「肝が据わる」の意味とは?類語、英語や使い方、例文を紹介!
「肝が据わる」という言葉を一度も聞いたことがない、という方はすくないかもしれませんが、「腹が据わる」との違いなど、細かいことはわからない、という方は案外多いのではないでしょうか。
ここでは「肝が据わる」についてご紹介していますので、ぜひこの機会に一読ください。
目次
- 「肝が据わる」の意味とは?
- 「肝が据わる」の読み方
- 「肝が据わる」の英語
- 「腹が据わる」と「肝が据わる」の違い
- 「肝が据わる」の言葉の使い方
- 「肝が据わる」を使った例文
- 「肝が据わる」の類語や類義表現
「肝が据わる」の意味とは?
「肝が据わる」とは、落ち着いていて、たいがいのことには動揺しないでいること、度胸があること、どんな場面でも冷静であること、物怖じしないこと、などを表します。
人前に立っても全然緊張しない人や、イレギュラーな出来事に強い人、災害やアクシデントが起こっても冷静に対処できる、という人は、「肝が据わ」っている人の条件を満たしている場合が多いでしょう。
「肝が据わる」の読み方
「きも(が)す(わる)」と読みます。
「肝が座る」は誤用となりますので留意しましょう。
「肝」という漢字は「カン」という読みを持ち、「肝臓」という臓器でよく知られており、肝臓のことを表すこともありますが、ここでは精神力の強さを表す言葉として使われています。
また、「据」という漢字はほかに、「キョ」や「す-える」といった読みを持ち、すえおくこと、位置につけること、という意味があります。
ここでは、ぶれることなくどっしりと構えている、という意味で使われています。
「肝が据わる」の英語
勇敢な者、という意味で、“brave”という英語を使うと、「肝が据わ」っている者、ということを表すことができそうです。
また、ガッツがある、という言葉のとおり、英語でも“guts”と書いて肝っ玉、という意味ですので、こちらも「肝が据わる」を表す英語になります。
ほかにも“have a strong heart”で強心臓といった意味になるなど、「肝が据わる」を表現できる英語は多数あります。
「腹が据わる」と「肝が据わる」の違い
「肝が据わる」とよく似ている「腹が据わる」という言葉ですが、こちらも動揺しない、という意味の言葉ですので、どう使い分ければいいか迷う人もおられるでしょう。
「肝が据わる」は、気質や性格的に、どんなことに対しても落ち着いて対処でき、動揺しない、という意味ですが、「腹が据わる」というのはとくに、ある物事に対して覚悟ができる、という場合に使われます。
性質的なものか、一過性のものか、というところが使い分けのポイントとなります。
「肝が据わる」の言葉の使い方
自分に対してよりも、他者についていうときに使われることが多いでしょう。
「腹が据わる」は、ある物事に対する心構えとしての覚悟、という面がありますので自覚的かもしれませんが、「肝が据わる」は自分では無意識のうちにできていること、という側面をもちます。
「肝が据わる」を使った例文
では実際に「肝が据わる」を使用した例文を見ておきましょう。
具体例の中で見ておくことで、いっそう理解が深まり増す。
- 「肝が据わる」の例文1
- 「肝が据わる」の例文2
- 「肝が据わる」の例文3
「肝が据わる」の例文1
「満州で生まれた祖母は、死線をくぐり抜けて日本へ戻ってきたからか、若いころから肝が据わっていたと、祖父はしみじみと語った」
戦中戦後を生きた人には、今からは考えられないような苛烈な経験をしてきた人がたくさんいます。
もともとは気弱だった人でも、「肝が据わ」っていないと生き残れない時代だったのかもしれません。
「肝が据わる」の例文2
「普段は忘れものの多い彼女だが、本番になると絶対にセリフを間違えない、肝の据わった女優だ」
人前に立つことの多い仕事をしている人は、その経験の豊富さから「肝が据わ」っている、と思われることが多くあります。
実際、経験値があればあるほど、「肝が据わる」ものなのかもしれません。
俳優業のほかに、冠婚葬祭に携わる人や、社長や理事など、役職につく人なども、「肝が据わ」らざるをえないのではないでしょうか。
「肝が据わる」の例文3
「結婚当初はよく母親に相談していたが、子どもが生まれてからは肝が据わったのか、なんでも自分で調べるようになった」
結婚や出産といった人生の大きな節目に、「肝が据わる」という人もいます。
ほかにも、徐々に「肝が据わる」人や、小さなころから「肝が据わ」っている人などもいます。
大人になっていくにつれ、受け身の取り方もわかるようになり、ちょっとやそっとのことでは動じないくらいの経験を積んでいくからかもしれません。
「肝が据わる」の類語や類義表現
最後に「肝が据わる」の類語表現を見ておきましょう。
類語をあわせて見ておくことで、さらに語彙が増え、コミュニケーションに役立ちます。
- 「図太い」【ずぶとい】
- 「心臓に毛が生えている」【しんぞうにけがはえている】
- 「骨のある」【ほねのある】
「図太い」【ずぶとい】
「ずぶと(い)」と読み、すこしのことではたじろがないこと、びくびくしない、平然としている、といった意味で、「肝が据わる」の類語といえます。
しかし「図太い」にはほかに、横着者である、ずうずうしい、といった意味がありますので、どちらの意味で使うのか、使われているのかがポイントになります。
「彼は神経の図太さでリーダーに選ばれたようなものだ」
「あの女の図太さは目に余る」
「心臓に毛が生えている」【しんぞうにけがはえている】
平然としながらも大胆なことをやってのける人に対する褒め言葉として、「心臓に毛が生えている」という傍らで、「図太い」と同様、ずうずうしい、あつかましい、という意味で使われることもあります。
長所と短所は表裏一体というように、大胆さが吉と出る場合と凶と出る場合とがあるのでしょう。
「三万人を前にしても緊張せず、堂々と歌うことのできる彼女はきっと心臓に毛が生えているにちがいない」
「目上の人に対してそんな口が聞けるなんて、あなたは心臓に毛が生えているんだろう」
「骨のある」【ほねのある】
気骨がある、曲げられない信念を持っている、自分を貫き通す、という意味で使われる言葉です。
芯がある、ともいえるでしょう。
骨や芯となるものがあるからこそ、「肝が据わる」のかもしれません。
「若者にしてはなかなか骨のあるやつだ」
「交際を始めた頃は心配も多かったが、意外に骨のある人だとわかり、安心した」
「肝が据わる」とは、少々のことでは動揺しないでいること、平然としているさま、という意味を持つ言葉でした。
自分という人間の「骨」をしっかり持っていれば、どんなときでも動じず、権力に屈さず、堂々としていられるのではないでしょうか。