「狸寝入り」の意味・読み方・英語【使い方や例文】
狸寝入りという言葉は、誰でも一度は聞いたことがあると思います。
意味や使い方も簡単なので、ここで詳しく覚えてしまいましょう。
目次
- 「狸寝入り」の意味とは?
- 「狸寝入り」の語源や由来
- 「狸寝入り」の使い方
- 「狸寝入り」を使った例文と解釈
- 「狸寝入り」をする心理
- 「狸寝入り」の類義語や置き換えられる表現
- 「狸寝入り」を英語にすると?
「狸寝入り」の意味とは?
狸寝入りとは、「寝たふりをする」ことです。
本当に寝ている訳ではないのに、何らかの意図があって、そのような行為を行っている状態を表します。
明らかに寝たふりをした方がいいシチュエーションや、そうせざるを得ないような時に意識的に行うもので、「うっかり寝てしまった」などという場合には使いません。
本当は寝ていないことが条件になります。
- 「狸寝入り」の読み方
「狸寝入り」の読み方
「狸寝入り」は、「たぬきねいり」を読みます。
「狸」(たぬき)の漢字が多少難しい程度で、後は問題ないでしょう。
「狸」の字がうまく掛けないような場合には、「たぬき寝入り」と表記しても構いません。
「狸」さえ普通に読めれば間違いようがありませんが、強いて言えば、「たぬきねはいり」と読まないように気を付けてください。
「狸寝入り」の語源や由来
狸寝入りという言葉の語源には、昔から「狸は人を騙す」と言われていることが大きく影響しています。
そのような狸が眠っている姿を、「本当は寝ておらず、人を騙す為に演技をしているのではないか」と考える人が多かったことから、この言葉が生まれたと言われています。
「狸のように寝ているふりをしている」という意味から、この「狸寝入り」がそのように使われるようになりました。
「狸寝入り」の使い方
狸寝入りは、自分がそれをしている(していた)時や、いかにもそれだと思った人を指して使う言葉です。
これを行うのは、それによって何かしらのメリットがあったり、そうしないといけない時だと考えていいでしょう。
何も難しいことではなく、ただ寝たふりをするだけなので、よほど演技が下手な人でなければ誰でもすぐに行えます。
「狸寝入り」を使った例文と解釈
狸寝入りを使った例文は、豊富に作ることができます。
自分がそれをしていたという例や、人がそれだろうと思った例などいくらでも挙げることが可能ですが、なるべく似たようなものは避け、よくこの言葉が使われる形でいくつか挙げていきます。
- 「消灯時間の見回りがきたら、狸寝入りをしてやり過ごそう」
- 「電車で座っていたら目の前にお年寄りが来たので、思わず狸寝入りをしてしまった」
- 「見てはいけないものを見てしまったで、狸寝入りで自分は気付かなかったことにしておいた」
「消灯時間の見回りがきたら、狸寝入りをしてやり過ごそう」
修学旅行などで、消灯時間にきちんと寝ているかどうかの見回りが来た時に、寝たふりで誤魔化そうという例文です。
このような時こそ、狸寝入りが役に立つと言えるでしょう。
この他にも寝たふりをしていた方がいいというシチュエーションは意外と多く、例えば起きていると何かをやらされるといった時などがそうです。
(それを寝たふりで誤魔化してしまうのもどうかと思いますが、あくまで例文としてです)
「電車で座っていたら目の前にお年寄りが来たので、思わず狸寝入りをしてしまった」
折角座った席を譲りたくないのも分かりますが、これはあまりよくない行為です。
確かに、寝ている人にまで席を譲れと言う人は居ないので、狸寝入りが効果的な場面だと言えなくもありませんが、できればお年寄りにはすすんで席を譲ってください。
「見てはいけないものを見てしまったで、狸寝入りで自分は気付かなかったことにしておいた」
自分の身の為に狸寝入りをしなければいけなかったという例文です。
それが何だったのかは特に挙げませんが、世の中には見ていなかったことにした方が、自分の安全が確保できる何かもあるということです。
狸寝入りという行為自体、あまり褒められたものではありませんが、この手のケースのみ、むしろすすんで行うべきだと言えるでしょう。
「狸寝入り」をする心理
狸寝入りは、ここまでに説明してきたように、自ら意図して行うものです。
それによって自分が何かの得をしたり、寝たふりをしないといけないという場面も時にはあるものです。
寝たふりという行為は、普通に考えるといいことだとは思えませんが、何かしらの必要があるからこそ行っていると解釈してください。
「狸寝入り」の類義語や置き換えられる表現
狸寝入りと似た意味の言葉や、これと置き換えられる表現を見ていきましょう。
あまり多くはありませんが、どれも同じく「寝たふり」を表すものです。
- 「空寝」【そらね】
- 「嘘寝」【うそね】
「空寝」【そらね】
「本当は寝ていないのに、寝ているふりをすること」で、狸寝入りと全く同じ意味になります。
「あれは実は空寝だった」などと狸寝入りと置き換える形で使うことができます。
口語、文章とも、こちらの方が多く使われるかも知れません。
注意点として、発音だけで「そらね」と言うと、「空音」という言葉もあるのでこれには気を付けてください。
こちらの意味は「聞こえていないのに、聞こえるような気がする」という耳の錯覚のことです。
「嘘寝」【うそね】
漢字を見たまま、「寝ていると嘘振りをしていること」を表します。
こちらはあまり使われることはなく、上の「空寝」の方が一般的です。
ただし、子供に対して使う場合には、こちらの方が意味が分かりやすい為、遭えてすすんで使うことがあります。
「狸寝入り」を英語にすると?
狸寝入りは、英語では“fox sleep”となります。
“fox”はご存知のように「狐」(きつね)を表す英単語で、「寝たふり」は英語圏では「狸寝入り」ならぬ、「狐寝入り」と表現するのです。
英語では何故「狸」ではなく「狐」なのかと言えば、日本でも「騙された」ことを表すのに「狐につままれた」という言い方があるように、西洋では狐は人を騙すと考えられています。
そして、狸は日本以外ではあまり見掛けない動物だということもあり、「狐」の方が使われているのです。
よって、発想的には同じという訳です。
尚、“sham sleep”という表現もあり、“sham”が「〜のふりをする」という意味なので、そのまま「寝たふり」になります。
「狸寝入り」の意味と一緒と言えば一緒ですが、比喩表現の“fox sleep”の方がネイティブ感があるのは間違いなく、実際に使う場合にもその方がいいでしょう。
狸寝入りは、それが必要だと感じた時に自主的に行う行為です。
しかし、それによって反って状況が悪くなることもままある為、行う際には本当に行っても大丈夫かという判断が求められると言えるでしょう。