「木偶の坊」の意味とは?英語、使い方や例文を紹介!
木偶の坊は読み方が難しい言葉です。
発音で覚えていたとしても、漢字で表記するのは難しいことも多いです。
目次
- 「木偶の坊」の意味とは?
- 「木偶の坊」の語源や由来
- 「木偶の坊」の使い方
- 「木偶の坊」を使った例文と解釈
- 「木偶の坊」を英語にすると?
- 「木偶の坊」の類義語や置き換えられる表現
- 「木偶の坊」の対義語
「木偶の坊」の意味とは?
木偶の坊とは、「何も役にも立たない邪魔者」、または「人に操られているだけの存在」を差す言葉です。
後者は後述する語源の通りで、そこから転じて、前者の意味としても使われるようになったと考えてください。
かなりの侮蔑表現になるので、そのような人が居たとしても、直接その相手に使うのは考えた方がいいでしょう。
また、陰口として使う場合も、本人には伝わらないように、その相手を選ばないといけないかも知れません。
- 「木偶の坊」の読み方
「木偶の坊」の読み方
「木偶の坊」は「でくのぼう」と発音します。
「木偶」を「でく」とは知らないとまず読めないことから、そうだと覚えてしまうしかありません。
「木偶」は単独でも使える言葉で、西日本では「でこ」と読むこともありますが、この「木偶の坊」という言葉では、「でく」と呼んでください。
これは、全国共通の表現となっています。
「木偶の坊」の語源や由来
「木偶の坊」の語源は、「木偶」と「坊」の2つの言葉に分けて考えます。
まず、最初の「木偶」とは「組木細工の操り人形」のことで、日本での発祥は淡路島だと言われています。
享保(1716年〜)時代から始まった人形浄瑠璃に使用されていた人形で、思った通りに操れることから、「木偶の坊」の1つの意味である「人に操られている」ことを意味しています。
次の「坊」は「坊主」の意味で、僧侶の隠語としての坊主ではなく、(自分より年少者、及び技量の劣る者に対して)小馬鹿にして使う意味での坊主です。
「全く成果が得られなかった」ことを表現するのに、俗にこの「坊主」と使う場合もあります。
この2つの言葉が合わさって、「木偶の坊」という言葉になり、「何の役にも立たない」という意味でも使われるようになりました。
「木偶の坊」の使い方
木偶の坊は、どちらの意味で使う場合も、その対象にとっては蔑称で表現されたことになります。
その為、決して直接は使わないことをおすすめします。
(かなりの力関係の違いがあり、相手もそう呼ばれても仕方がないと考えているケースを除きます)
人に対する侮蔑表現は他にも色々ありますが、その中でもかなりの(相手を悪く表現する)部類の言葉なので、使う際にはくれぐれも注意が必要です。
「木偶の坊」を使った例文と解釈
「木偶の坊」は例外を除き、かなり悪い意味で使われる言葉なのです。
その為、例文もそのようなものばかりになってしまいますが、あまりない形ながら、例外として使っている例(こちらでも悪い意味には違いありませんが)も一緒に挙げてみます。
- 「あいつは本当にダメな奴だ。正に木偶の坊としか表現のしようがない」
- 「あの人には何を言っても無駄だよ。所詮部長の木偶の坊だから」
- 「そんなことでは木偶の坊だと言われても仕方がないぞ」
「あいつは本当にダメな奴だ。正に木偶の坊としか表現のしようがない」
このような陰口で使うことが多い言葉です。
この場合、「役に立たない邪魔者」という意味で使っています。
もしそうだとしても、本人に直接そのように使うとトラブルになってしまう可能性が高いので、やめておいた方が無難です。
「あの人には何を言っても無駄だよ。所詮部長の木偶の坊だから」
「誰かの操り人形」という意味で使っている例文になります。
「木偶の坊」の主な使い方としては、上の例と合わせてこの2通りです。
この場合もまた、本人に直接使うものではありません。
「そんなことでは木偶の坊だと言われても仕方がないぞ」
本人に対して直接使える例外で、まだ全く役に立たないとまでは言わないが、もう少ししっかりしろと叱責している例です。
これもあまりよい表現ではありませんが、まだそこまで悪く言う気はないという意味で、例外的な使い方だと言うことができます。
また、この例文は、そんなことでは操り人形と一緒だという意味にとることもできます。
どちらの意味で使う場合も、かなり強い叱咤表現になると考えてください。
「木偶の坊」を英語にすると?
英語で「木偶の坊」を表現するには、“good for nothing”が適当です。
この英熟語は「何の役にも立たない」という意味で、「木偶の坊」の1つの意味そのままです。
「操り人形」という意味で使いたい場合には、“puppet”(パペット)がいいでしょう。
このパペットは日本語でもその意味で直接使うことがある言葉です。
「木偶の坊」の類義語や置き換えられる表現
「木偶の方」を他の言葉で表現には、まずどちらの意味なのかが大切です。
ここでは両方の意味の置き換え例を挙げていきます。
- 「独活の大木」【うどのたいぼく】
- 「傀儡」【かいらい、くぐつ】
「独活の大木」【うどのたいぼく】
「木偶の坊」を「図体だけ大きいのに何の役に立たない」という意味で使っていることがありますが、それは、この「独活の大木」(うどのたいぼく)と混同しています。
「独活の大木」とは、上の意味の通りで、大きいだけで役に立たない人に対して使う言葉です。
「木偶の坊」とは少々解釈が異なるので、完全な置き換え表現にはなりませんが、類義語だと考えていいでしょう。
「傀儡」【かいらい、くぐつ】
「操り人形」という意味の言葉です。
どちらの読みで発音しても構いません。
操り人形を使って芸を行う人のことを、この言葉を使って「傀儡師」(くぐつし、かいらいし)と呼ぶことがあります。
「木偶の坊」の対義語
「木偶の坊」とは意味が逆の言葉をいくつか紹介します。
完全な対義語表現ではありませんが、「役に立たない」、「(言われたことしかできない)操り人形」というそれぞれの意味とは逆に使うことができます。
- 「切れ者」【きれもの】
- 「凄腕」【すごうで】、または「敏腕」【びんわん】
「切れ者」【きれもの】
頭が切れる(頭脳明晰な)人のことを表す言葉です。
「木偶の坊」の「役に立たない」とは全く逆のとても有能な人物に対して使います。
「凄腕」【すごうで】、または「敏腕」【びんわん】
これらはほぼ同様に使える言葉で、「かなりの手腕を発揮する人物」という意味で使います。
「木偶の坊」の「操り人形」という解釈の反対の意味にもなるので、「切れ者」より対義語には向いていると言えるでしょう。
木偶の坊という言葉は、完全な侮蔑表現なので、簡単に使うべきではありません。
そこまでだと言わなくてはいけない人が居たとしても、直接その本人に使うのはやめておきましょう。