「嘯く」とは?意味・読み方・英語【使い方や例文】
この嘯くは、意味を間違えて使われることも多い言葉です。
その理由や、正しい意味、使い方を見ていきましょう。
目次
- 「嘯く」の意味とは?
- 「嘯く」の語源や由来
- 「嘯く」の言葉の使い方
- 「嘯く」を使った例文と解釈
- 「嘯く」を英語にすると?
- 「嘯く」の類義語や置き換えられる表現
「嘯く」の意味とは?
嘯くとは、「大袈裟に表現する」、または「知らない振りをする」と解釈します。
「虚勢を張っている」という意味で使うこともあります。
つまり、この嘯く様子は、ろくな態度ではないということが分かります。
その為、できれば使わないに越したことはない言葉ですが、そういった様子や態度を表現するにはピッタリの言葉だとも言うことができます。
- 「嘯く」の読み方
「嘯く」の読み方
嘯くは、「うそぶく」と発音します。
難しい漢字なので、見たことがないと正しく読める人は少ないでしょう。
表記するのも難しい漢字ですが、スマホなどの漢字変換では「うそぶく」と入力すれば問題なく出てきます。
「嘯く」の語源や由来
嘯くの元々の意味は、「口笛を吹く」ことです。
特に鳥を集める為の口笛は、仲間の鳴き声だと錯覚させてそれを行う為のものなので、ここから転じて、この嘯くという言葉が「騙す」ことという意味でも使われるようになりました。
そこから更に解釈が広がり、現在では先に挙げたような色々な意味で使われています。
尚、この言葉自体はかなり古くから存在しており、7世紀後半〜8世紀前半に掛けて編まれた「万葉集」の中でも言われています。
(実際に、この言葉を使った歌があります)。
しかし、現在の意味で使われているのが確認できる最古の文献は、「更級日記」(11世紀後半)の中にある「とみに舟も寄せず、うそぶいて見まはし」という一節だという説が有力です。
- 「嘯く」に多い誤用
「嘯く」に多い誤用
嘯くという言葉は、その発音から、「嘘をつく」と解釈される間違いが多いです。
確かに上の語源の解釈や、「大袈裟に表現する」、「虚勢を張っている」という意味で使う言葉なので、大きく間違ってはいませんが、明らかな嘘という意味とは違うので、誤用だと言っていいでしょう。
もう1つ、「うそぶく」と表記する際に、「嘘ぶく(嘘吹く)」と書いてしまうのも誤りなので注意してください。
変換で間違って出てきてしまうことがありますが、そのような言葉はありません。
「嘯く」の言葉の使い方
嘯くは、そのような態度をとる人に対して使う言葉です。
その様子を揶揄して本人に対して使うこともあり、明らかに悪い意味の言葉ながら、使う際にそこまで慎重になる必要はないと言えるかも知れません。
「嘯く」を使った例文と解釈
嘯くという表現を実際に使った例文です。
相手に直接対して使う場合と、噂話、陰として使う場合をいくつか挙げていきます。
どれも似たような意味ながら、いくつかの意味で使えることから、それなりに使えるシチュエーションの多い言葉だと言えそうです。
- 例文1
- 例文2
- 例文3
例文1
「お前はすぐにそう誤魔化そうと嘯くする悪い癖がある」
直接そのような相手に対して使っています。
その人とある程度の仲であれば、「お前はいつもそうだ」という具合に使える言葉だという例です。
このケースでは、「知らない振りをする」として使っており、「誤魔化す」が付いているところからそれが分かります。
例文2
「あいつはできる訳がないことを嘯いてばかりだ」
いつも大袈裟なことばかり言っている人を揶揄する為に使っている例です。
この場合、そのまま大袈裟だという意味で使っています。
そして、多少「虚勢を張る」という意味も含まれていると考えていいでしょう。
嘯くは、このように「嘯いて」、「嘯いた」といった形で使うことも多いです。
否定形にする場合には「嘯くな」となり、「大袈裟なことは言うな」、「知らない振りをするな」、「無理に威張るな」という意味で使えます。
例文3
「あの人は人前に出るといつも嘯いた様子で、見ていて気分が悪い」
この例文は、「虚勢を張る」という意味合いが強い使い方になります。
嘯くと言うだけで、「ろくな態度ではない」というニュアンスが大いにある言葉だということが、これらの例から分かるでしょう。
「嘯く」を英語にすると?
嘯くは、英語では“exaggerate”という表現が一番に挙がります。
この言葉の意味は「大袈裟に表現する」で、嘯くの意味の1つにちょうど当てはまります。
また、“pretend ignorance”が英語での「知らない振りをする」という英熟語で、こちらも意味の1つになり、どのような意味で使うのかによって、置き換えるべき英語表現が変わります。
「虚勢を張る」と使いたい時には、“act tough”(無理に大丈夫な様子に見せる)がいいでしょう。
「嘯く」の類義語や置き換えられる表現
「嘯く」を違う言葉で表現する場合、この言葉の解釈の1つに相当するものと、どのような意味で使うかによって置き換えることになります。
英語に置き換える場合も同様でしたが、「嘯く」の全ての意味に相当する表現は見当たりません。
- 「大言壮語」【たいげんそうご】
- 「頬被り」【ほっかぶり】
- 「空威張り」【からいばり】
「大言壮語」【たいげんそうご】
「(自分ができる範囲以上に)大きなことを言う」という意味で使う言葉です。
「彼はいつも大袈裟に嘯く」をこの言葉で言い換えると、「彼はいつも大言壮語だ」となります。
「頬被り」【ほっかぶり】
この「頬被り」とは、「泥やほこり避けに、頭から頬に掛けて手拭いを巻く姿」ですが、その姿では両耳が手拭いで覆われることから、スラングとして「知らない振りをする」という意味で使われることがあります。
あまり使われる表現ではありませんが、覚えておいて損はないでしょう。
「空威張り」【からいばり】
「無理に虚勢を張る」という意味で使います。
嘯くの1つの意味と置き換えることができる言葉で、「嘯く」で「虚勢を張る」と表現するより、その意味が強いと考えていいでしょう。
「嘯く」のそれぞれの意味に当たるこれらの言葉と置き換えると、この「空威張り」のように、どれもその意味を強調できます。
逆に、「嘯く」で各意味を表現すると、多少薄めた(弱い)意味になると考えることができます。
そこまで強く言うほどでもないというケースにはちょうどいい言葉だと言えるかも知れません。
すぐに(各意味で)嘯く態度をとる人には困ったものですが、それが嘯いていると分かっているからこそ使う言葉なので、そのケースごとに応じて、冷静な対応を心掛けてください。
決して一緒になって嘯くようなことはしてはいけません。