「達筆」の意味・読み方・英語【使い方や例文】
この達筆は、年配の人から聞くことが多い言葉です。
そして、間違った意味で捉えてしまうことも多い言葉だとも言えるでしょう。
目次
- 「達筆」の意味とは?
- 「達筆」の読み方
- 「達筆」の言葉の使い方
- 「達筆」を使った例文と解釈
- 「達筆」を英語にするのは難しい?
- 「達筆」の類義語や置き換えられる表現
「達筆」の意味とは?
達筆とは、「とても巧みに文字、文章を書く様子」が表現できる言葉です。
よって、この達筆だと言えば、普通に考えると「字を書くのがうまい」のだと思ってしまうことでしょう。
しかし、ここで言う「巧み」な文字とは、一見では読めないような崩した文字のことを表現します。
よって、達筆だと言われる人ほど、普通には読みにくい文字を書くのです。
「達筆」の読み方
「達筆」は「たっぴつ」と発音します。
「筆」(ふで)を扱うのが「達者」という意味から作られて言葉です。
達者と言うからには、それはうまい字で綴るのだと思えば、実はそうではなく、すらすらと崩しながら流れるように字や文章を書くことだからです。
その性質から、鉛筆やボールペンではなく、筆で文章を書く場合に使われることが多かった言葉ですが、今はそれらで書いたものに対しても普通に使っています。
「達筆」の言葉の使い方
達筆という言葉は、そのような文字を書く人に対して使いますが、その様子に対して褒めて使っている訳ではないことも多いと言っていいでしょう。
それは、普通には読めないくらいまで崩された字に対し、「もっと読みやすい字を書いて欲しい」という意味で、皮肉混じりに使うことがあるからです。
「達筆」を使った例文と解釈
達筆=字がうまいという訳ではないことは既に説明しましたが、見る人が見ればとてもうまい字だと思うことも少なくありません。
しかし、「達筆」はそのような意味で使うだけでなく、下手で読めない字に対して使うこともできる言葉です。
以下でその例も挙げてみたいと思います。
尚、中にはその意味でしか使わない言葉だと考えている人さえ居るほどです。
- 例文1
- 例文2
- 例文3
例文1
「あの人は達筆だから、全部読むのに時間が掛かるよ」
その人の字が普通には読みにくいということを表しています。
この例文では、そこまで皮肉は込められていませんが、多少なりともそのような意味が入ってしまうのがこの言葉の特徴です。
例文2
「あまり達筆に書かないで、きちんと楷書で書いてくれ」
この「楷書」(かいしょ)は、「達筆」の反対語とも言える言葉です。
「崩さずに正しく書かれた字」のことで、達筆な人に対してこのように使われることも多いです。
各文字の標準的な書き方(フォント)を、この楷書をいう言葉から「楷書体」と呼んでいます。
普段から達筆な人には、決して掛けない文字だと言っていいでしょう。
例文3
「お前の字はいつも達筆過ぎて読めないよ」
この使い方は、「達筆」を悪い意味で使っている例になります。
下手な字に対して、それを達筆だと揶揄して表現しているのです。
達筆は、こういった使い方もよくされる言葉なので、その意図がなく使った場合でも、どうしても悪い意味が少なからず含まれてしまうと言えるのです。
「達筆」を英語にするのは難しい?
「達筆」そのものを表現する英語表現は難しいです。
と言うのは、「見る人が見ればうまく、しかし普通には読みにくく、更に文字が下手なことの皮肉としても使える」という言葉が英語にはないからです。
- “sloppy font”
- “stroke writing”
- “too messy font”(または、“writing”)
“sloppy font”
日本語の「達筆」に近い表現として、まずこの“sloppy font”が挙げられます。
直訳すると「だらしのない文字」という意味になりますが、「(良くも悪くも)クセのある文字」という解釈で使うことができます。
“stroke writing”
スラングとしての使い方になりますが、「リズムのよい書き方」という意味から、読めないほどの達筆ぶりを指す英語表現として使うことができます。
この表現だと、皮肉も混じっている為、日本語の「達筆」により近いと言っていいでしょう。
“too messy font”(または、“writing”)
「汚くて読めない文字(または、書き方自体)」という意味になり、達筆の悪い意味だけを強調した表現です。
先に挙げた最後の例文を英語にするなら、この表現を使うのが一番合っています。
日本語で表すと、後述する「悪筆」のことだと考えてください。
その「悪筆」は、「達筆」に近い言葉ながら、やはり多少違う表現となっています。
「達筆」の類義語や置き換えられる表現
達筆を他の言葉で置き換えるのも、英語で表現するのと同様に難しいと言えるでしょう。
その為、あまり他の表現に置き換えることは考えない方がいい言葉です。
- 「流暢な文字」【りゅうちょうなもじ】
- 「悪筆」【あくひつ】
- 「麗筆」【れいひつ】
「流暢な文字」【りゅうちょうなもじ】
この「流暢」は、話し方について使うことが多い言葉です。
「流暢な英語を話す」と使うと、「ネイティブ並のしっかりとした英語を話す」ことが表現できます。
この使い方では、特に悪い意味は含んでいませんが、「流暢な文字」とすると、途端に「達筆」の悪い意味を大いに含む言葉になるのです。
繋げて使う言葉によって、このように意味が全く変わってしまうところは、日本語の面白い部分でもあります。
「流暢」はそのような言葉の1つです。
「悪筆」【あくひつ】
これは、そのまま「字が下手なこと」になってしまうので、それほど「達筆」と似ている言葉ではありませんが、下手な字に対して達筆だと言って、それが皮肉だと分からない人には、この言葉を使って表現してもいいでしょう。
ただし、この言葉になると、もはや皮肉ではなく、字が下手だと直接言ってしまうことになるので、その後にトラブルなどにならないように注意してください。
「麗筆」【れいひつ】
この言葉になると、「うまい」という意味が大いに含まれる為、皮肉が混じっていません。
ですが、「崩しながら書いている字」という意味は表現できるので、その解釈だけで構わない場合には「達筆」と似た使い方ができます。
これに対して、「能筆」(のうひつ)と言えば、「確かなしっかりとした字を書く」ことになり、こちらは「楷書」に近い意味だと考えていいでしょう。
達筆は、使い方の難しい言葉です。
その意図はなくとも、下手にこう表現すると、皮肉が入っていると思われてしまうことが多いからです。
年配の人に対し、本当にそう思って使う場合以外には、あまり用いない方がいい表現かも知れません。