「傀儡」の意味・類語【使い方や例文】
日本語には、昔から色々な言葉がありますが、普段使われていない言葉を見ると、全く意味が分からないものがあります。
その中で、「傀儡」という言葉もその1つではないかと思います。
「傀儡」という言葉は、普段の日常生活で出てくることは、まずほとんどありませんし、ビジネスシーンでもこの言葉を耳にすることさえないでしょう。
言葉のことをよく知っている年配者の方々でも、「傀儡」を使う光景はめったに見ることがないはずです。
でも、「傀儡政権」などと新聞や雑誌のコラムでは、ごく稀に使われていることがあるので、今回はこの言葉にフォーカスを当てて、その意味や読み方、使い方などを説明していこうと思います。
目次
- 「傀儡」の意味とは?
- 「傀儡」の読み方
- 「傀儡」の言葉の使い方
- 「傀儡」を使った例文・短文(解釈)
- 「傀儡」の英語と解釈
- 「傀儡」を使った言葉と意味を解釈
- 「傀儡」の類語や類義語
「傀儡」の意味とは?
「傀儡」とは、「操り(あやつり)人形」のことを意味する言葉なのですが、このことから転じて、「自分の意志や主義を表さずに他人の言いなりに動いて利用されている人」といった意味を持っています。
操り人形は、操る人によって、動かされることから、自分の意思を持たず、「人の手先となって思いのままに使われる者」ということになります。
言葉の意味はそんなに難しいことではありませんが、この言葉の存在さえ知らない人も結構いると思います。
「傀儡」の読み方
「傀儡」は「かいらい」という読み方になりますが、訓読みで「くぐつ」とも読みます。
「傀儡」の言葉の使い方
元々「傀儡」は、意味の欄でも説明したように「操り人形」のことでしたが、その意味から「他人の言いなりである人」といった意味合いで使われるようになっていきました。
「人の言いなりになっている人」という場面は、身近な場面ではそうそうあることではないのですが、政治の世界では「傀儡政権」や「傀儡国家」などと言うような表現で使われています。
しかし、この使い方も決して一般的な使われ形ではないので、言葉の認知度がイマイチ低いのかもしれません。
「傀儡」を使った例文・短文(解釈)
「傀儡」という言葉があまり使われていないということを何度もお話しましたが、もし私達の会話の中で、使うとするなら、どんな場面がイメージできるでしょうか?
例文形式で考えてみることにしましょう。
- 「傀儡」の例文1
- 「傀儡」の例文2
- 「傀儡」の例文3
「傀儡」の例文1
「私の生活のベースは、会社生活にあり、自分は、単なるその傀儡にしか過ぎないということを常日頃から感じているのです」
このようなことを言っている「私」は会社という組織の枠組みの中で、動いている単なる操り人形だというのとなのでしょうか?
自主性のない人間なのか、それとも大きな挫折を味わい、自らの意志で生きていくことを放棄した人なのか?
そんなことを思ってしまう相手です。
人は、自分の頭で考え、自分の意思で未来を切り開いていくことで、大きく成長していきますので、この人も目を覚まして欲しいです。
「傀儡」の例文2
「傀儡のようにあてもなく動かされている毎日だ」
このようなセリフを言っている人も、やはり主体性のない人間としか思えません。
しかし、「傀儡」にならざるをえない特殊な事情や理由がある場合もあるでしょう。
人に弱味を握られており、言いなりになってしまうこともあるでしょうし、事無かれ主義で深く考えずとも、平凡に生活できることがない保障されていることを望んで「傀儡」になった人もいるかもしれません。
でも、多くの人はこのようなスタイルは好まないはずです。
「傀儡」の例文3
「取締役や部長という社会的な地位を手に入れたとしても、ただ傀儡と化すのであれば、肩書きなんていらないとつくづく思う」
ビジネスマンが、社会的高い地位を得た時は、とてもステータスを感じることでしょう。
しかし、経営者のワンマンなのであれば、自分の個性を発揮することなく働かされるだけです。
これだったら、何の意味もないと思うのですが、いかがでしょうか?
「傀儡」の英語と解釈
「傀儡」の英語は、“puppet”という言葉を使います。
日本でも時々カタカナで「パペット」という言い方をすることがありますが、元々は“puppet”は「操り人形」という意味ですが、日本語の解釈と同じように意味が転じてきて、「傀儡」という意味でも使われるようになっています。
後で出てくる「傀儡政権」を英語でいうなら、“puppet government”と訳すことができます。
「傀儡」を使った言葉と意味を解釈
では、ここから「傀儡」を使った例文を見ていくことにします。
- 「傀儡政権」
- 「傀儡師」
- 「傀儡国家」
「傀儡政権」
「傀儡」で比較的に多く出てくる言葉が「傀儡政権」なのですが、この言葉は「ある領域を統治する政権が名目上、独立していても、実際は事実上の支配者とも言える組織外の政権や影の実力者によって管理・指揮・統制されている政権」のことを指しています。
国内の政治だけでなく、外政についても、実際の自己決定権がなくて、支配者の利益につながるための指示命令によってコントロールされて政治が動かされています。
このような場合は、影で政権をコントロールしているのは、政治家のOBであったり、財界の大物や企業群であったりします。
海外では、秘密結社の存在さえ指摘されることもあります。
「傀儡師」
「傀儡子」は「くぐつし」という言い方になりますが、元々は「木偶またはそれを操る部族」のことで、さすらいの民族や旅芸人の中にも、人形を操る芸能的なことを仕事としているグループを指すこともあります。
簡単に謂うと「操り人形師」という言い方もできるでしょう。
ケースによっては、「傀儡政権」を操る影の実力者を指すこともあるかもしれません。
「傀儡国家」
「傀儡国家」も「傀儡政権」と同じで、国家元首によって治めされている国ではなく影の実力者や別の国からコントロールされている国と言えます。
「傀儡」の類語や類義語
では、「傀儡」に近い意味を持つ類義語としては、他にどのような言葉があまりあるでしょうか?
- 「手先」
- 「木偶の坊」
- 「言いなり」
「手先」
身近な言葉としては、「人に使われる者」という意味をもつ「手先」があります。
「あいつの手先になるのはゴメンだ」というような使い方があります。
「木偶の坊」
「木偶の坊(でくのぼう)」という言葉も「傀儡」と同じ意味があり、「あやつり人形のこと」で「役に立たない人」や「人のいいなりになっている人」という意味になります。
「言いなり」
「言われるがままであること」や「人の言うとおりにすること」という意味がある言葉です。
「傀儡」という言葉はあまり知られていないだけに、こんな言葉があったことに驚く人もいることでしょう。
主に政治的な分野で使われることがありそうですが、そのような目で政治の動きを観察してみると、意外に面白いことが見えてくるかもしれません。