「象牙の塔」とは?意味・読み方・類語・英語【使い方や例文】
「象牙の塔」という言葉はとても文学的で、日常会話ではまず使われません。
どの様な時に使うのか、正しい意味や由来などを覚えておきましょう。
目次
- 「象牙の塔」の意味とは?
- 「象牙の塔」の読み方
- 「象牙の塔」の英語(解釈)
- 「象牙の塔」の語源
- 「象牙の塔」の言葉の使い方
- 「象牙の塔」を使った言葉と意味を解釈
- 「象牙の塔」を使った例文や意味を解釈
- 「象牙の塔」の類語や類義表現
「象牙の塔」の意味とは?
「象牙の塔」の意味は以下の2つになります。
- 「学者が研究熱心になるあまり、現実社会から離れて研究室にこもってしまうこと」の意味
- 「田舎などに引きこもり、現実社会から離れた場所で静けさや孤独を味わうこと」の意味
「学者が研究熱心になるあまり、現実社会から離れて研究室にこもってしまうこと」の意味
学者というのは自分の研究が趣味であり、仕事であり、生きがいであるものです。
分析や実験などで何日も家に帰らずに研究室に住み込んで、夜も寝ずに研究に没頭している人もいます。
最近ではインターネットが発達していますので、社会的に大きなニュースは耳に入ります。
しかし、芸能関係やグルメ、ファッションなどトレンドに関わることに関しては全く知らないという人もいるのです。
自分の研究以外の事には興味を持たず、閉鎖的社会で研究をしている状態を表しています。
「田舎などに引きこもり、現実社会から離れた場所で静けさや孤独を味わうこと」の意味
こちらの意味はいわゆる「隠居状態」を表します。
元々芸術的センスのある人が、うるさい世間から離れて何もない田舎や山奥に住み、現実社会を離れてその場所の自然や風景を楽しみ、孤独もまたよしとすることです。
食べ物は自給自足をするか、村人たちから分けて貰ったりして、気が向いた時に芸術活動をする人もいます。
「象牙の塔」の読み方
「象牙の塔」は「ぞうげのとう」と読みます。
「象の牙」と書いて「ぞうげ」といいます。
「象牙の塔」の英語(解釈)
後ほど語源で紹介しますが、「象牙の塔」は元々フランス語からきた言葉です。
英語では“ivory tower”(象牙)と直訳になり、意味も日本語の「象牙の塔」と全く同じです。
“It's not good for you to have been living in an ivory tower such a long time”(こんな長い間研究室にこもっているのはあなたにとって良くないと思う). ” となります。
「象牙の塔」の語源
「象牙の塔」の語源は少し複雑で、以下の2段階があります。
- 元々は聖書から来た言葉
- フランスで現在の意味が作られた
元々は聖書から来た言葉
「象牙の塔」は元々旧約聖書の中の一節から来ています。
聖書の中に「なんじの首は象牙の塔のごとし(あなたのうなじは象牙の塔の様に美しい)」という文章があり、女性の美をたたえた言葉でした。
本来の意味はこれだけで、現在の意味とは全くかけ離れています。
フランスで現在の意味が作られた
19世紀のフランスに「サント=ブーヴ」という小説家であり文芸評論家の人物がいました。
サント=ブーヴが、同じ詩人である「アルフレッド・ド・ヴィニー」に対して「象牙の塔から出てきなさい」と揶揄する評価をしたことが始まります。
なぜ「象牙の塔」が引き合いになったのかは分りませんが、アルフレッド・ド・ヴィニーが非常に閉鎖的だったことに対して、文系独特の言葉のイマジネーションで「象牙の塔」と使ったのだと言われています。
これが日本に伝わり、「象牙の塔」として使われる様になりました。
「象牙の塔」の言葉の使い方
「象牙の塔」の使い方には以下の様なポイントがあります。
- 人に対して揶揄する言葉である
- 特に補足の言葉は必要ない
人に対して揶揄する言葉である
「象牙の塔」は「そんな閉鎖されたところにいる」という意味で、揶揄、つまりからかいや皮肉の意味を込めて使う言葉です。
立派な研究室があるからと尊敬して言っている言葉ではありません。
真剣に科学や学問を研究している人に向かって使うと気分を害してしまうことがあるので注意しましょう。
特に補足の言葉は必要ない
「象牙の塔」だけで「閉ざされた空間にいること」「現実社会からかけ離れていること」を表します。
特に他に補足の言葉は必要なく、「象牙の塔だ」で意味が通じます。
「象牙の塔」を使った言葉と意味を解釈
「象牙の塔」を使った言葉と解釈を紹介します。
- 象牙の塔の住人
- 象牙の塔に住む
象牙の塔の住人
意味は「いつも象牙の塔の中にいる人」で、研究室にこもりっきりになっている学者や研究員のことです。
閉ざされた研究室にこもっているので、さぞかし社会情勢やトレンドに疎い世間知らずである、と皮肉の意味を込めて使われる言葉です。
象牙の塔に住む
こちらの意味は「象牙の塔にこもってしまうこと」です。
人に対してではなく、研究室やアトリエなどに引きこもってしまう行為を表します。
自分から選んで隔離された状態を選んでいる時に使います。
「象牙の塔」を使った例文や意味を解釈
「象牙の塔」を使った例文と解釈を紹介します。
- 「象牙の塔」の例文1
- 「象牙の塔」の例文2
- 「象牙の塔」の例文3
「象牙の塔」の例文1
「教授はすごく博識だが一歩象牙の塔を出るとこっちが色々教えてあげる立場になる」
研究室において教授は絶対的な立場で、学生を導く役割をしています。
しかしたまに食事会などで外で集まる機会があると、お酒の種類や頼み方、最近流行りのお店などのトレンド上表を全く知らず、学生の方が色々とものを教えてあげる立場になることを表しています。
「象牙の塔」の例文2
「お前が象牙の塔にいる間に彼女に新しい恋人ができてしまったぞ」
こちらは教授ではなく研究員である学生と思われます。
研究室にこもって毎日朝から晩まで研究ばかりしていたところ、彼女に新しい恋人ができてフラれてしまいました。
しかも自分はそれを知らず、友人から教えられて気付いた時の会話です。
「象牙の塔」の例文3
「彼は象牙の塔にいるだけあって相当変わり者だな」
何かを研究して閉じこもった生活をしている人が、一般の人達と一緒にいる時の様子です。
優秀な学者、或いは研究者であることは知られているのですが、言動が普通の人とは違い違和感がある様子を表しています。
「象牙の塔」の類語や類義表現
「象牙の塔」の類語について紹介します。
- 「研究室」【けんきゅうしつ】
- 「隠れ家」【かくれが】
「研究室」【けんきゅうしつ】
「象牙の塔」は研究者がこもる「研究室」という意味があります。
研究に没頭して現実社会から離れてしまう場所、ということですので「象牙の塔=研究室」と言い換えられます。
「隠れ家」【かくれが】
意図的に世間から離れて住む、静かで寂しい場所を意味します。
人目を避ける様に住み、ひっそりと自分の好きなことをしていることから「象牙の塔=隠れ家」とも言い換えられます。
「象牙の塔」は閉じこもって研究に没頭している人に対して皮肉の意味で使う言葉です。
日常ではオタクの様に趣味に没頭して人付き合いを殆どしない人に対して使うのがおすすめです。
但し、相手が意味を知らないとこちらから説明しなければならなくなることも覚悟しておきましょう。