「阿漕(あこぎ)」とは?意味・読み方・類語・英語【使い方や例文】
「阿漕」とは、「義理人情に欠けていて悪どいこと・金銭に強欲なこと」や「しつこくて図々しいこと」などを示す言葉です。
「阿漕」の「意味・読み方・語源と由来・使い方・例文と解釈・英語・類語や類義語」などについて、詳しく説明していきます。
目次
- 「阿漕」の意味とは?
- 「阿漕(あこぎ)」の語源や由来
- 「阿漕(あこぎ)」の使い方
- 「阿漕(あこぎ)」を使った例文・短文(解釈)
- 「阿漕(あこぎ)」の英語
- 「阿漕(あこぎ)」の類語や類義の言い回し
「阿漕」の意味とは?
「阿漕」の意味は、「義理人情・共感に欠けていて悪どいこと」や「情け容赦なく金銭を貪ろうとすること・金のためなら何でもすること」、「しつこくて図々しいこと」、「何度も繰り返すこと」などになります。
「阿漕」という言葉は、一般的に「金品に対する欲望が強くて、義理人情・思いやりに欠けていること」や「お金のためなら何でもして(相手が不幸になるのも構わず)、無慈悲に金品を貪ろうとすること」を意味しています。
「阿漕」の言葉には、「諦めが悪くてしつこいこと+厚かましくて図々しいこと」の意味もあります。
更に、古語の歌枕で使われる「阿漕」には「度重なること(たびかさなること)・繰り返されること」の意味もあります。
- 「阿漕」の読み方
「阿漕」の読み方
「阿漕」の読み方は、「あこぎ」になります。
「阿漕(あこぎ)」の語源や由来
「阿漕」の語源・由来は、近世以前に殺生禁止の禁漁地だった三重県の「阿漕ヶ浦(あこぎがうら)」に語源があります。
三重県津市東部一帯の海岸である「阿漕ヶ浦」は、伊勢神宮に備える魚を捕獲する専用の漁場であったため、殺生禁断の禁漁地とされてきましたが、その神聖な漁場で、ある強欲な漁師が何度も繰り返し密猟をして捕まえられたという逸話(エピソード)が「阿漕」の由来になっています。
「阿漕」は古代から「歌枕」としても使用されている言葉で、「新千載和歌集」の恋の歌にも、「いかにせん あこぎのうらみても 度かさなれば 変はる契りを」という和歌が収載されています。
「阿漕(あこぎ)」の使い方
「阿漕」の使い方は、「相手の損害・不幸を全く考えずに悪どくて強欲な振る舞い(商売)をしている時」に使われることが多くなります。
「阿漕」の言葉を用いた慣用句として、「阿漕な商売・阿漕なやり方」などがありますが、これらの慣用句は「相手を騙して不幸にしても知ったことではないという悪どくて強欲な商売・方法」のことを意味しているのです。
「阿漕」という言葉は、「悪どくて強欲なやり方・商売・人物」だけではなく「厚かましくて図々しい態度や言動を示す人物」に対しても使うことができます。
例えば、「阿漕で横着な人物に付きまとわれて迷惑をしている」といった「阿漕」の使い方をすることができるのです。
「阿漕(あこぎ)」を使った例文・短文(解釈)
「阿漕」を使った例文・短文を紹介して、その意味を解釈していきます。
- 例文1
- 例文2
- 例文3
例文1
知識のないお客さんを騙すような阿漕な商売をしていたあの会社は、まもなく悪評が広まって倒産することになりました。
この例文の「阿漕」は、「お客さんとの情報格差を悪用して利益を貪る悪どい商売」のことを意味しています。
こういったお客さんの利益・喜びを無視した悪どい商売は、短期的に儲かってもいずれは倒産することが多いのです。
例文2
振込詐欺とも呼ばれていた特殊詐欺は、子供や孫の人生を心配するお年寄りの優しさ・不安感に漬け込んだ阿漕で卑劣な犯罪であると思います。
この例文の「阿漕」は、「相手がどんなに不幸になっても知ったことではないという強欲で悪どい詐欺犯罪」のことを意味しています。
阿漕な特殊詐欺の犯人というのは、汚いやり方で際限なく金品を巻き上げようとする強欲な人物なのです。
例文3
人の気持ちに全く配慮することができない阿漕な人に、人間関係の問題の改善についていくら期待しても無駄なことが多いのです。
この例文の「阿漕」は、「人の気持ちを察することがない厚かましさ・横着さ・自己中心的な性格」のことを意味しています。
こういった人に他者に対する思いやりを期待しても、概ね無駄なことが多いのです。
「阿漕(あこぎ)」の英語
「阿漕」の英語とその意味の解釈は、以下のようになります。
“greedy、insatiable”(強欲な、欲張りなから阿漕を意味します。)
“A greedy business isn't lasting. ”(阿漕な商売は長続きしない。)
“harsh、ruthless”(無情な、思いやりがないから阿漕を意味します。)
“Don't be so insatiable(cruel)!”(そんな阿漕なことをするな。そんな残酷なことはするな。)
「阿漕(あこぎ)」の類語や類義の言い回し
「阿漕」の類語や類義の言い回しには、どのようなものがあるのでしょうか?「阿漕」の類語・類義の言い回しについて、分かりやすく解説していきます。
- 「無慈悲・非情」
- 「強欲・商道徳に悖る(もとる)」
- 「意地悪・厚かましい」
- 「食い物にする・悪どい(えげつない)」
「無慈悲・非情」
「阿漕」の類語・類義の言い回しとして、「無慈悲・非情」があります。
「無慈悲」とは、「他者を慈しんだり哀れんだりする人としての心が無いこと」を意味します。
「非情」とは、「人間的な情け・共感が無いこと」を意味しています。
「阿漕」というのは「無慈悲に金品を貪るような強欲さ」を意味するので、その類義語として「無慈悲・非情」が上げられます。
「強欲・商道徳に悖る(もとる)」
「阿漕」の類語・類義の言い回しとして、「強欲・商道徳に悖る(もとる)」があります。
「強欲」というのは、「金銭・物質・性愛などの欲望が非常に強いこと」を意味します。
「商道徳に悖る」という言い回しは、「商売をする上で守るべき最低限の善悪の分別もできていないこと」を意味しています。
「阿漕」は義理人情に欠けて悪どいことを意味するので、その類義の言い回しとして「強欲・商道徳に悖る」を指摘できます。
「意地悪・厚かましい」
「阿漕」の類語・類義の言い回しとして、「意地悪・厚かましい」があります。
「意地悪」とは「相手が嫌がることをわざとすること・そういった性格」のことです。
「厚かましい」の意味は、「相手の気持ちを考えずに、自分の都合や要求ばかり押し付けること」です。
「阿漕」の言葉の意味は「相手に配慮せず、しつこくて図々しいこと」なので、その類語として「意地悪・厚かましい」が上げられます。
「食い物にする・悪どい(えげつない)」
「阿漕」の類語・類義の言い回しとして、「食い物にする・悪どい(えげつない)」があります。
「食い物にする」とは「詐欺的な商売において、暴利を貪るために人・組織などを騙すこと」です。
「悪どい・えげつない」というのは、「悪質で欲深い振る舞いをすること」や「悪事・強欲の程度がはなはだしくてひどいこと」を意味しています。
「阿漕」の言葉は「義理人情・共感に欠けていて悪どいこと」を意味するので、類義の言い回しとして「食い物にする・悪どい(えげつない)」を指摘することができます。
「阿漕(あこぎ)」という言葉について徹底的に解説しましたが、阿漕には「義理人情に欠けていて悪どいこと」や「情け容赦なく金銭を貪ろうとすること」「しつこくて図々しいこと」などの意味があります。
阿漕の類語・言い換え・似た言葉としては、「無慈悲・非情」「強欲・商道徳に悖る」「意地悪・厚かましい」「食い物にする・悪どい(えげつない)」などがあります。
「阿漕」という言葉について詳しく調べたい時は、この記事を参考にしてみて下さい。