「後生」の意味とは?「後生」と「後世」の違い・読み方・対義語・類語・英語
私達の使う言葉の中には、色々なものがありますが、普段から何げなく使っている言葉の中にも、じっくりのその意味を考えてみると、「どのような意味があるんだろう?」と思うような言葉がたくさんあるはずです。
例えば、「後生」という言葉はどうでしょうか?
この言葉も時々聞くことはあっても、詳しい意味を考えないままに受け流している人も少なくないと思います。
ここでは、この「後生」という言葉について説明をしていきます。
目次
- 「後生」の意味とは?
- 「後生」の読み方
- 「後生」の英語(解釈)
- 「後生」の対義語
- 「後生」の言葉の使い方
- 「後生」を使った言葉と意味を解釈
- 「後生」を使った例文や短文・意味を解釈
- 「後生」と「後世」の違い
- 「後生」の類語や類義の表現
「後生」の意味とは?
「後生」とは、幾つかの意味があるのですが、1つ目は仏教の世界での考え方で、「後から生まれること」や「来世で生まれ変わること」という意味があります。
また、その解釈の延長線で「生まれ変わった世」という解釈もあります。
生まれ変わりを意味する「輪廻転生」から来ているのかもしれません。
2つ目は「自分より年の少ない者」や「後輩」、「後進」という意味があります。
そして、最後に「人に対して哀願する際に使用する言葉」という意味になります。
「後生」の読み方
「後生」の読み方は一般的に「ごしょう」となりますが、までに「こうせい」という読み方をすることもあります。
「後生」の英語(解釈)
「後生」を英語表現で言い換えると、“for mercy's sake”、“for the love of God”、“for goodness' sake”と言った言葉で訳すことができます。
「後生」の対義語
「後生」の対義語では「前生(ぜんしょう)」という言葉があります。
「この世に生まれる前の世」という意味で、使われている漢字をみると、まさに反対の意味を持つ「前」であるのが興味深い点です。
「後生」の言葉の使い方
「後生」には、幾つかの意味があることを説明しましたが、使い方を見ると、「生まれ変わった世」というニュアンス意味で使う場合、「後生を願う」といったような言い方をすることがあります。
「後輩」という意味では、自分の立場を危うくするような優秀な後輩が現れた時に「後生、恐るべし」という表現をします。
また、「人に対する哀願」の意味では、「後生だからやめてくれ」という言葉で使われることもありますので、活用のバリエーションが豊富な言葉と言えます。
「後生」を使った言葉と意味を解釈
「後生」を使った言葉には、次のようなものもあります。
- 「後生でござる」
- 「後生が悪い」
- 「後生の頼み」
「後生でござる」
「後生でござる」とは、「お願いです」と懇願する意味が込められています。
ここで出てくる「ござる」という言葉は、かなり古めかしい印章がありますが、室町時代からあたりかた生まれてきたと見られています。
「ござる」は、元々「御座ある(ござある)」という表現が由来で、「いらっしゃる」、「おいでになる」という意味で「ある」、「いる」「行く」、「来る」の尊敬語として使われていたようです。
これに「後生」をセットになったことで、「お願いします」という解釈になっていきました。
「後生が悪い」
「後生が悪い」とは、元々「来世の極楽往生もおぼつかない」という意味で使われていた言葉ですが、これが転じて、「後味が悪い」という意味で使われることがあります。
また、「運に恵まれない」という解釈もできる表現です。
「後生の頼み」
「後生の頼み」とは、「一生のお願い」と同じ意味で出てくる言葉ですが、今では「一生のお願い」の方が一般的ではないでしょうか?
「後生」を使った例文や短文・意味を解釈
ここで、「後生」を使った例文も見ていくことにしましょう。
- 「後生」の例文1
- 「後生」の例文2
「後生」の例文1
「あいつが後生大事にしているのは、大学時代の恩師から言われた自分を変えた一言の言葉だよ」
日常会話では、「後生大事に」という言葉を使う場面がありますが、この時の意味は、「とても大切にしている」ということをこと指しています。
この言葉は相手が何かを大事にしていることを揶揄的に言い表す時に使うイメージがあります。
「後生」の例文2
「金にルーズな彼に『後生一生のお願いだから10万円貸してくれ』とお願いされたんだけど、もう貸すことは止めたの」
金遣いが荒いのか、だらしない彼氏には何度もお金を貸していた彼女だったのでしょうか?
これで何度目のお願いか分かりませんが、断ることにしたのでしょう。
でも、「後生一生」というお願いの仕方の割には、とても軽いお願いなので、彼氏の性格自体も軽薄な感じもします。
「後生」と「後世」の違い
「後生」と似ていそうな言葉に「後世」という言葉がありますが、この2つの言葉には、どのような違いがあるのでしょうか?
「後世」とは、「後の世界」ということで、「自分達の生きている世の後の時代」ということを指しています。
「後生」は「後からから生まれること」、あるいは「後から生じること」という意味があります。
「後世」は「時代そのもの」を指しており、「後生」は「人を対象」にして使われている点が異なっています。
「後生」の類語や類義の表現
「後生」には色々な意味がありますが、ここでは「人に対して哀願する際に使用する言葉」という意味にポイントを絞り、類義語を見ていくことにします。
- 「懇願」
- 「そこをなんとか」
「懇願」
「懇願「こんがん)」という言葉が、「後生」の類義語の1つとして挙げることができます。
この言葉は、「折り入って頼み願うこと」という意味ですが、単純にお願いをするのではなく、「願いを聞いてもらうよう必死になって頼むさま」という必死なニュアンスも持っています。
「ここまで懇願されたなら、その願いを受け入れるしかないね」というような場面で出てくる言葉です。
相手に「懇願」されるということは、もう後がないくらいに必死な形相で頼まれているのでしょう。
仕方なくその願いを聞くしかない雰囲気が漂っています。
「そこをなんとか」
一般的には頼みごとをする際の言葉で、「そこを何とかお願いします」という表現を略したものです。
お願いされている相手は、難色を示していても、かなり食い下がってくることから、根負けして願いを受けるしかないのです。
前述の通り、「後生」には色々な意味があるのですが、「哀願される」意味で使われることが強い印象があります。
私達も、本当に困った時に「後生お願いだから」というように相手に土下座してまでも、お願いをしなくてはならないことがあるのではないでしょうか?