「砂上の楼閣」の意味・類語【使い方や例文】
都会にいると、高層ビルのど真ん中でふと思う言葉があります。
それは「砂上の楼閣」ということわざですが、この言葉にはどのような意味があるのでしょうか?
今回は、このことわざの意味や使い方を見ていこうと思います。
目次
- 「砂上の楼閣」の意味とは?
- 「砂上の楼閣」の読み方
- 「砂上の楼閣」の語源
- 「砂上の楼閣」の言葉の使い方
- 「砂上の楼閣」を使った例文・短文(解釈)
- 「砂上の楼閣」の英語と解釈
- 「砂上の楼閣」の類語や類義表現
「砂上の楼閣」の意味とは?
「砂上の楼閣」とは、「表向きはすごく立派に見えるものでも、土台や基礎がもろいために長く維持できない」という意味も持つことわざです。
このような意味から転じて「実現不可能なこと」という意味でも使われています。
「砂上の楼閣」の読み方
「砂上の楼閣」は、「さじょうのろうかく」という読み方をしますが、「楼閣」という漢字は普段の会話の中ではあまり見かけることが少ない言葉なので、ここでしっかりと覚えておくことにしてください。
「砂上の楼閣」の語源
「砂上の楼閣」の語源は、聖書から来ているとされています。
聖書で有名な「マタイによる福音書」の一節に「私の言葉を聞くだけで行わない者は砂の上に家を建てた愚かな人に似ている。
雨、川の氾濫、強風が家に襲いかかると、ひどい倒れ方をしている」というイエス・キリストの説教が由来と言われています。
このことから、「砂上の楼閣」は、人間の愚かで浅はかな一面を表して入るように思えます。
「砂上の楼閣」の言葉の使い方
砂の上に建てられた建物は、どんなに豪華でしっかりとした建物でも、砂の上は地固めがしっかりとなされていないために基礎が脆弱です。
長い年月が経過していくことで、高層ビルなどを支えることはできません。
このよう例え方で、目標を達成できないような計画や、継続することが困難なことを指して「砂上の楼閣」と表現します。
とうてい実現できないようなことや難しいことも含めて、継続させることができずに先行きが不透明なことを指す時に使うことになります。
「砂上の楼閣」を使った例文・短文(解釈)
では、ここで「砂上の楼閣」を使った例文を見永良、具体的な活用シーンをイメージしてみてください。
- 「砂上の楼閣」の例文1
- 「砂上の楼閣」の例文2
- 「砂上の楼閣」の例文3
「砂上の楼閣」の例文1
「砂上の楼閣とならないためにも、今回のプロジェクトは慎重に検討を重ねる必要がある」
企業においては、これからの成長を大きく左右するようなビックプロジェクトに取り組むことがあります。
ここで重要なことは、実行可能なレベルにあるかということと、達成することが可能かという見極めです。
理想論だけが先走り、誰もが夢のように感じてしまう非現実的なプロジェクトであれば、それこそ「砂上の楼閣」と言うしかありません。
ここはじっくりと議論を重ねて、確実に実行できるプランニングが必要です。
「砂上の楼閣」の例文2
「周りの人々が羨むような彼と彼女の関係は、結果的には砂上の楼閣にしか過ぎなかったのです」
人間関係でも「砂上の楼閣」を使うことがあります。
この例文のように表面的には仲睦まじいカップルに見えても、結ばれる前から冷えきった関係だったというケースもあります。
この場合は「仮面夫婦」という例え方もできますが、2人の間には、すでにスキマ風が吹いていたのかもしれません。
「砂上の楼閣」の例文3
「部長が立てた計画は理想ばかりが高くて、実際には砂上の楼閣にしか過ぎす何も実行することはなかったのです」
部門のリーダーともなると、仕事のビジョンを部下に対して、明確に示していく義務があります。
そうでなければ、部下はどのような方向に進むべきなのか分からず、地に足のついた堅実な仕事ができません。
しかし、そのビジョンの見た目が良かったり、聞こえがいいだけで、中身が全くないというのも問題です。
残念ながら、「砂上の楼閣」としか言いようがないビジョンを打ち出していく上司も少なからずいるので、そのような人の部下になると、とても苦労することになります。
「砂上の楼閣」の英語と解釈
「砂上の楼閣」を英語で言い換えると、“house of cards”という訳になります。
これは、トランプで作った家が壊れやすい不安定な建物のことを比喩的に表現しています。
「砂上の楼閣」の類語や類義表現
「砂上の楼閣」を他の言葉で言い換えるなら、どのような表現になるでしょうか?
ここで、「砂上の楼閣」の類義語を挙げてみることにします。
- 「机上の空論」
- 「絵に描いた餅」
- 「空理空論」
「机上の空論」
まずは類義語として、「机上の空論」が挙げられます。
「頭の中だけで考えられた実際には全く役に立たない議論や計画」のことを指しています。
オフィスの中でも、必死に机の上で色々な施策やキャンペーンを考えている人がいますが、組み立てただけの空しい内容で終わってしまうことがあり、実現できない計画だったというがないでしょうか?
現実的な環境を無視して、単なる理想論になっていることを批判したことわざで、現実を無視してテキスト通りの考え方を引きずっている場合に使われることがあります。
ビジネスシーンでは、現場の実態や環境を知らない上層部が指示して、現場の社員が困っているケースでも当てはまります。
「絵に描いた餅」
「絵に描(か)いた餅」という言葉もありますが、これは「どんなに巧みな描き方のものでも食べられない」という解釈から「何の役にも立たないもの」、あるいは「実物、本物でなければ、ほとんど値打ちがないこと」という意味になります。
このことわざは、「画餅」という故事が由来と言われており、「絵に描いた餅」のことを指しています。
「画餅」の語源は、中国の「三國志」の「魏書」から来ており、「人を選ぶ時は、有名な人だからといって、その人を選ぶことは早計だ。
名声とは地面に描いた餅みたいなものなので、食べることができない」というニュアンスがあり、ここから「絵に描いた餅」に繋がっています。
「空理空論」
「空理空論」という四字熟語も類義語になり、「実際からかけ離れている役に立たない考えや理論」という意味があります。
しかし、この言葉を日常的に使う言葉ですほとんどないので、言葉の知識として、知っておくだけでも構いません。
「砂上の楼閣」と聞いて、身近な場面でもこのことわざが当てはまることがよくあることを思い浮かべる人もかなりいるのではないかと思います。
企業では新たなビジネスモデルを考案する際に様々な議論を重ねていくことになるはずですが、どうしても精神論や理想論ばかり先行して中味のない事業が立ち上がることがあります。
そのようなことにならないためにも、現実的なことをしっかりと見据える必要があります。