「貧乏舌」とは?意味・読み方・類語・英語【使い方や例文】
貧乏舌は、言葉の響きは悪いですが、幸せなことかも知れません。
意味や使い方と共に、その理由の説明もしていきます。
目次
- 「貧乏舌」の意味とは?
- 「貧乏舌」の読み方
- 「貧乏舌」の語源や由来
- 「貧乏舌」の英語(解釈)
- 「貧乏舌」の言葉の使い方
- 「貧乏舌」と「馬鹿舌」の違い
- 「貧乏舌」を使った例文や短文(解釈)
- 「貧乏舌」の類義語と対義語
「貧乏舌」の意味とは?
貧乏舌とは、「何を食べても美味しいと感じてしまう」人に対して使う言葉です。
「貧乏舌の人」などと使われることもありますが、「貧乏舌」だけで「そのような人」という意味があるので、無理に「人」と付けて使う必要はありません。
何が美味しいと感じるかは人によって様々で、当然好みの問題もあるので、自分がそうでもないと思った物を美味しいと言った人が直ちに「貧乏舌」という訳ではありません。
しかし、誰に言わせても美味しくないと言われる物や、とても癖がある物などまで、何であろうと全てを美味しいと言ってしまうようであれば、「貧乏舌」と表現されても仕方ありません。
要は、どんなに高級な料理でも、比較的安い料理でも、全てを美味しいと感じる人のことなので、その意味で「幸せ」と言われることがあります(無理に高い物が必要ないことからです)。
「貧乏舌」の読み方
「貧乏舌」は、「びんぼうじた」と読んでください。
読み間違いがあるとすれば、「舌」を「した」とそのまま読んでしまうことくらいでしょう。
このような言葉が正式に存在する訳ではなく、あくまで造語なので、この読み方も使われるうちに自然に決まったものですが、それ以外の読み方をすることはありません。
「貧乏舌」の語源や由来
「貧乏舌」という言葉の由来は、「貧乏だと(お金がないと)食べ物に選り好みしている余裕はない」ことからです。
それが美味しい、そうでもないという区別なく、ともかく食べられれば(お腹さえ満たせれば)満足だという意味から、この「貧乏舌」という言葉が生まれました。
何でも美味しいと思ってしまうのなら、高い物を食べる必要はないので、「お金がない」という意味も含んでいると思われがちですが、そのような人が実際に貧乏だという訳ではなく、「食事に関しては、まるで貧乏な人のような感覚だ」という解釈になります。
実際にはお金持ちの人が、この「貧乏舌」だということも特に珍しくありません。
「貧乏舌」の英語(解釈)
貧乏舌は、英語では“unsophisticated palate”と表現されます。
つまり、英語圏にもこの意味となる、「何を食べても美味しいと思う人」が居るということでしょう。
“she is unsophisticated palate”とすれば、「彼女は貧乏舌だ」となります。
「幸せ」だと言われることがあると書きましたが、決して褒め言葉ではなく、呆れ半分でそのように言われるのだと解釈してください。
「貧乏舌」の言葉の使い方
貧乏舌は、「あまり高い物を食べても無駄になる」という意味で使われることも多いです。
例えば、「あの人は貧乏舌だから、高級なレストランに連れて行っても意味がない」といったような使われ方がそれに当たります。
折角美味しいものを食べさせてあげようと思っても、その人が貧乏舌では、あまり意味がないと考えてしまっても当然でしょう。
そういった人に食べさせるなら、腕によりをかけて料理するのは馬鹿馬鹿しいと思ってしまっても責められないでしょう。
「貧乏舌」と「馬鹿舌」の違い
「貧乏舌」と混同されやすい言葉に、「馬鹿舌」があります。
「ばかじた」と読み、文字通り「舌が馬鹿なのではないか」と思ってしまう人を指す言葉です。
「貧乏舌」とは意味に明確な違いがあり、それは、美味しい物をそうではないと感じてしまったり、逆に、誰もが美味しくないと評価した物に美味しいと言う人という意味で使います。
「味覚が正常な感覚ではない人」といった表現が分かりやすいでしょう。
これも、個人の好みの問題も絡むので、1つや2つの例だけでそうと決め付けるのは難しいですが、いつも変な物ばかりを美味しいと言っている、どう考えても美味しいのにそうでもないと言うなどということが多いと、その可能性が高いと言うことができそうです。
「貧乏舌」を使った例文や短文(解釈)
貧乏舌を使った例文や短文です。
まずいい意味で使われることはない言葉ではないので、どれも悪い意味で使っていると考えてください。
- 「これがそこまで美味しいとは、貧乏舌な人は幸せだ」
- 「薄々感じてはいたが、あいつは絶対貧乏舌だと確信した」
- 「貧乏舌な自分は幸せだと思っている」
「これがそこまで美味しいとは、貧乏舌な人は幸せだ」
貧乏舌なことを呆れて使っている例になります。
美味しくないとまでは言わないものの、そこまでではない物に対して絶賛したことで、貧乏舌だと(この程度ですごく美味しいと思ってしまうので)幸せだと言っています。
人が何と言おうと、本人がそう感じているのなら、余計なことは言わない方がいいかも知れません。
「薄々感じてはいたが、あいつは絶対貧乏舌だと確信した」
その人に対して、今までに何度か「貧乏舌」だと感じる場面があり、今回もまたそうだったことから、ついに確信に至ったと考えていい例文です。
それと分かってしまったからには、無理に美味しい所に連れて行くこともないと思ってしまうことでしょう。
「貧乏舌な自分は幸せだと思っている」
自分がそうだと分かっており、その為に余計な出費をしたり、好き嫌いすることもないのが幸せだと言っています。
「貧乏舌」のメリットとして、この「好き嫌いがほとんどない」ことが多いという点を挙げていいでしょう。
ただし、人参が嫌いなどという明確に嫌いな物がある場合は別です。
「貧乏舌」の類義語と対義語
貧乏舌と似た意味や、反対の意味のある類語です。
「馬鹿舌」以外のものを挙げていきます。
- 「味音痴」【あじおんち】
- 「舌が肥えている」【したがこえている】
「味音痴」【あじおんち】
「音痴」という言葉は、「正しい音程が出せない(理解できない)人」のことですが、すぐに道に迷ってしまう人を「方向音痴」と呼ぶように、他の事柄に対しても使われています。
「味がよく分からない(分かっていない)人」という意味で、この「味音痴」という使い方があります。
ですが、「貧乏舌」より「馬鹿舌」の方に近いと考えてください。
「舌が肥えている」【したがこえている】
普段から美味しいものばかり食べているので、多少の物では美味しいとは感じなくなってしまった人のことを指して使います。
よって、「貧乏舌」とは逆の意味で、何を食べても(よほどのものでない限りは)大して美味しくないと思ってしまう人に対して使います。
貧乏舌は、いい意味で使う言葉ではないので、自分がそうだと使う分には何も問題ありませんが、人に対して使う時には注意してください。
余計なことは(例え、その本人が自分でそうだと分かっていても)言わない方がいいということも少なくないからです。