「雁字搦め」の意味・類語【使い方や例文】
普段からよく使っている言葉でも、ひらがなで書かれているのを目にする機会が多い言葉の場合、漢字で書いてあると読むことができなかったり、こんな漢字を使うのか、と意外に思う言葉があります。
この「雁字搦め」という言葉も、そういった言葉の1つではないでしょうか。
ここでは、そんな「雁字搦め」という言葉の意味や由来、使い方、英語での表現、類語について、詳しく解説していきます。
目次
- 「雁字搦め」の意味とは?
- 「雁字搦め」の語源や由来
- 「雁字搦め」の言葉の使い方
- 「雁字搦め」を使った例文・短文(解釈)
- 「雁字搦め」の英語と解釈
- 「雁字搦め」の類語や類義表現の言い換え
「雁字搦め」の意味とは?
「雁字搦め」とは、縄・ひもなどを使って厳重に縛ること、縄・ひもなどを何重にも巻き付けて縛ることという意味と、規制や制限などが多く、自由に身動きができないこと、という意味を持つ言葉です。
厳重に縛られて物理的に身動きができない状態を表すだけでなく、精神的に窮屈に感じて、自由がないと感じる状態を表す時にも使われます。
現在は、なにかと制限が多いと感じたり、自分は自由ではないと感じることが多い社会と言われていますので、そういった精神的に窮屈な状態を表す時に使われることの方が多いのではないでしょうか。
- 「雁字搦め」の読み方
「雁字搦め」の読み方
「雁字搦め」は、「かんじがらめ」と読みます。
この言葉はよく耳にする言葉ですので、ひらがなで表記されれば簡単な言葉ですが、漢字で表記されると、途端に難しい言葉のように感じる人が多い言葉の1つとして知られています。
「雁字搦め」の語源や由来
「雁字搦め」の「雁字」には、渡り鳥の雁が、整然と一列に並んで飛ぶ様子を文字に見立てていう言葉という意味があります。
列を崩さずに整然と編隊を組んでいる結束の強いイメージが、厳重に縛る、身動きが取れないようにしっかり縛り上げる、といった表現と結びついたのでしょう。
「雁字搦め」の言葉の使い方
「雁字搦め」という言葉は、プロレス技を連想するような言葉ですが、紐や縄で何かを厳重に縛り上げる時に使われる言葉で、「手元にあったロープで泥棒を雁字搦めにした」というように使います。
又、「ルールで雁字搦めになっている」など、規則が厳しく自由に行動することができない様子を例える言葉としてもよく使われています。
「雁字搦め」を使った例文・短文(解釈)
「雁字搦め」の意味や由来、使い方が分かったところで、この項では、この言葉を使った例文を紹介していきます。
- 例文1
- 例文2
- 例文3
例文1
「スリが走り去るのを目撃した私は、犯人を追いかけて捕まえました。
そして、近くに置いてあったロープで犯人を雁字搦めにし、警察の到着を待ちました」
この文章は、スリを追いかけて捕まえ、犯人が身動きできないようにロープで厳重に縛って、警察が来るのを待ちました。
という意味になります。
例文2
「友人は、‘これからはストイックな生活をする’のだと宣言して、自分に様々なルールを課すことにしました。
しかし、規則で雁字搦めになった生活は性に合わなかったようで、1週間足らずでギブアップしてしまいました」
この文章は、ストイックな生活をするために様々なルールを決めて生活することにした友人でしたが、規則に縛られながら生活をすることが性格に合わず、1週間足らずでギブアップしてしまいました」
という意味になります。
例文3
「世間のしがらみで雁字搦めになっている自分に嫌気がさしています。
これからは、人里離れた山奥で、ひっそりと仙人のような暮らしがしたいと思っています」
この文章は、世間のしがらみに縛られて窮屈な思いをしながら生活していることに嫌気がさしたので、これからは人との接点の少ない山奥で、ひっそりと暮らしたいと思っています。
という意味になります。
「雁字搦め」の英語と解釈
「雁字搦め」という言葉を英語に訳す場合は、「bound hand and foot」という表現を使うことができます。
直訳すると「縛られた手足」となり、厳重に縛られて身動きが取れないという様子を表すことができます。
「雁字搦め」の類語や類義表現の言い換え
ここまでの項で解説してきた「雁字搦め」という言葉を、他の言葉に言い換えるとしたら、「身動きが取れない」、「身じろぎも出来ない」、「微動だにできない」といった表現が当てはまるでしょう。
ここでは、それら類語について、詳しく説明していきます。
- 「身動きが取れない」
- 「身じろぎも出来ない」
- 「微動だにできない」
「身動きが取れない」
「身動きが取れない」は、体を自由に動かすことができないという意味になります。「ラッシュ時の電車に乗ると、物凄い混雑で身動きが取れなくなります」、「高所が苦手な私は、吊り橋の前に立っただけで恐ろしくて身動きが取れなくなります」、「部屋の大掃除をしていた時のこと、棚の中のものを無計画に外に出してしまったため、部屋が物で溢れて身動きが取れなくなりました」といった使い方をします。
「身じろぎも出来ない」
「身じろぎ」には、体をちょっと動かすという意味があり、「身じろぎも出来ない」とは、体をちょっとだけ動かすことすらできない、といった意味になります。
「身じろぎも出来ない状況に追い込まれてしまいました」、「帰宅したところで泥棒と鉢合わせてしまった時には、恐怖のあまり身じろぎもできませんでした」、「偉い人と話をすることに慣れていない私は、社長の肩書を持っている人というだけで緊張して、身じろぎも出来なくなってしまうのです」
という使い方をします。
「微動だにできない」
「微動だにできない」は、僅かに動くことすらできない、ピクリとも動けない、という意味になります。
「ハシビロコウという大型の鳥は、微動だにしないことで有名になり、今では動物園の人気者となっています」、「平均台に上ってみたものの、一歩でも動いたら落下してしまいそうで、微動だにできなくなってしまいました」、「軽い気持ちで絵画のモデルを引き受けたものの、微動だにできない状態がこれほど続くとは予想もしていませんでした」のように使われます。
「雁字搦め」という言葉について解説してきましたがいかがだったでしょうか。
自由に身動きができないという意味を持つこの言葉を見て、自分は様々な事で雁字搦めになっているのかもしれないと、改めて感じた人も多いのではないでしょうか。