「股肱の臣」の意味・類語【使い方や例文】
「股肱の臣」という言葉は、普段あまり目にすることのない言葉の1つではないでしょうか。
「股肱」の意味が分からないと、「股肱の臣」がプラスの意味の言葉なのか、マイナスの意味の言葉なのか推測することすらできません。
ここではそんな「股肱の臣」について、詳しく解説していきます。
目次
- 「股肱の臣」の意味とは?
- 「股肱の臣」を分解して解釈
- 「股肱の臣」の言い換え
- 「股肱の臣」を使った例文・短文(解釈)
- 「股肱の臣」の英語と解釈
- 「股肱の臣」の類語や類義語
「股肱の臣」の意味とは?
「股肱の臣」とは、最も信頼できる家臣、自分の手足となって働く家来、一番頼りになるもの、なくてはならないもの、といった意味を持つ言葉です。
主君の体の一部であるかのように働いてくれる、忠実で、頼りになる部下のことをいいます。
このように、「股肱の臣」とは、主君にとって欠かすことのできない、とても大切な存在ということになります。
現在では、会社の上司に忠実で最も信頼できる大切な部下、といったところでしょう。
「股肱之臣」という言葉もありますが、意味は、「股肱の臣」と同じです。
- 「股肱の臣」の読み方
「股肱の臣」の読み方
「股肱の臣」は、「ここうのしん」と読み、「股肱之臣」も、読み方は同じです。
「臣」は「じん」と読まれることも多く、「ここうのじん」と間違えやすいので注意しましょう。
「股肱の臣」を分解して解釈
「股肱の臣」の意味と読み方が分かったところで、ここでは、この言葉を「股肱」と「臣」の2つに分解し、更に深く掘り下げて解説していきます。
- 「股肱」
- 「臣」
「股肱」
「股肱」の「股」は、足のももを意味し、「肱」は、肘を意味しています。
「股肱」は「足のももと肘」を表していますので、「手足」という意味で使われています。
どちらも人が活動するうえで重要な部分ですので、欠かせないもの、なくてはならないもの、大切なもののことを指すようになりました。
「臣」
「臣」には、主君に使える人や、家来、人民という意味があります。
知恵の優れた家臣のことは「智臣」、王様の家来のことは「王臣」、謀反を企てる家来のことは「逆臣」などと使われます。
「股肱の臣」の言い換え
最も信頼できる大切な家臣という意味を持つ「股肱の臣」は、「腹心」や「右腕」、「女房役」、「参謀」、「側近」、「懐刀」という言葉で言いかえることが出来るでしょう。
「彼は私の股肱の臣です」という文章は、「彼は私の腹心です」や、「彼は私の右腕です」、「彼は私の女房役です」といったように表現できます。
「股肱の臣」を使った例文・短文(解釈)
「股肱の臣」という言葉の意味や言い換えについて解説をしてきましたが、この項では、この言葉を使った例文を紹介していきます。
- 例文1
- 例文2
- 例文3
例文1
「彼は頭脳明晰で人当たりも良く、長い間、社長の股肱の臣として職務を果たしてきました。
彼の功績がなかったら、この会社はここまで大きくはならなかったでしょう」
この文章は、頭脳明晰で人当たりも良い彼が、長い間、社長の元で忠実に職務を果たしてきたお陰で、この会社が大きくなったのです。
ということを表しています。
例文2
「部長の股肱の臣だった彼が他社に引き抜かれてしまいました。
部長は彼に厚い信頼を寄せていて、良い関係だったように見えていたので、このようなことになるなど、誰も予想できませんでした」
この文章は、部長の手足のように忠実に働いていた彼が、他社に引き抜かれてしまいました。
お互いに良い関係で仕事をしていたように見えていたので、彼が転職をするなど、誰も予想していませんでした。
ということを表しています。
例文3
「この店舗の売り上げに最も貢献してきた彼女が、家庭の事情で退職することになってしまい、股肱の臣を失うことになった店長は落胆しています」
この文章は、店の売り上げに最も貢献してきた彼女の退職によって、これまで一番頼りにしていたスタッフを失うことになった店長が落胆しています。
ということを表しています。
「股肱の臣」の英語と解釈
「股肱の臣」を英訳する時には、「右腕となる人」という意味の「a right hand man」という表現が使われます。
又、忠実な部下や、子分という意味を持つ「trusty follower」を使うこともできます。
「股肱の臣」の類語や類義語
「股肱の臣」について様々な角度から解説をしてきましたが、「股肱の臣」と同じような意味を持つ言葉は、他にもあります。
「腹心の臣」、「股肱右翼」、「股掌の臣」が、その代表といえるでしょう。
ここでは、そのような類語を詳しく紹介します。
- 「腹心の臣」
- 「股肱羽翼」
- 「股掌の臣」
「腹心の臣」
「腹心の臣」は、「ふくしんのしん」と読みます。
「腹心」とは、自分の腹や心を指していて、それが転じて並々ならぬ信頼を寄せること、心から信用すること、という意味で使われています。
「腹心の臣」とは、並々ならぬ信頼を寄せる家臣、部下という意味になり、「腹心之臣」と書かれることもあります。
「私の上司は、彼を腹心の臣として大切にしています」
のように使うことができます。
「股肱羽翼」
「股肱羽翼」は、「ここううよく」と読みます。
「股肱」は手足を表し、「羽翼」は鳥の羽と翼を表しています。
「股肱羽翼」は、主君の補佐をする一番信頼できる人、という意味で使われている言葉です。
「どんなに優秀な人でも、一人では偉業を成し遂げることはできないでしょう。
股肱羽翼なしで大きな目標を達成することは、極めて難しいことなのです」
のように使われます。
「股掌の臣」
「股掌の臣」は、「こしょうのしん」と読みます。
「股」は足のもも、「掌」はてのひらを表していて、どちらも人が活動するためになくてはならないものであることから、「股掌の臣」という言葉は、主君の手足となって働く人、忠実な部下、といった意味で使われています。
「彼女は細かな気配りができる優秀な人ですので、いずれは社長の股掌の臣として、我が社には欠かせない存在となることでしょう」
のように使うことができます。
「股肱の臣」という言葉について、その意味や英語での表現方法、類義語などを詳しく解説してきました。
この言葉は、普段はあまり目にしない難しい言葉ですが、「股肱の臣となれるよう精進する所存です」
のように、スピーチなどで使うことができますので、憶えておくと役に立つ場面があるでしょう。