「体たらく」の意味とは?類語、英語や使い方、例文を紹介!
あまり使う事がないにも拘わらず、誰でもよく知っている言葉があるものです。
「体たらく」はそんな言葉の一つですが、意外にその正しい用法は知られていません。
言葉が誤った独り歩きをする前に、本項で学んでおきましょう。
目次
- 「体たらく」の意味とは?
- 「体たらく」の読み方
- 「体たらく」の言葉の使い方
- 「体たらく」を使った例文
- 「体たらく」の英語と解釈
- 「体たらく」の類語や類義表現
「体たらく」の意味とは?
主に人物のありさま、状態の事をいい、読みは同じで「為体」とも表記します。
「たらく」は「たらしめる」などにも用いる断定の助動詞「たり」の活用形で、「こうしたありさまである」ときっぱり述べる事で強調しているような印象を与える事ができます。
このように本来は単なる形容の言葉ですが、現代ではそのありさまが劣っている、程度が低い、褒められたものではない、情けないなどの否定的な場合に、半ば嘲笑の意図を含んで用いられます。
「体たらく」の読み方
「ていたらく」と読みます。
体を「てい」と読むのは漢音読みであり、他にも「体裁」「ほうほうの体」などの使い方がありますが、いずれも肉体的な体というよりは、見てくれや様子、格好を表す言葉であるのが特徴です。
「体たらく」の言葉の使い方
前述の通り何かを罵る場合にのみ用いられ、例えば「練習の成果が出て、今回の徒競走は2位という体たらくだった」などと肯定的な場合には使われません。
但し、そのまま「体たらく」だけですと不自然な印象を与えますので、「この体たらくか」などと「こんなに、このような(程度の低さか)」を意味する言葉を添えるのが一般的です。
従って相手には相当の嘲笑に聞こえるはずですから、使う場面や立場などには充分、注意しなければなりません。
というより、なるべくなら人にこんな言葉を投げつける機会がない方がいいといえます。
「体たらく」は動詞「たり」が付いているものの、最後に「く」が付き名詞化する特殊な用法(ク語法)ですので、「遅い→遅さ」「低い→低さ」のように「体たらくさ」などという表現をするのも誤りです。
その他、この言葉には元々「様子」の意味がありますので、「体たらくぶり」「体たらく感」なども、一見おかしくないように思えますが重言が起きていますので、厳密には誤りです。
「体たらく」を使った例文
100パーセント否定を表す言葉といっても過言ではありませんから、例文もなかなかきついものばかりになりました。
どういった場合にどのような使い方をするのか、実際に文章でいくつか見ていきましょう。
- 「体たらく」の例文1
- 「体たらく」の例文2
- 「体たらく」の例文3
「体たらく」の例文1
「恋仲を取り持つって自信たっぷりに言うから任せたのに、何よその体たらくは。信じて損した」
この場合発言者は女性、言われているのは男性のようです。
言動からしてかなり勝ち気な女の子、といえるでしょう。
その割には恋にはおくてで自分からは言い出せない弱気さがありますが。
自分のために一肌脱いでくれた相手に対しての言い方としてはあんまりですので、この女性こそあまり褒められたものではありません。
「体たらく」の例文2
「首相はこの大事な時期に居眠りをするという体たらくで、国を引っ張る資格はないのではないか」
野党のコメントでありがちな例です。
我々一般国民としては、政治家同士のあら捜しを期待して血税を払っているのではありません。
縄張り争いはさっさと止めて、目の前に転がっている問題に取り組んでほしいところです。
「体たらく」の例文3
「撮影があるというのに明け方まで深酒をし、翌日の鏡の前にあった自分の顔は予想通りの体たらくだった」
誰かに、ではなく、自虐している人の様子です。
この方は相当アルコールや宴会がお好きのようで、「わかっちゃいるけど止められない」自分の情けなさに対する憤りを「体たらく」という一語に込めているのが見て取れます。
「体たらく」の英語と解釈
体たらくそのものは「状態」を意味するので、英語では“condition”が相当します。
しかし現在では用法が限られている言葉ですから、その非難の意味合いに則って訳すとなると、“wretched”(レッチト)が挙げられます。
「惨め、情けない、みすぼらしい、愚劣な」などの意味があり、簡単に“What a wretched performance!”などと言えば、スポーツ選手に野次を飛ばすのにも使えます。
また“wretched person”でインターネットを画像検索してみると、貧しい人や苦しんでいる人の姿も多く出てきますので、みすぼらしい“poor”や惨め“miserable”の意味でも用いられる事を覚えておきましょう。
「体たらく」の類語や類義表現
ここでは、意味・使い方が似ている否定的な言葉をいくつか挙げていきます。
- 「ざま」【ざま】
- 「不面目」【ふめんもく】
「ざま」【ざま】
その嘲る調子から最も近いと思われるのがこの言葉です。
ほぼ「体たらく」とそのまま置換して「このざま」などと使う事ができます。
ざまは「様」から来たものですが、「さま」と発音すると一般的な様子全般を表すのに対し、音が濁る事によって罵倒やけちをつけるニュアンスが強く出てきます。
体たらくが「たいたらく」ではないのと同様の特徴といえるのではないでしょうか。
「不面目」【ふめんもく】
不真面目(ふまじめ)に似ていますが「ふめんもく」と読み、面目がない、すなわちみっともない、情けない状態を表します。
またきまりの悪い恥ずかしさを「ばつが悪い」と言ったりしますが、これはあくまで自分自身に対しての言葉ですから、体たらくのように誰かに向けて「あいつはばつが悪いな」などとは言いません(ばつが悪そうに見える、なら正しいですが)。
以上が正しい「体たらく」の使い方です。
特に「たらく」の意味や、重言の部分はあまり知られていない知識ではないでしょうか。
しかし繰り返しになりますが、いざ知ったところで実際に口に出すのは、よほどの場合でない限り控えましょう。