「敷衍」の意味・類語・対義語【使い方や例文】
「敷衍」という言葉を知っているでしょうか?
「敷衍」の「衍」という漢字さえ見たことがないという人も少なくないはずです。
今回はこの「敷衍」という言葉について見ていきたいと思います。
目次
- 「敷衍」の意味とは?
- 「敷衍」の語源や由来
- 「敷衍」の言葉の使い方
- 「敷衍」を使った例文・短文(解釈)
- 「敷衍」の英語と解釈
- 「敷衍」の類語や類義語
「敷衍」の意味とは?
「敷衍」という言葉は、日常生活で使うことは、まずないと言っても過言ではありません。
また、ビジネスシーンでも、この言葉を使うことができる人は少ないと思います。
しかし、意味を知れば、ビジネスの場面でも使う機会がかなりあるものです。
「敷衍」とは、「意味の分かりにくい部分をていねいにやさしく言い替えたり詳しく述べたりして説明すること」や、「話を押し広げること」を意味する言葉なのです。
「君の言っている内容がよく理解できない。
もっと噛み砕いて教えてくれないか」と上司から訪ねられる経験がありませんか?
そんな時にこの「敷衍」が使われるのです。
- 「敷衍」の読み方
「敷衍」の読み方
「敷衍」は「ふえん」という読み方になりますが、このような発音で読むということが理解できる人は、かなりの漢字博士か、日本語を専門的に勉強している人でしょう。
「敷衍」の語源や由来
「敷衍」の「敷」とは、「風呂敷やマットを敷く」というような時に使われる言葉ですが、「平らに広げる」という意味があります。
また「衍」とは、「東西南北に人の足が行き交う」=「四方八方に広がる」という意味が有ることから、2つの文字が組合わさり、「話を押し広げる」という解釈が生まれ、さらに転じて「分かりやすく説明する」という意味で使われるようになったとされています。
「敷衍」の言葉の使い方
「敷衍」は今では中々使う機会が少ないかもしれませんが、ビジネスシーンなどで理解しやすい説明を求める時などで使えるでしょう。
「敷衍」を使った例文・短文(解釈)
今では、仕事の場面でも使える人が少ないと思いますが、この言葉の意味と照らし合わせながら、活用シーンを例文形式で想定してみることにします。
- 「敷衍」の例文1
- 「敷衍」の例文2
- 「敷衍」の例文3
「敷衍」の例文1
「難しいことを敷衍して言うと、あなた方は、あの公式を置き換えて物事を考えると、全体像が何となくイメージできるのではないかと思います」
世の中には、どうしても必死に考えても理解できないことが、たくさんあります。
しかし、時として難しい事象でも、あるルールや公式などに当てはめたり、置き換えることで、それまで見えてこなかったことが、おぼろげながらも見えてきて、理解しやすくなることがあります。
とても抽象的な言い方になってしまいますが、世の中で起きる似たようなケースに置き換えてみることです。
「敷衍」の例文2
「ある心理学者の説を敷衍して考えると、理解不可能だったと思うことも、極めて合理的に理解することができる」
この例文も前の例文と似たようなニュアンスなのですが、特に人の心の奥に潜んでいる心理状態や行動をロジックに分析することは至難の技と言わざるをえないことが少なくありません。
しかし、心理学の中には、人の行動を論理的に解釈することができる説もあるので、そこに照らし合わせてみて、読解不可能と思えたことを読み解く鍵があるかもしれません。
「敷衍」の例文3
「彼の考えを敷衍して言えば、経験によって明確に否定されない事象は、真実であるという可能性も認容して受け止める必要性があるのです」
これもまた難しい内容で哲学的な思考のようにも思えますが、簡単には言うと、「経験則からダメと言えないことは、もしかするとOKと言えることかもしれない」という意味になるでしょうか。
難しいことを難しく説明することはそんなにハードルが高いことではないのですが、誰にでも簡単に理解できるように説明することこそ、本当に難しいことです。
何故なら、その本質的なことを理解していないと他の言葉や表現に置き換えて説明することができないからです。
「敷衍」の英語と解釈
「敷衍」を英語で表現すると、色々な言葉が出てきます。
“expatiate”なら「詳細に説く」という言葉になりますし、“enlarge”であれば「大きくする」という解釈ができます。
また、“dilate”は、「広げる」、「ふくらませる」、“elaborate”は、「苦心して作り上げた」という意味で「敷衍」の英訳として使われることがあります。
「敷衍」の類語や類義語
では、ここで「敷衍」の類義語を挙げてみることにしましょう。
- 「肉付ける」
- 「普及させる」
- 「詳説」
「肉付ける」
「肉付ける」とは、「骨組みや大筋ができているものに、さらに内容を付け加える」という意味を持っています。
言葉で、「敷衍」の類義語として挙げることができます。
「理解しやすいように説明する」という「敷衍」も「理解しやすいに説明を加える」という観点からすると、「肉付ける」も似たような言葉として言うことができるでしょう。
「普及させる」
「普及させる」とは、「概念や意義などを広く伝えること」という意味がある言葉です。
「教えを普及させる」というような場面でも使われる言葉ですが、考え方や思想を誰もが分かるように説明して広げていくということでは、「敷衍」に近い言葉だと思います。
「詳説」
「詳しく説明する」という言葉を略しているとも思える「詳説」とは、「説明または考えにおいて詳細を加える」という意味で、「学術的な方法で通常の文章に意味や会話を区分けするようなこと」も指しています。
「敷衍」という言葉の意味や使い方を知ると、ますます日本語の重みや奥深さを実感できたのではないかと思います。
それだけに普段では全く使われていない言葉がどれだけあるのかを改めて認識することになります。
今では、グローバル化の波でビジネスの世界では、英語でコミュニケーションを取ることが珍しくはなくなっています。
しかし、そのような時代だからこそ、日本語の良さを再認識する必要があると思うのです。