「中枢」の意味とは?類語、対義語や使い方、例文を紹介!
社会、文化を構築してきた我々人間の生活では、規模が大きく複雑になればなるほど、しっかりした「主になる部分」が必要になります。
それらはまとめて「中枢」と呼ばれますが、本項ではこの言葉について解説、解釈します。
目次
- 「中枢」の意味とは?
- 「中枢」の対義語
- 「中枢」の言葉の使い方
- 「中枢」を使った例文・解釈
- 「中枢」の英語と解釈
- 「中枢」の類語や類義語
「中枢」の意味とは?
あるものの集合体の中で、最も重要な機能を担う部分をいいます。
この場合、中枢部分は大抵、位置関係の上でも周りに囲まれるような格好で中央にある事が多いですが、必ずしもそうではなく、後述する人間の大脳のように体の末部の場合もあれば、概念、立場的な意味で使われる場合もあります。
「枢」一字のみでは、建築において扉の上下に棒をつけ、穴にはめ込んで開閉させる機構の事をいいます。
これは上下ではなく側面に取り付ける蝶番(ちょうつがい)とはまた違う仕組みをもったものです。
「中枢」の由来はここから来ており、そのものが機能するためにはなくてはならないもの、という意味を強く含んだ言葉といえます。
- 「中枢」の読み方
「中枢」の読み方
「ちゅうすう」と読みます。
「枢」は前述した扉の開閉機構の場合は「とぼそ(戸の上下の穴=ほぞ、から)」とか「くるる」などと特別な読み方があります。
「中枢」の対義語
対義語としては「末端(まったん)」や「末梢(まっしょう)」があります。
中心部分から(多くの場合、もっとも)遠い部分を末端といい、末梢も「梢(こずえ)の末」の文字通り、いくつにも枝分かれしたものの一番先端を意味します。
「組織の末端」「末梢神経」などと用い、それらも大事なものには変わりありませんが、中枢と比べるとやや重要性の低い部分とみなされます。
「中枢」の言葉の使い方
ジェット機であればエンジン部分、国家の行政機関であれば、総理大臣を含む「内閣府」がこれにあたり、「中枢部分である」とか「中枢を担う」などと表現します。
いずれにせよ、単なる「中央」や「中心」ではなく、「役割」における重要度、優先度が最も高いものを指す場合に用いる言葉です。
「枢」を使った他の言葉には「枢機」「枢軸」「枢要」「枢密院」といったものがあり、どれも中心に位置する重要なものを表しています。
「中枢」を使った例文・解釈
様々な場面で用いられるこの言葉を、いくつかの例文で解説します。
- 「中枢」の例文1
- 「中枢」の例文2
- 「中枢」の例文3
「中枢」の例文1
「プロジェクトの中枢を彼に任せようと思う」
もちろん実際にオフィスの真ん中にいなくてはいけないわけではなく、最終的な判断や進捗の管理など、責任の重い立場、役割を意味しています。
「中枢」の例文2
「これは中枢神経に直接作用する薬である」
人間を含む脊椎動物では脊髄と脳に当たる器官を中枢神経系といい、たくさんの神経細胞がまとまって存在する部分です。
中枢神経の中でも脳は運動中枢とも言い換える事ができ、手足その他の筋肉に指示を出す役割があります。
人間を模したロボットが活躍するSF作品でも「運動中枢がいかれて動かない」などというセリフが出てきますが、これも人体同様、「脳」に当たる回路が故障したせいで、腕や武器などは無事なのに動かない、という状況を表しています。
「中枢」の例文3
「『悪の枢軸』がニュースで話題となったが、ほんのひと昔前、我々も『悪の中枢』であった事を忘れてはならない」
アメリカが同時多発テロ事件を受け、特定の国を名指しでこう呼んだのは、20年ほど前の話題でありながら強烈に記憶に残っています。
しかし、今では対岸の火事のように見ている我々日本も、20世紀初頭はドイツ、イタリアと並び「枢軸国」として世界から悪と見なされていました。
人々の暮らしよりも大義を優先し、最後は半ば意地になっているかのように「玉砕」を唱えて戦った第二次世界大戦での日本。
「お国のため」を国民ひとりひとりに強制させる方針は、これらの国と何ら変わらない狂気をはらんでいたのではないでしょうか。
「中枢」の英語と解釈
主な英語訳としては“central”や“axis”が挙げられます。
central(セントラル)は中央、主たるものという意味があり、先の「中枢神経」も“central nervous”と訳されます。
これは機能的に重要であるのはもちろんの事、背骨に沿っているという位置的な観点でもあるといえるでしょう。
またパソコン内部の機構に“CPU(Central Processing Unit) ”がありますが、これは「中央集積回路」と訳され、パソコンが計算処理する上での頭脳に当たるものです。
ホテルや学校などの大規模な食品製造部門もセントラルキッチンと呼びますが、品質の均一化や無駄の削減などを目的とした一番大きな施設を置き、そこから各方面に分配して細かい仕上げや実食の際の加熱などの簡単な調理を施すという、「系統図の頂点」に位置するものです。
極端な話、パソコンはこのCPUと電源(動力)が最小の構成単位ですので、いかに重要な部分であるかが分かります。
一方、axis(アクシズ)はより立場的、機能的な意味合いが大きく、例文でも取り上げた「悪の枢軸」はaxis of evilと訳されます。
「中枢」の類語や類義語
言い換えてもほぼ通用する言葉が他にもいくつかあります。
その一部を例にとって見てみましょう。
- 「中軸」【ちゅうじく】
- 「中核」【ちゅうかく】
- 「心臓部」【しんぞうぶ】
「中軸」【ちゅうじく】
物が可動する際に動く部分や、また全体の骨組みの基礎になる部分、中に入れて補強する軸、という意味があり、転じて「野球チームの中軸選手」など、大きな役割を担うものを表すのにも用います。
「枢軸」とほぼ同じ言葉ですが、扉を由来とする枢軸の方が、本来は物質的な意味合いが強いようですが、現在では特に中心的存在を表す比喩表現でのみ見られる言葉です。
「中核」【ちゅうかく】
物質を構成要素の中心にある「核」を用いたこの言葉も、中枢とほぼ同様の意味を持ちます。
「中核を担う」「中核派」などとよく用いられます。
あくまでも一般的なイメージの違いにすぎませんが、「中枢」といった場合は最高権限を持った機関で、「中核」は現在実際に動いて活動している、いわば実行部隊に当たるものを指す場合が多いようです。
「心臓部」【しんぞうぶ】
生物の心臓周辺から転じて、最重要の部分をこう呼びます。
例えば乗用車ならエンジンがないと動きませんし、組織でのグループ作業はこれが欠けると末端の人間は何をやっていいのかわからなくなります。
人間にしても、脳が機能停止したとして一応は生きていられますが、心臓を抜かれて生きていられる人間はいません。
つまり何かがその役割を果たす場合、「いの一番にないと困る」ものであるという事です。
形のあるなしを問わず、何かを構築しようとする場合に最優先で考えなければならないのがこの「中枢」であるとわかりました。
長い作文、手間のかかる料理、大人数が参加するプロジェクトなど、一般生活でも役立つ場面は多々ありますので、手をつける気がせず二の足を踏んでいる場合は、まずこの中心部分を固める事から始めると円滑に進められるはずです。