「斜に構える」の意味・類語・対義語【使い方や例文】
日本語には色々な言葉がありますが、比喩的な表現を使う言葉も数多くあります。
その中で、「斜に構える」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
この表現は、時々耳にすることがあると思いますが、「そんなに斜に構えるんでじゃなくて、もっと素直な姿勢で臨めよ」と言われたら、あなたはどんなふうに感じるでしょう?
比喩的な言葉を言われた時、会話の流れや前後の言葉によって、何となく忠告されているのように感じるのではないかと思います。
でも、その忠告されていることが具体的にどのようなことを言われているのか、正しく理解できないと、これからの対応が的外れなことになってしまうこともあるので、やはり正確な意味を理解しておく必要があります。
ここでは、この「斜に構える」の意味や使い方について説明をしていきたいと思います。
目次
- 「斜に構える」の意味とは?
- 「斜に構える」の語源や由来
- 「斜に構える」の言葉の使い方
- 「斜に構える」を使った例文・短文(解釈)
- 「斜に構える」の英語と解釈
- 「斜に構える」の間違った使い方
- 「斜に構える」の類語や類義表現
「斜に構える」の意味とは?
「斜に構える」の意味は、本来の意味は剣道の世界で、「刀を斜めに構える」というものでしたが、これから転じて「改まった態度を取る」や「身構える」という解釈が生まれてきました。
また、「皮肉で不真面目な態度で臨む」という意味で使われることもあります。
「斜」とは「斜め(ななめ)」=「傾いている」で、「構える」は「ことに備えてある姿勢や態度を取る」ことを指しています。
この意味から、今では、「不真面目な態度で臨む」という誤った使われ方が浸透しています。
時には「世間や物事を斜めの視点で見る」という意味も含まれており、「斜に構える」は主に人の態度を表している言葉として理解されています。
- 「斜に構える」の読み方
「斜に構える」の読み方
「斜に構える」は「しゃにかまえる」という読み方であり、「ななめにかまえる」ではないので、注意しましょう。
「斜に構える」の語源や由来
「斜に構える」の語源は、前述の通り剣道に由来のある言葉で、剣道は、「上段」、「中段」、「下段」という構えがあります。
この時の「中段」構えは、相手に向かって刀を斜めに延ばした姿勢となっていることから、その構えを「斜に構える」と呼ぶようになりました。
「中段」構えは、試合前の双方が向き合う基本姿勢であり、一番隙を作らない構え方であることから、「改まった態度を取る」という意味に転じてきたのです。
このように「斜に構える」は、本来、剣術で敵に対して刀を下げて斜めに身構えること」を言っていたのですが、「改まった態度を取る」という解釈で使われるようになったわけです。
「斜に構える」の言葉の使い方
「斜に構える」は、物事にまともに向き合わず、皮肉やからかいなどの姿勢や態度で臨むことを表す時に使われることがおおくなっています。
「斜に構える」を使った例文・短文(解釈)
ては、ここから「斜に構える」を使った例文を見ていくことにしましょう。
- 「斜に構える」の例文1
- 「斜に構える」の例文2
- 「斜に構える」の例文3
「斜に構える」の例文1
「お前はそうやって、いつも斜に構えているから、周りから近寄りがたい奴だと思われるんだ」
こんな態度を取る人があなたの周りにも1人や2人はいるのでないでしょうか?
素直に真っ直ぐに心を開いて向き合う姿勢があれば、誰からでも信用度されるのでしょうが、いつも身構えている姿勢だと、やはり相手も心を開くことはないでしょう。
この例文を誤った理解になると、「いつも相手をふざけて見てしまう奴」という解釈をされることもあるので、使い方に注意が必要です。
「斜に構える」の例文2
「彼女の斜に構えた態度は、周りの人達を遠ざけているのです」
ここで出てくる「彼女」も、周りの人達との間に何らかの壁を作っているのでしょうか?
「心の壁」というか、何かしらのバリアを張っているのかもしれません。
たとえ「彼女」が美しい人であっても、改まった態度で「斜に構えている」ので、誰も近寄ることができないのでしょう。
「斜に構える」の例文3
「あの人は解説者の意見を斜に構えて批判しているので、誰からも嫌われている」
解説者のコメントに対していつも辛口で言い返す人が必ずしもいるものです。
しかし、解説者のコメントを一旦素直に受け止めて反論するなり解釈すればいいものをただ反論するだけでは、その人自身の本当の考えが何か分かりません。
また、ここで使われている「斜に構えている」は、「不真面目な態度で見ている」というニュアンスがあるので、本来の使い方からすると、誤った使い方になるでしょう。
しかし、今ではこのような場面でも使われている「斜に構える」です。
「斜に構える」の英語と解釈
「斜に構える」を英語で言うと、「反抗するような態度を取る」という解釈から“assume an attitude with one's right [left] shoulder drawn back”という表現があります。
「斜に構える」の間違った使い方
前の項でも説明したように「斜に構える」とは、「皮肉で不真面目な態度で臨む」という意味で使われる言葉です。
しかし、本来の「改まった態度を取る」、「身構える」という意味で用いるとむしろ、逆に相手に伝わらないことも少なくありませんので、注意が必要です。
「斜に構える」の類語や類義表現
では、「斜に構える」の類義語を見ていくことにしましょう。
- 「根性曲がりの」【こんじょうまがりの】
- 「偏屈な」【へんくつな】
「根性曲がりの」【こんじょうまがりの】
「根性曲がりの」という言葉が「斜に構える」の類義語として挙げられますが、意味は、「物事をあくまでやりとおす性質や考えなどが正しくない」ということです。
「私の父は、根性曲がりなことは大嫌いな人でした」といったような言い方ができます。
また、「性質や考え方などがねじ曲がっており素直でない」という解釈もあり、「そのような意見は、ひねくれた者の考えだ」という言い方で使われることもあります。
「偏屈な」【へんくつな】
「偏屈な」とは、「性質が頑なで素直でないこと」や「ひねくれていること」という意味で「彼は随分と偏屈な人です」という形で使います。
「斜に構える」とは、「改まった態度で身構える」という意味から、今では「物事を真剣な態度で見ない」というような意味合いでとらえている人が多くなっています。
今さら、この表現が間違った使い方と指摘しても、今さら正しくなることは難しいでしょうが、この表現を使う際には、相手の語学力やその場の環境や状態を見て判断しながら、使うようにしなくてはなりません。
間違った用法でも、時としてそれがデファクトスタンダード的な使い方になることもあるからです。