「敷居が高い」の意味・類語・対義語【使い方や例文】
私達が普段使っている日本語の中には色々な言葉があり、比喩的な物事を表現することもあります。
しかし、誰もが何げなく使っている言葉の中でも、意外と間違った意味で使用してしまう言葉も少なくありません。
その1つに挙げられる言葉が「敷居が高い」というものですが、今回は、この表現について考察していきたいと思います。
目次
- 「敷居が高い」の意味とは?
- 「敷居が高い」の語源
- 「敷居が高い」の誤用
- 「敷居が高い」を使った例文・短文(解釈)
- 「敷居が高い」の英語と解釈
- 「敷居が高い」の類語や類義表現
「敷居が高い」の意味とは?
「敷居が高い」という言葉は、私達の生活の中や仕事上でも会話でもよく出てくる言い方ですが、「義理を欠くことやご迷惑をおかけするようなことがあってその家に行きにくい」といったような意味があります。
- 「敷居が高い」の読み方
「敷居が高い」の読み方
「敷居が高い」の読み方は「しきいがたかい」となります。
「敷居が高い」の語源
「敷居が高い」の語源を調べてみると、「敷居」とは「部屋の内部のもの」を指していますが、この場合は、門や玄関の内外を仕切る戸を開け閉めするために敷いている横木のことで、その「敷居が高い」とは、本当に「敷居が高い」のではなく入りにくいと感じる心境を指していることで、この表現が由来とされています。
「敷居が高い」の誤用
「敷居が高い」という言葉は「ごく普通の一般市民的な自分にとっては、あの高級店は敷居が高すぎる」や「あの国家資格にチャレンジするのは、自分にはとても敷居が高すぎる」というように「敷居が高い」が「自分には合わない分不相応な」や「レベルが高い」といった意味で使われていますが、これは誤った使い方です。
正しい使い方は、昔お世話になった恩師に近況を知らせないままに年月が経った時や、まともにお礼もしないままでご無沙汰してしまった場合や、お金を借りて返せないままになって時間が過ぎてしまった時などに、その相手の連絡をすることにためらうことがあります。
そのような時に「敷居が高い」を使うことが正しい表現となります。
ただ語源から考えると、誤用してしまうことも何となく仕方のないことかもしれません。
「敷居が高い」を使った例文・短文(解釈)
「敷居が高い」の正しい意味は「不義理があって行きづらい」なので、誤った意味での「レベルが高い」というような誤用に注意することですが、そのような観点で例文を見て頂ければと思います。
- 「敷居が高い」の例文1
- 「敷居が高い」の例文2
- 「敷居が高い」の例文3
「敷居が高い」の例文1
「結婚の時に両親と大げんかをしてしまってからは、帰省することは敷居が高いのです」
このように不義理をする相手は、恩師や友人だけでなく、自分の両親の場合もあります。
結婚後、音信不通になっていたのであれば、できるだけ早く関係修復するように心がけたいものです。
「敷居が高い」の例文2
「先生には長年挨拶をせず、ご無沙汰なので敷居が高いです」
お世話になったり恩義を感じている相手の場合で使われる典型的な例文です。
ここでは「恩義のある人に長らく連絡をしていなかったために行きづらい」といったことを相手に伝えていることになります。
「敷居が高い」の「不義理なことがあるために負い目を感じて、その人の家を訪れることに気が進まない」という意味になってきます。
「敷居が高い」の例文3
「頼まれたことをしっかりとできていないので、得意先の所は敷居が高くで行きづらい」
ビジネスシーンでもこのようなケースは時折あることですが、負い目は、「お世話になったり不義理をした相手について精神的に負担に思う気持ち」のことです。
負い目を感じる相手に対しては、罪悪感や恩義を感じている相手なので、「敷居が高い」という言葉をあまり使わない方がいい場合もあります。
「敷居が高い」の英語と解釈
「敷居が高い」を英語で表現すると、“A high threshold”という言葉になりますが、これは、直訳的な言い方なので、「義理を欠いたことで行きづらい」という「敷居が高い」とは意味が異なってきます。
正しく英訳するなら“hesitate to”、“feel hesitant to”が適切な表現と言えるでしょう。
「敷居が高い」の類語や類義表現
では、「敷居が高い」の類語も見ていくことにしましょう。
- 「頭が上がらない」
- 「萎縮」
- 「門を塞ぐ(かどをふさぐ)」
「頭が上がらない」
「頭が上がらない」という表現が「敷居が高い」の類語として挙げられることがあります。
「頭が上がらない」とは「相手の権威などに引け目を感じていること」や「対等な立場に立てないこと」を意味してる言葉です。
「引け目を感じる」という点は「敷居が高い」と似ていますが、ニュアンス的に異なる点があり、「不義理ではなく相手との力関係」がある点が違ってきます。
「萎縮」
「萎縮」とは「しぼむこと」や「小さく縮こまること」という意味があります。
元々は「あまりの寒さに手が萎縮する」といったように「物が小さくなる状況」を表してた言葉ですが、「敷居が高い」の類語として使われることもあります。
「萎縮」の解釈の1つに「相手の言動に萎縮してしまう」のように気持ちが小さく萎えてしまい元気を失くしてしまうという意味でも使われます。
緊張や恐怖などで気持ちが小さくなってしまっている状態を指す言葉として、身近な場面でも使われます。
「門を塞ぐ(かどをふさぐ)」
「門を塞ぐ」という言葉もありますが、「不義理があってその人の家に行きづらい、恥ずかしい」ということを指しています。
「敷居が高い」と同じ意味ですが、現代社会の中ではあまり使われない表現でしょう。
また、この言葉を知らない人は、「もんをふさぐ」と読んでしまうかもしれません。
「敷居が高い」という言葉は、誤った使い方が多い言葉なので、意味を正しく理解して適切な場面で使えるようにしていくことが必要です。
その一方で「敷居が高い」を「レベルが高い」という意味で使うことは、必ずしも誤用とは言い切れないという見方も残っています。
日常会話だけではなく、様々なメディアやコラムでも「敷居が高い」を「ハードルが高い」という意味で使われていることがあります。
もしかすると、間違った使い方の方が広く浸透しているのではないでしょうか?
ここで重要なポイントはケースバイケースで言葉を使い分けることでしょう。
日常会話レベルで「敷居が高い」を誤った意味で使ったとしても大きな問題にはなりませんので、深く意識しなくてもいいかもしれません。