「貧すれば鈍する」の意味・類語・対義語【使い方や例文】
人は、日々の生活の中に物質的な裕福さを求めて一生懸命に働いています。
誰でもお金持ちになって、経済的に裕福になって、楽な生活を送りたいと願っているものです。
その一方で最近では、精神的な豊かさを求めていく考え方もあります。
しかし、暮らしが思うように楽にならなくて、苦労擦るばかりの生活を続けていくと、考え方まで貧相になるような気がしてこないでしょうか?
このような時に出てくる言葉が「貧すれば鈍する」と表現です。
今回はこの「貪すれば鈍ずる」という言葉についてフォーカスしていこうと思います。
目次
- 「貧すれば鈍する」の意味とは?
- 「貧すれば鈍する」の語源や由来
- 「貧すれば鈍する」の言葉の使い方
- 「貧すれば鈍する」を使った例文・短文(解釈)
- 「貧すれば鈍する」の英語と解釈
- 「貧すれば鈍する」の類語や類義表現
「貧すれば鈍する」の意味とは?
「貧すれば鈍する」ということわざには、「貧乏をすると、毎日その生活のことばかり考えるようになってしまい人は知恵や頭の回転が衰えてしまうために、賢い人でも愚かになる」という意味を持っています。
また、「暮らしが貧しくなれば心までも貧しくなるもの」という意味もあります。
精神的なゆとりを求める時代であっても、やはり一定の裕福さというものが必要になってくることなのでしょう。
- 「貧すれば鈍する」の読み方
「貧すれば鈍する」の読み方
「貧すれば鈍ずる」は、「ひんすればどんずる」という読み方になります。
「貧すれば鈍する」の語源や由来
「貧すれば鈍ずる」の中に含まれている「貧する」は「貧しくなる(まずしくなる)」ことで、「貧乏」=「お金がないことや経済的に苦しい」ことを指しています。
「鈍する」には、「鈍くなる(にぶくなる)」ということで、行動や考え方がトロくなるということを意味しています。
ストレートに言うと「馬鹿になる」というそとでしょうか。
この2つの言葉が組合わさることで、「経済的に苦しくなると、どうしても考え方が鈍くまともな考え方ができなくなる」ということを言うようになったのです。
「貧すれば鈍する」の言葉の使い方
「貧乏をすると、人は明日の食事さえどうするか悩んでしまいます。
どうやって生活をしていけばよいのか路頭に迷って、心配事で頭が一杯になってしまいます。
そのようなマイナス思考で生活を続けていくうちに、普段なら考えないようなことを考えたり、知恵や考える力も低下いくことになります。
このことは、どんなに賢い人であっても馬鹿なことを考えてしまうことになります。
したがって、仕事をなくしたり、会社を首になって暮らしが乏しくなれば、身も心も寂しくなって考えや行動も貧しくなってしまうことから、このような境遇に遇った人を指して言うことになります。
「貧すれば鈍する」を使った例文・短文(解釈)
では、ここから「貧すれば鈍ずる」を使った例文を見ていくことにしましょう。
- 「貧すれば鈍する」の例文1
- 「貧すれば鈍する」の例文2
- 「貧すれば鈍する」の例文3
「貧すれば鈍する」の例文1
「生活が苦しくなり、変なことばかり頭を駆け巡るのだか、これは貧すれば鈍するということか?」
このようなことは、苦しい生活を続けていると、ふと思うことかもしれません。
このようなことを思っている人は、一体どんなことがあったのでしょうか?
もしかすると、何らかの理由で会社を退職してしまったのか、それとも何か仕事の失敗をしてしまい、収入を得るつながりを失っていたのかというような印象を覚えます。
「貧すれば鈍する」の例文2
「貧すれば鈍するで、会社が倒産してからというもの、あれだけ傲慢だった社長はまるで別人のように落ち目となっている」
どんなに権勢を振るった人でも、その勢いに長くは続かないということでしょう。
経営が好調で普段の生活も羽振りも良かった社長が、経営の失敗で生活が苦しくなるくらいにお金の収入もなくなり、そのために勢いのあった頃と比べるとそのギャップに誰もが驚いたのかもしれません。
「貧すれば鈍する」の例文3
「貧すれば鈍するとはこのことなのか、彼女はいつも、人にたかることばかり考えているので、誰もから敬遠されている」
それまでゴージャスな生活をしていた彼女が、一気に坂を転がるように落ちていったことで、今ではとてもみすぼらしい生活をしているのでしょう。
それで今では、人に会うとすぐにたかることばかり考えているのでしょう。
そんな彼女に同情する人は誰もいないことでしょう。
「貧すれば鈍する」の英語と解釈
「貧すれば鈍ずる」ということわざは、英語でも似たような意味を持つ表現があります。
“Poverty dull the wit”という言葉で、「貧乏になると知力や理知を鈍らせる」と意味があります。
また、比喩的な表現で例える“A light purse makes a heavy heart”も「お財布が軽いと心臓に負担がかかる」=「お金がない時は、悪いことばかり起こる」というような解釈で「貧すれば鈍ずる」の英語訳となります。
「貧すれば鈍する」の類語や類義表現
では、「貧すれば鈍ずる」の類義語として挙げるなら、どんなことわざがあるでしょうか?
- 「人貧しければ智短し」
- 「窮すれば鈍する」
「人貧しければ智短し」
「人は貧乏していると心が卑屈になり、ひがみっぽくなって、知恵の働きも鈍くなるものだということ」という意味があります。
貧しいということは、確かに心の卑屈にさせてしまいます。
その結果、まともに考えることも、冷静な判断もできずに、おかしな行動をしてしまうものです。
貧しいことは、まともな考え方を鈍くさせてしまうのです。
「智短し」とは、「まともな考えをすることができない」ということを言っていますので、その原因が「貧しさ」にあるのなら、そんな生活から脱却しなくてはなりません。
「窮すれば鈍する」
この言葉も「貧すれば鈍ずる」の類義語として挙げることができます。
「窮する」とは、「経済的に困ること」という意味があるので、「貧しくなること」と同じ意味です。
「貧すれば鈍ずる」ということは、人の習慣を如実に表している言葉かもしれません。
「豊かなことだけが幸福ではない」ということを言う人もいるのですが、それだけでは必ずしも幸せな生活を送ることができるとは言えません。
ある程度の裕福さがないと幸福な生活を送ることはありませんし、まともな考え方もできなくなるということです。
ある程度安定した収入がないと、ちゃんとした思考もできないし仕事も中途半端になってしまうので、私達はまともに生活するためには、仕事もきちんとこなして生活も安定させることが必要だと思います。
そうでないと、いつも貧相なことばかり考えてしまうことになります。