「舌先三寸」の意味・類語・対義語【使い方や例文】
「舌先三寸」という言葉は舌の長さを表すものではありません。
正しい意味と由来、使い方などについて紹介しますので参考にして下さい。
目次
- 「舌先三寸」の意味とは?
- 「舌先三寸」の語源や由来
- 「舌先三寸」の言葉の使い方
- 「舌先三寸」を使った例文・短文(解釈)
- 「舌先三寸」の英語と解釈
- 「舌先三寸」の類語や類義語
「舌先三寸」の意味とは?
「舌先三寸」の読み方や意味について紹介します。
- 「舌先三寸」の読み方
- 「舌先三寸」の意味
- 「口先三寸」について
「舌先三寸」の読み方
「舌先三寸」は「したさきさんすん」と読みます。
「さんすん」と読む人もいますが「さんずん」が正解です。
「舌先三寸」の意味
「舌先三寸」の意味は、「口先だけのうまい言葉で相手をあしらい、心がこもっていないこと」です。
何かの目的の為に本心では思ってもいないことを言い、巧みな弁舌で相手を説得してしまう様子です。
相手をだますのではなく、上手にその気にさせてしまい、ものごとを自分の有利な方向へ導くのです。
「口先三寸」について
口先だけで上手に喋る様子から、「口先三寸」という言葉を使う人がいますが、こちらは間違いになります。
意味的に合っているので段々と誤用される様になったもので、「舌先三寸」が正しくなります。
うっかり言ってしまいがちですので注意しましょう。
「舌先三寸」の語源や由来
「舌先三寸」の語源と由来について紹介します。
- 「舌先三寸」の語源
- 「舌先三寸」の由来
「舌先三寸」の語源
「舌先三寸」の語源は「舌先」と「三寸」に分けて考えると分り易いでしょう。
「舌先」は、文字通り「下の先」という意味で、「三寸」は「長さが三寸(さんすん)」という意味です。
「寸」は昔から日本で使われてきた「尺貫法」という長さの単位で「一寸=約3センチ」となっています。
これで計算すると「三寸=約9センチ」で、「舌先三寸」の直接の意味は「約9センチの舌の先」ということになります。
但しこの場合、9センチという長さがどうのではなく「三寸」が短いことを表しています。
「三寸程の短い舌」という意味から転じて「口先だけ」「中身がない」という意味で使われる様になりました。
「舌先三寸」の由来
「舌先三寸」は「非常に短い舌」という意味ですが、実際に舌先が9センチあればかなり長い方です。
短いと言われるのは、比較の対象となるのがお釈迦様であるからです。
お釈迦様は舌を出すと髪の毛の生え際まで届く程長いと言われています。
お釈迦様の説法は人の心に響きありがたみを感じさせるもので、これに比べて短い舌でペラペラと内容のないことを話している人間を表すことに由来して使われる様になりました。
「舌先三寸」の言葉の使い方
「舌先三寸」の使い方には以下のポイントがあります。
- 名詞として使える
- 褒め言葉ではない
名詞として使える
「舌先三寸」は名詞として幅広く使えます。
「人が口先だけで中身がなく喋る様子」を全て含んでいるので、「舌先三寸で〜する」としたり、「舌先三寸だ」と言い切ることもできます。
動詞として「舌先三寸する」という使い方はしません。
褒め言葉ではない
よく喋る人に対して「舌先三寸」と使う場合、決して褒め言葉にはなりません。
どんなに上手に喋っても全く中身が伴わない時に使います。
スピーチが上手だからと褒め言葉として使わない様にしましょう。
「舌先三寸」を使った例文・短文(解釈)
「舌先三寸」を使った例文と解釈を紹介します。
- 「舌先三寸」の例文1
- 「舌先三寸」の例文2
- 「舌先三寸」の例文3
「舌先三寸」の例文1
「諸葛亮は舌先三寸で呉を説き伏せた」
中国の有名な物語「三国志」に出てくるエピソードです。
蜀の軍師である諸葛亮は、呉と同盟を組んで魏と戦う為に、一人で呉の国の人々を説得しに出かけました。
最初はほぼ無理と思われましたが、諸葛亮の機転と素晴らしい話術で、いつしか呉の孫権を説き伏せて同盟を結ぶことに成功したのです。
「舌先三寸」の例文2
「祖母は相手の舌先三寸の話術に騙されて高価な印鑑を購入してしまった」
高齢者を狙った高額商品を売りつける商法が後を絶ちません。
業者は言葉巧みに高齢者に近づき、世間話や愚痴を聞くなど話し相手になり、段々と打ち解けて行きます。
「あなたには幸せになって欲しいから」等と上手いことを言い、法外な金額の商品を売りつけるのです。
高齢者は半分騙されていると分かっていても、寂しさから話し相手になってくれる業者に対してお礼の意味でお金を払ってもいいと思ってしまいます。
高齢者の寂しさに付け込んだ口先で稼ぐ商法で「舌先三寸」としては最も良くない意味の使い方です。
「舌先三寸」の例文3
「彼女は二股をかけているのに舌先三寸で彼氏にバレない様にしている」
二股をかけている人は、デートの時間をやりくりしながらバレない様に話のつじつまを合わせるのが大変です。
彼氏が怪しいと思っても「女友達とバッタリ出会って」などと、上手にごまかすのです。
この場合、女友達にも口裏を合わせる様に根回しをしていることでしょう。
「舌先三寸」の英語と解釈
「舌先三寸」を英語にすると“glib tongue”になります。
“glib”は「うわべだけの」という意味で“tongue”は「舌」という意味です。
特に諺的な意味は無く直訳そのままです。
文章にする時には人に関する動詞である“have”を使い“He has a glib tongue”(彼は舌先三寸だ). ”となります。
「舌先三寸」の類語や類義語
「舌先三寸」の類語と意味を紹介します。
- 「冗舌」【じょうぜつ】
- 「一口両舌」【いっこうりょうぜつ】
- 「二枚舌」【にまいじた】
- 「巧言」【こうげん】
「冗舌」【じょうぜつ】
とにかくお喋りで口数が多いことです。
「舌先三寸」は「中身がない」という意味が含まれているのですが、こちらには特に話の内容までの意味は含まれていません。
「一口両舌」【いっこうりょうぜつ】
以前言っていたことと全く違うことを平気で言う様子を意味します。
二つの口で両方の舌(話)をすることから調子がいいお喋りという意味があり、辞書には「二枚舌」と表記されています。
「二枚舌」【にまいじた】
次々と矛盾したことを平気で言う様子で、話の内容にウソが含まれています。
「舌先三寸」は中身がなくペラペラと喋るのに対して、こちらはウソをついて相手をだます意図が含まれます。
「巧言」【こうげん】
言葉が巧みで非常に話術が優れていることを意味します。
「舌先三寸」をより難しく言い換えるとこの言葉になります。
「舌先三寸」は、何か隠したいことがある、どうしても通したいことがあるなど何かの意思がある時に起こる言動です。
ただ「舌先三寸だ」と思うだけではなく、何故相手がそこまで頑張って喋るのかを考えると、より人間関係に深みが出てくるでしょう。