「肝に銘じる」とは?意味・読み方・類語・英語【使い方や例文】
「肝に銘じる」は日常会話でよく耳にする言葉です。
正しい意味と使い方を知っておき、気軽に使える様にしておきまましょう。
目次
- 「肝に銘じる」の意味とは?
- 「肝に銘じる」の読み方
- 「肝に銘じる」の英語(解釈)
- 「肝に銘じる」の語源
- 「肝に銘じる」の言葉の使い方
- 「肝に銘じる」を使った例文や短文(解釈)
- 「肝に銘じる」の類語や類義表現
「肝に銘じる」の意味とは?
「肝に銘じる」の意味は「心に深く刻みつける様に記憶しておくこと」「強く心に留めて決して忘れないこと」です。
勉強や仕事を覚える時に記憶することとは違い「絶対に忘れてはいけない」「次に失敗は許されない」という、かなり緊迫した状態でしっかりと覚える時の表現です。
背景として何かミスやトラブルがあり、次に同じことをしない様に絶対に気を付けたいと思った時に「肝に銘じる」と言います。
頭で記憶するのではなく、「肝」すなわち「内臓=身体」で覚えなければならない程大切なことに使います。
「肝に銘じる」の読み方
「肝に銘じる」は「きもにめいじる」と読みます。
読み間違いよりも「肝に命じる」という書き間違いが多くなります。
何故間違いなのかは後程紹介します。
「肝に銘じる」の英語(解釈)
「肝に銘じる」は日本独特の慣用句であり、英訳はありません。
その時の状況により以下の3つの表現があります。
- “keep in mind”
- “take it seriously”
- “take to heart”
“keep in mind”
“keep in mind”は「しっかり覚える」という意味で、ビジネスではよく使われます。
“Please keep in mind and do not do it atgain. ”(しっかりと肝に銘じて、二度としない様にして下さい)というのは、かなり相手が怒っている状態です。
“take it seriously”
“take it seriously”は、「真剣に受け取る」という意味です。
“I take it seriously and never forget.”(私はそれを肝に銘じて決して忘れません)となります。
“take to heart”
“take to heart”は「深く心に刻む」という意味です。
こちらは「喜んで受け入れる」という意味もあり、あらゆるシーンで使えます。
“I took his advice to heart.”(彼の忠告を肝に銘じた) となります。
「肝に銘じる」の語源
「肝に銘じる」の語源はそれぞれの言葉に分けて考えます。
- 「肝に」
- 「銘じる」
「肝に」
「肝に」は「肝+に(助詞)」で、「肝」とは人の臓器の中でも「肝臓」のことです。
東洋医学では臓器を象徴して「五臓六腑」呼びますが、中でも肝臓は臓器の中で最も大きく、体内にある毒性を持つ物質を中和する役割があるのです。
肝臓がうまく働かなくなると死に至ることもあるという大切な臓器で、重要なことを「肝心」というのはこの為です。
ここから「肝」は「自分の身体の最も大切な部分に」という意味があるのです。
「銘じる」
「銘じる」の意味は「心に深く刻みつけること」「金属や石などの硬いものに深く刻みつけること」という意味があります。
このことから「肝に銘じる」は、「自分の身体の最も大切な部分に刻みつけること=強く心に刻みつけて記憶すること」という意味で使われるのです。
「銘じる」を「命じる」と書くのが間違いなのは、自分の大切な部分に対して「命令する」のではなく、「刻み込む」という意味があるからです。
「肝に銘じる」の言葉の使い方
「肝に銘じる」の言葉の使い方には以下のポイントがあります。
- 動詞だが限定的
- 相手にも自分にも使う
- 「何を」を明確にした方が良い
- 軽々しく使わない
動詞だが限定的
「肝に銘じる」は動詞として使えますが、変化形は限定的です。
「肝に銘じている」などの現在進行形や「肝に銘じるだろう」などの未来形は通常ではまず使いません。
多くの場合「肝に銘じた」と過去形になるか、「肝に銘じて〇〇する」など副詞として使われます。
相手にも自分にも使う
「肝に銘じる」は、対象となる相手は誰でも使えます。
相手から指摘されたことを忘れない時には「肝に銘じる」と言い、相手に対して忘れない様に忠告する時には「肝に銘じておいて下さい」と言います。
「何を」を明確にした方が良い
ビジネスでは「肝に銘じます」だけでは「何を」という部分が曖昧になり、相手がイラつくこともあります。
具体的に「肝に銘じてミスをなくす様に精進します」等と目的を付け加えた方が分り易くなります。
相手に対して反省しているという気持も伝わるでしょう。
軽々しく使わない
「肝に銘じて」は二度と失敗を繰り返さないことを宣言する言葉です。
同じミスを何度も繰り返してその度に「肝に銘じてしません」と言うのでは人間性を疑われてしまうでしょう。
自分で心から反省している時に使いましょう。
「肝に銘じる」を使った例文や短文(解釈)
「肝に銘じる」を使った例文と解釈を紹介します。
- 「肝に銘じる」の例文1
- 「肝に銘じる」の例文2
- 「肝に銘じる」の例文3
「肝に銘じる」の例文1
「お客さまからのご指摘を肝に銘じて今後一層努力致します」
お客からクレームが来て対応している時の言葉です。
何かしらの文句や苦情を言われて「しっかりと心に刻んで努力します」と言っています。
但し、クレーム対応ですのでマニュアル的に言っている可能性もあります。
「肝に銘じる」の例文2
「彼は次の試合では同じミスをしないと肝に銘じた」
今回の試合ではその人のミスで得点を落したり、敗北をしたのでしょう。
深く反省すると共に二度とミスをしないことを自分で誓う気持ちを表しています。
「肝に銘じる」の例文3
「彼は親方の教えを肝に銘じて独立していった」
店でのれん分けをして貰ったり、昔ながらの職人技を伝授して貰って独立した人の気持ちです。
親方からの教えをしっかりと覚えておき、忘れたり間違えたりしない様に心掛けるという決意を表しています。
「肝に銘じる」の類語や類義表現
「肝に銘じる」の類語には以下のものがあります。
- 「心に刻む」【こころにきざむ】
- 「留意する」【りゅういする】
「心に刻む」【こころにきざむ】
意味は「強く記憶して忘れない様にすること」で、「心」は人を支配する部分であり「肝」と同様に重要な部位で、「刻む」は「銘じる」と同じ意味です。
これらのことから「肝に銘じる」の言い換え表現として使われています。
「留意する」【りゅういする】
意味は「あるものごとを心に留め置き、常にそのことに対して気を配っていること」です。
「肝に銘じる」よりもインパクトは弱いのですが、短い言葉で十分に意味をカバーしている言葉です。
「肝に銘じる」は、自分や自分に関係するものごとでトラブルがあった時に、反省の意味で使われる言葉です。
言葉としては表現が露骨なのですが、それだけ真剣な気持ちが伝わるでしょう。
次に何か問題が発生して上司から叱られたり、顧客から苦情を言われた時に「肝に銘じます」と使える様にしましょう。