること」です。
仏教用語としては、その死後に「極楽浄土」と呼ばれる場所に行く(そこで生まれ変わる)という意味で使うこともありますが、一般的には「死去すること」だと解釈していいでしょう。
その一般的な解釈では、人間だけでなく、犬や猫などの動物に対しても使える言葉です。
また、そのまま素直に「死んでしまったこと」だとは使わずに、そのようなものだという比喩表現に用いることもできますが、その場合には、それと分かる使い方やシチュエーションであることが条件になります。
「往生」の読み方
「往生」は、「おうじょう」と読む言葉です。
「往」は「往復」(おうふく)で使われている漢字なので、読み間違えることはないでしょうが、「生」を「じょう」と読む点に注意してください。
尚、口語では問題ありませんが、表記で「おおじょう」としないようにも気を付けましょう。
この「おお」と「おう」は意外に間違われることが多く、例えば、「大」は「おお」ですが、「王」は「おう」です。
この「往」は「おう」の方になります。
「往生」の英語(解釈)
往生は、英語で表現すると“decease”となります。
「亡くなる」という意味の言葉で、一般的に使われる「往生」の意味になります。
簡単に“death”と表現しても構いませんが、この場合は「死亡」という意味になり、「往生」のニュアンスとは若干の違いがあります。
日本語で言うと、「亡くなった」と「死んだ」の表現の違いだと考えると分かりやすいでしょう。
「往生」と「成仏」の違い
「往生」は「亡くなる」ことそのものですが、「成仏」はその「往生」の後に、無事に仏の世界(極楽浄土)に辿り着くことを指して使う言葉です。
この「仏の世界」(極楽浄土)は、仏教にて用いられる表現で、死後にきちんとそこに行けるようにという意味で、死去した人に対して「成仏して欲しい」と使います。
そして、その場所で生まれ変わるのを待つことになると言われています。
仏教ではこのように考えられていますが、他の宗教では死去した人に対して全く違う解釈をする場合が少なくないので、この「成仏」は、仏教徒(日本では一番多いとされています)だけの言葉だと考えてください。
「往生」の言葉の使い方
往生は、死去した人に対して、それを「死去した」などと表現するより、形式ばった表現にしたものだと考えていいでしょう。
その為、多少堅い表現になり、訃報などではよく使われる表現ですが、親しい仲であれば「死去した」や「亡くなった」で構いません。
元が仏教用語なだけに、それなりの相手や場面でないと使わない言葉だと考えておいてください。
「往生」を使った言葉・慣用句や熟語・サービスなど(意味を解釈)
「往生」という言葉を用いている、よく見る言葉や表現です。
比喩表現として使っているものも含まれています。
- 「往生する」【おうじょうする】
- 「往生の素懐」【おうじょうのそかい】
- 「往生際」【おうじょうぎわ】
- 「往生人」【おうじょうにん】
「往生する」【おうじょうする】
この表現は、そのまま「死去した」と解釈するだけでなく、「とても困っている」ことの表現として使うこともできます。
「電車が止まってしまい、しばらく往生することになった」などという使い方がそれで、前後の文脈からこちらの意味で使っているのだと判断できます。
「往生の素懐」【おうじょうのそかい】
これは、仏教式の葬儀において使われる表現です。
葬儀がきちんと執り行われたことで、「往生」の仏教用語としての意味である、「極楽浄土で生まれ変わるのを待つ」ことが達成された(きちんと極楽浄土に行くことができた)という意味になる言葉です。
一般には、「往生の素懐を遂げた」と使われます。
「往生際」【おうじょうぎわ】
「〜が悪い」という使い方になることが多い言葉で、比喩表現として、何か悪いことをした為に、捕まってしまう直前(もしくは、それに近い状況)のことで、これが「悪い」と言うと、その際に見苦しいいい訳があったり、逃げ回る様子になります。
「往生人」【おうじょうにん】
死後に「極楽浄土」に辿り着けたと思われる、死去した人のことを指して使います。
立派な葬儀が終わった後に、「あの人は無事に往生人になれたようだ」といった使い方になり、やはり仏教が絡んでいる言葉です。
「往生」を使った例文や短文など(意味を解釈)
往生を使った例文や短文です。
既に主だった使い方は挙げましたが、また別の使い方です。
- 「往生」を使った例文1
- 「往生」を使った例文2
「往生」を使った例文1
「渋滞で2時間も立ち往生することになった」
「立ち往生」とは、動けなくなる状態のことを指して使う表現です。
この渋滞によるその状態は、正にこの言葉がちょうど合います。
「往生」を使った例文2
「享年90歳の大往生でした」
病気や怪我などが原因ではなく、老衰による死亡だと思われる場合に、この「大往生」と表現されることがあります。
男女共に、平均寿命以上でのそのような死亡に対して使われることが多いです。
よって、「天寿を全うした」という意味だと考えていいでしょう。
「往生」の対義語
「往生」の対義語は、一般的な使い方では「生まれる」でいいでしょう。
死去することの逆なので、この表現しかありません。
仏教的な意味となると、「輪廻転生」という言葉になり、「死後に極楽浄土を経て、生まれ変わったこと」になります。
「往生」の類語や類義表現
往生と似た意味で使える言葉や表現です。
仏教用語としての使い方は特殊なので、一般的な意味で考えています。
- 「死没」【しぼつ】
- 「召天」【しょうてん】
「死没」【しぼつ】
過去に亡くなった人に対して使う言葉です。
「その人は3年前に死没している」といった形での使われ方になります。
著名だった人に対して使うことが多いですが、一般の人に使っても問題ありません。
「召天」【しょうてん】
これは、キリスト教にて「死去」を指して使います。
キリスト教では、人間は死亡後にはイエス・キリストの元(天界)に登ると考えている為、その「天に召される」という意味で、このように表現しています。
往生は、一般的には「死去する」ことだと考えておいていいでしょう。
仏教では多少複雑な解釈になりますが、特に仏教徒という訳ではなければ、そちらの解釈は参考程度に覚えておく程度でいいでしょう。