「汲々とする」の意味・類語【使い方や例文】
現代のビジネス社会はとてもスピーディーに物事か進んでいるように感じられないでしょうか?
インターネットが普及してから情報伝達のスピードも早くなってきて、意思決定を行うにも、限られた時間の中で判断をしていかなければなりません。
このような環境の中では、新しいことを取り組むにしても早く結論を導き出さなければならないことが求められますので、その事に全力を傾けていく必要があります。
しかし、あまりにもそのことに集中するあまり、周りの状況が視野に入らないことがありますし、冷静な判断ができないこともあります。
そんな時に出てそうな言葉が「汲々とする」という言葉かもしれません。
今回は、この「汲々とする」ということばについて見ていこうと思います。
この言葉の文法使い方や意味を正しく理解して普段の会話やビジネスコミュニケーションの中でも活用してください。
目次
- 「汲々とする」の意味とは?
- 「汲々とする」の読み方
- 「汲々とする」の対義語
- 「汲々とする」を使った例文・短文(解釈)
- 「汲々とする」の英語と解釈
- 「汲々とする」の類語や類義表現
「汲々とする」の意味とは?
「汲々とする」という言葉には、「1つのことに一心に努めるさま」、あるいは「小さなことにあくせくするさま」という意味があります。
ちょっとしたことに必死になって取り組んでいるのですが、そのために本来やらなければならないことや、物事の本質に気付いていないような印象を受けてしまいます。
「汲々とする」の読み方
「汲々とする」は「きゅうきゅうとする」という読み方になります。
「汲」という漢字は訓読みで、「くむ」、「ひく」と読んで、「水をくむ」や「引っ張る」、「忙がしい」といったような意味になります。
「汲々とする」の対義語
1つのことに専念してしまう「汲々とする」と反対の意味を持つ言葉にはどのような言葉があるでしょうか?
- 「自由闊達な」
- 「譲歩する」
「自由闊達な」
「じゆうかったつ」という読み方をする「自由闊達」が対義語として挙げられます。
「心が広くのびのびとして物事にこだわらないさま」という意味となりますが、闊達」とは「度量が大きく小事にこだわらない」ということを指しています。
「隣りのクラスはいつも自由闊達な雰囲気があり、とてもうらやましい」というような使いになりますが、何事に縛られないオープンな空気が流れている感じがします。
「譲歩する」
「譲歩する」とは、「自分の意見や主張を押さえて相手の意向に従ったり妥協したりすること」という意味を持つ言葉です。
「価格交渉においてはこれ以上譲歩するわけことができない」というようにビジネスの交渉場面でよく使われている言葉です。
「汲々とする」を使った例文・短文(解釈)
ではここで「汲々とする」を使った例文を見ていき、どのようなケースで使われるかをチェックアウトしていきましょう。
- 「汲々とする」の例文1
- 「汲々とする」の例文2
- 「汲々とする」の例文3
「汲々とする」の例文1
「多くの権利を持つ人々は、その権利を守ることに汲々としているのが滑稽だ」
この例文を見ていると、色々な権利を持っている人達とは、ある意味特権階級の人種なのでしょうか?
その権利を剥奪されないために、権利を守ること、維持することばかりに意識が集中力しているために、本来やらなくてはならないことがおろそかになっているのでしょう。
まるで心ない議員や官僚のようなイメージがあります。
「汲々とする」の例文2
「やられる前にまず守りを固めることに汲々としている敵軍だった」
過去の戦いの歴史を振り替えって見ると、この例文のように守りを固めることに専念し過ぎて、攻めるチャンスを逸してしまい、敗退してしまうというケースが数多く残っています。
「戦いは最大の防御なり」という考え方とあるのですが、その時の状況によって冷静に判断できる柔軟さが必要です。
「汲々とする」の例文3
「この国で初めての越冬観測を無事に終わらせることに汲々としていた」
この例文でも、本来行わなければならないことを忘れて、観測を無事故で無事に完了することだけを考えていた節がありますね。
越冬観測の中では、色々な実験もできるはずなので、新しい発見や研究開発も可能ではないかと思うので、せっかくのチャンスを活かしきれていない感じがあります。
「汲々とする」の英語と解釈
「汲々とする」を英語で表現すると、“be eager”という言葉で表すことができます。
「汲々とする」の類語や類義表現
ここからは「汲々とする」と似た伊美を持つ類義語を挙げてみることにしました。
- 「あくせくする」
- 「固執する」
- 「一生懸命になる」
「あくせくする」
「あくせくする」とは、「細かいことを気にして落ち着かないさま」、または「目先のことにとらわれて気持ちがせかせかするさま」という意味がありますが、「あくせく」の語源は、漢語の「齷齪(あくさく)」から来ており、元々は「歯と歯との間が狭いさま」を表していた言葉でした。
そこから転じて「差し迫るさま」や「心の狭いさま」という解釈が生まれてきて、「あくせく」に変化していったと考えられています。
「定年後は、都会で介護用であくせく働くのをやめて、田舎のスローライフを楽しみたい」このような例文が挙げられます。
「固執する」
「固執する」の意味は「自分の考えを押し通そうとすること」や「他人の意見に耳をかさず、あくまでも自分の考えを押し通したり主張したりすること」を言っています。
「自分の考えを固執する」、「立場に固執するあまり周りが見えない」などで使われます。
「執」という漢字には「かたくつかんで離さない」という意味があり、「執」には「かたくつかんで離さない」、「こだわる」、「とらわれる」という意味があることから、「固執する」で一筋縄ではいかない強い「こだわり」の意味が強調されています。
「一生懸命になる」
「命がけで物事をすること」、「全力をあげて何かをするさま」という意味を持つ言葉ですが、いい意味で使われることもある表現です。
「汲々とする」という状態は、ある1つのことばかりに意識が向いてしまうことを言っているので、このような状態になっている人は、一旦、思考を止めて、深呼吸をした後に、冷静に全体に俯瞰(ふかん)することが必要です。
そうすることで、それまで見えていなかった重要なことが分かってくることがあります。
慌ただしいビジネス社会であるからこそ、そのような発想や行動が求められているのではないかと思うのです。
慌てて1つのことばかりやっていると、間違いに気付かないこともあります。