「尻を割る」の意味・類語【使い方や例文】
日本語には、色々な言葉がありますが、ことわざや四字熟語を日常的な生活の中で使ったり、聞いたりすることがあります。
また、長い説明文を用いると、とても聞きづらく、何を言っているのか理解に苦しむようなことがありますが、そのような場合は、慣用句を使うことで、短い言葉表現で相手に自分の思いを伝えたり、状況を説明することができます。
しかし、せっかく使った慣用句も意味を知らなかったり、活用シーンを理解できていないと全く使う価値がありません。
今回は、そのような慣用句の中でも、「尻を割る」という表現について、説明をしていこうと思います。
この言葉は、色々な場面で聞いたり、使われることがあるので、どのような活用シーンがあるのかを理解してもらえばと思っています。
目次
- 「尻を割る」の意味とは?
- 「尻を割る」の読み方
- 「尻を割る」の言葉の使い方
- 「尻を割る」を使った例文・短文(解釈)
- 「尻を割る」の英語と解釈
- 「尻を割る」の類語や類義表現
「尻を割る」の意味とは?
「尻を割る」という言葉には、大きく2つの意味があります。
1つ目は、「隠していた秘密や悪事を暴露する」という意味です。
誰にも知られたくない秘密は、誰にもいくつかあるものですが、その秘密を他人に知られてしまうことです。
また、2つ目の意味としては、「仕事を投げ出す」という意味で使われることがあります。
この言葉は、江戸時代の職人用語として使われていたのですが、「仕事を受けたが戸手もレベルが高くこなすことが、とても難しく手に負えずに途中で依頼主に断る」という意味がありました。
このような自分の状況を全て依頼主に暴露することで、請負仕事を途中で断わるということなのですが、ここから意味が転じて「無責任に受けた仕事を放り出す」という解釈で使用されているようになったのです。
「尻を割る」の読み方
「尻を割る」は、「しりをわる」という読み方をしますが、時には「けつをわる」という読み方をする場合もあります。
「尻を割る」の言葉の使い方
「尻を割る」は、仕事を受けたものの、無責任に放棄する場合や、内緒にしていたことを洗いざらい公の場にさらされるような時に使われます。
「尻を割る」を使った例文・短文(解釈)
では、ここで「尻を割る」を使った例文を見ていくことにしますので、どのような場面で使えるかを理解してください。
- 「尻を割る」の例文1
- 「尻を割る」の例文2
- 「尻を割る」の例文3
「尻を割る」の例文1
「約束を守らずに、未完成のままで仕事を放り出すことは、ビジネスマンとしては、最低の行いです。
もうこれでは誰からも信用されることはありません」仕事を途中で投げ出すことは、ビジネスマンとして、最も恥ずべきことと思います。
仕事はお互いの信頼関係で成り立っているものなので、請け負った仕事は最後までやり抜くことが社会人としての常識です。
極端に言うと、赤字になっても完遂することが必要だということです。
但し、仕事を依頼された時点で本当に自分でできる仕事なのか、慎重に吟味して判断することがとても重要です。
もし、難しいのであれば、断ることもできるのですから。
「尻を割る」の例文2
「尻を割ってやろうと、俺はアイツらの悪事の行動をじっと観察していたのだ」この例文は悪事を働いている「アイツら」の行動をひそかに観察しつつ、いつか白日の下にさらそうとしているのでしょう。
悪行を働いている輩の秘密を暴露することで、これまでの罪状を多くの人達の前に示すことで、それまでの罪を問おうとしているのでしょう。
「尻を割る」の例文3
「アイツはいつも、土壇場で尻を割ってしまうので、もう使い物にならない。これだとビジネスマンとして失格だ」
会社にはこのような人が1人や2人はいるかもしれません。
決して許されることではありませんし、自然と淘汰されていく人間かもしれません。
今では仕事の成果重視で、限られた時間の中で仕事を完了させることが求められています。
昔のように夜遅くまで残業をして仕事をやり遂げるのではなく、決まった就業時間内で終わらせるという効率性の高い仕事レベルが要求されています。
そんな厳しい時代の中にはあっては、「尻を割る」ようなことばかりしている社員は、もはや不要な社員としての烙印を押されてしまいます。
「尻を割る」の英語と解釈
「尻を割る」は英語で訳すと、“Dividing the ass”という表現になりますが、これは直訳的な対訳となります。
「ばれる」という意味では、“be found out”、“come to light”という表現になりますし、「仕事を放棄する」という解釈だと、“walk off one's job”、“walk off the job”といったような表現になります。
「尻を割る」の類語や類義表現
では、ここで「尻を割る」の類義語をいくつか挙げてみることにしました。
- 「尻尾を掴む」
- 「仮面を剥ぐ」
- 「責任の放棄」
「尻尾を掴む」
「尻尾を掴む(しっぽをつかむ)」とは、「他人のごまかしや悪事の証拠などを押さえる」や「巧みに隠していた相手の弱点や悪事を発見するための手掛かりを得る」という意味があります。
「これで尾前の尻尾を掴んだ。もうこれで逃げ隠れはできないから覚悟しな」というような形で表現することができます。
尻尾を掴まれたなら、もはや逃げることができないと観念することです。
この言葉は、「化けていた狐や狸の尻尾を掴んで正体を暴く」という意味から来ている言葉ですが、身近な場面でも耳にする言葉です。
「仮面を剥ぐ」
「仮面を剥ぐ(かめんをはぐ)」とは、「隠されていた悪い要素が明らかになること」や「本性を露にする」、「ぼろが出る」という意味です。
誰でも表と裏の顔が異なっていることがありますが、そんな人に対して使われる言葉でしょう。
「責任の放棄」
この言葉には、「自らに対する責任を避けようとする言動や行為のこと」、「負っている義務や任務を投げ捨てること」、「自分では何もせずに、他人の行動に任せること」という意味があります。
ビジネスでは、「責任を全うする」ときう義務がありますので、このようなことは決して許されることではありません。
「尻を割る」という言葉には、2つの意味がありましたが、ビジネスの場面においては、「責任を放棄して投げ出してしまう」という意味で使われることが多いのではないでしょうか?
それだけに現代のビジネス環境では、無責任な言動を見せるわがままな若手社員も少なからずいますが、このような人は、上司や先輩が厳しく指導することで、かなり矯正されていくはずです。
しかし、楽を覚えた中高年の社員がこのようなことでは目も当てられませんので、日頃からの仕事に対する姿勢をしっかりと保つことが大切にです。