「労る」の意味・類語【使い方や例文】
人には喜怒哀楽がありますが、笑顔を振る舞っている人でも、時には悲しんだり、怒こったりすることもあります。
また、いつも怒りがちな人でも、ちょっとしたことで気持ちが安らぎ、思わず笑みをこぼすこともあるでしょう。
そんなふうに誰でも色々な場面で色々な顔を見せています。
普段から冷静な顔をしている人でも、もしかするとポーカーフェイスを装っているだけで、内心はドキドキ、ハラハラしているかもしれませんし。
その中で周りから見ていて、とても気の毒になるのは、何か失敗をして落ち込んでいる人です。
このような人を見ると、思わず「労る」という気持ちになってきます。
ここでは、この「労る」という言葉について、説明をしていきたいと思います。
目次
- 「労る」の意味とは?
- 「労わる」と「労う」の違い
- 「労る」の言葉の使い方
- 「労る」を使った例文・短文(解釈)
- 「労る」の英語と解釈
- 「労る」の類語や類義語
「労る」の意味とは?
「労る」という言葉には、「老人や子供や弱い人などに同情して親切に大事に扱う」という意味があります。
まさに人の優しさの素晴らしい側面を表したいい言葉ではないかと思います。
- 「労る」の読み方
「労る」の読み方
「労る」は「いたわる」という読み方になりますが、他に「労う」=「ねぎらう」という言い方もあるので、ここでチェックしておくと言葉の使い方に広がりが出てきます。
「労わる」と「労う」の違い
では、「労る」と「労う」には、言葉の解釈の仕方に違いがあるのでしょうか?
この発音の違いにより、解釈に違いがあることが分かってきます。
「労る(いたわる)」とは、「優しく大切に扱う」ということですが、「労う(ねぎらう)」とは、「苦労や骨折り的な仕事や行動を慰めながら感謝する」ということになります。
言葉の使う相手が違うケースがあるのですが、「お年寄り」に対しては「労る」を使い、部下や後輩には「労う」を使うということを当てはめると、理解しやすくなると思います。
「労る」の言葉の使い方
「労る」という言葉の使い方を考えてみると、人に対してさり気ない優しさを感じさせるような使い方になってきます。
その一方で、物に対しては、その物に対してどれだけの慈しみを持って大切に扱っているかも含まれています。
このように「労る」を用いる対象は、必ずしも人だけではなく、物であってもいいのです。
使い込んだ商品であれば、それだけ愛着が沸いてきて、「労る」気持ちが強くなっていくはずです。
「労る」を使った例文・短文(解釈)
では、ここから「労る」を使った例文を見ていくことにします。
- 「労る」の例文1
- 「労る」の例文2
- 「労る」の例文
「労る」の例文1
「妻は、長期間に渡って闘病生活を余儀なくしているご主人を労っています」
奥さんが苦労されているご主人をとても大切な気持ちで接していることが、この例文だけでも、ひしひしと伝わってきます。
このように長い病魔との戦いで、ご主人は心身ともに疲弊されていることでしょう。
自分では思うように身体を動かせないのかもしれませんが、そのような夫を献身的に看病したり、「労り」の気持ちを持って支えている奥さんの姿はとても感動的です。
「労る」の例文2
「彼は大病を患ってからというもの、肝臓をいつも労っています」
サラリーマンの人でいつも不規則な生活で、食事も栄養バランスが偏り、遂に身体を壊してしまったという人が少なくありません。
その結果、大きな病気で入院したり、手術をしなくてはならないことも出てきます。
その結果、やっと自分の健康を維持するために、「労る」ようになったのです。
特に肝臓を「労る」ということは、お酒の飲み過ぎということでしょう。
何も感じていない人でも、日頃から休肝日を設けておくことですね。
「労る」の例文
「長年愛用してきたパソコンの補修部品がなくなったとメーカーから通達が出たので、今は労りながら使っています」
この例文に見るように「労る」は、物の場合でも使えることは前述の通りです。
でも、これはパソコンだけでなく、どんな物でも大切にすることが必要です。
最近では故障した物を修理して使うことより、新しく買い換えた方が安いケースも少なくありませんが、そんなことでは物に対する愛着も薄れてきます。
まさに消耗品感覚なのですが、できることなら、物を大切に扱い気持ちを持ち続けたいものです。
「労る」の英語と解釈
「労る」を英語で言うと、色々な単語が挙げられるのですが、「思いやりを示す」という意味では、“be considerate”、「慰める」では“console”、「大事にする」は、“take care of”という表現で使い分けが必要です。
「労る」の類語や類義語
「労る」は、他にも次のような類義語で言い換えることもできるでしょう。
- 「慰める」
- 「力づける」
- 「和める」
「慰める」
「慰める」という言葉には、「寂しさ、悲しみ、苦しみなどをまぎらせて、心をやわらげ楽しませる」や、「憂(う)さを晴らす」という意味があり、「労る」の同義語として使われることがあります。
「落ち込んだ彼女を慰める」や、「悲しむ母を慰める」というような言い方で置き換えることができます。
「力づける」
「力づける」も「労る」を使うケースで言い換えることができる場合があります。
「相手に対して力が沸くように応援したり鼓舞したりすること」を意味する言葉で、「受験に失敗して落ち込んだ息子を力づける」という表現で言います。
「和める」
「和める(なごめる)」とは、「穏やかにする」や、「なだめる」、「しずめる」という意味がありますが、「和み(なごみ)」などでよく聞く言葉です。
「平和」でも使われる「和む」ですが、「心の平穏」を教えてくれるようなフレーズではないでしょうか。
「労る」という言葉を調べていくと、この言葉には、人の優しさが滲み出るような感じがしてなりません。
しかし、ふと今の世の中のことを振り返って眺めてみると、そんな「労る」ということを誰もが忘れているのではないかと思えるのです。
あまりにも慌ただしい世の中になってしまっているので、他人に気遣う心のゆとりがなくなっているのではないかと思ってしまいます。
時には肩の力を抜いて、周りを見渡してみると、他人の力を頼りにしている人がたくさんいるはずです。
そんなには人々を「労る」気持ちで接することができるようになれば、世の中はもっと明るく優しい社会に変わっていくはずです。
だからこそ、「労る」という行為を忘れないで欲しいのです。