「牛耳る」の意味・類語・対義語【使い方や例文】
「牛耳る」というとマフィアの勢力の様な言葉です。
すごそうなイメージは伝わるけれども正しい意味は分からないという人も多いでしょう。
「牛耳る」の意味と使い方について紹介しますので、参考にして下さい。
目次
- 「牛耳る」の意味とは?
- 「牛耳る」の語源や由来
- 「牛耳る」の言葉の使い方
- 「牛耳る」を使った例文・短文(解釈)
- 「牛耳る」の英語
- 「牛耳る」の類語
「牛耳る」の意味とは?
- 「牛耳る」の読み方
- 「牛耳る」の意味
「牛耳る」の読み方
「ぎゅうじる」と読みます。
「牛耳る」の意味
「組織や団体などを自分の思いのままに動かして支配すること」を意味します。
地位が高いだけではなく、周囲への影響力が非常に強い人に対して使われます。
その人が大きな力を持っていて、他の人達が抗えない状況です。
ビジネスシーンだけではなくサークルや学校にも使える言葉ですが、大人数であることが前提で家族やカップルなど少人数では使いません。
相手に力があるだけではなく横暴な様子も含まれることから、人に対して使うと失礼に当たるので注意が必要です。
「牛耳る」の語源や由来
昔、中国では春秋戦国時代という全国各地で戦乱が起きている時代がありました。
土地の権力者が兵を立てて争いに加わる時に、参加者同士で誓いを立てました。
その際に牛の耳を切り取り全員で血をすすり合ったのですが、牛の耳を切る役割を権力者がしていたことから「牛の耳を取る(執る)者=権力者」という意味で遣われる様になりました。
そこから転じて、集団を自分の意のままに支配する権力者のことを言う様になったのです。
「牛耳る」の言葉の使い方
- リーダーに対して批判的な時に
- 誰かがずば抜けて強い権力がある時に
- 人に対して期待する時に
リーダーに対して批判的な時に
集団を統率するのには、ある程度強引さも必要です。
大勢の人が全員満足できる様にものごとを決めるのは不可能と言って良いでしょう。
普段からリーダーというのは悪口を言われる存在として覚悟しなければなりなせん。
但し、そこに自分の意思やエゴが見えてしまうと、一生懸命まとめようとしているのに「牛耳る」と言われてしまうこともあるのです。
誰かがずば抜けて強い権力がある時に
組織の中では、少なからず力関係が生まれます。
会社では上司が下の人を支配するのが当然なのですが、同じ年代層の中でも自然に支配する人とそうでない人ができる様になります。
特に女性のグループではボス的存在がいて、自分の思い通りに人を動かそうとするのです。
しかし周囲の人達はそれに不満を感じながらも「自分がやるのは面倒だから誰かが先に立ってくれた方がありがたい」と思うのです。
但し陰では「あの人が部署を牛耳っている」と言います。
人に対して期待する時に
「牛耳る」は確かに良くないイメージですが、時には良い意味に使うこともあります。
自分の知り合いが政治家や業界の有名人になると、自分が偉くなった様な気持ちがして嬉しくなるものです。
一般の人から見て遠い成功者の人が知り合いであることに対して、人に「まさか彼が業界を牛耳る存在になるとは思わなかった」と自慢したくなるでしょう。
「牛耳る」という言葉に期待感と、友人の栄光で自分も大きく見せる意味も含まれています。
「牛耳る」を使った例文・短文(解釈)
- 「牛耳る」の例文1
- 「牛耳る」の例文2
- 「牛耳る」の例文3
「牛耳る」の例文1
「あそこの部署は実際にはお局様が牛耳っている」
一般的に会社の部門は、部長・課長や係長・主任など肩書のある人が部下を管理しています。
しかし大手企業では一つの部門の人数が多く、事務職の女性も多くいます。
その部署に最も長くいる事務職の女性は「お局様」と呼ばれて、パソコンの操作から文房具の発注まで何でもできるのです。
人の仕事についてもよく知っていて、締切日を催促したり、時には手伝ってくれることもあります。
その為に管理職の人達も頭が上がらず、自然に皆に指示を与える様になり「牛耳る」存在になっていくのです。
「牛耳る」の例文2
「街全体がマフィアに牛耳られている」
日本では少ないのですが、海外ではマフィアが街の運営に関わっていることがあります。
警察もマフィアに対しては厳しい取り締まりができない状態です。
マフィアは一般市民にはあまり影響はないのですが、武器や麻薬を売買したり脱税をして資金を増やしています。
法律的に矛盾することが多く、市民の中には強い不満を持つ人もいるでしょう。
マフィアを一掃するとそれなりに困る人達も表れるので、警察との関係には微妙なバランスが必要となります。
「牛耳る」の例文3
「国を牛耳る程の能力がある人物とは思えない」
組織や団体を牛耳るには大きな権力が必要ですが、一国を牛耳るとなるとそれ以上に人を引き付ける能力や行動力も必要になります。
単に今あるべきことをやるのでは政治とは言えず、自分からリーダーシップを取って政治を作り変えていく必要があるのです。
並大抵の努力では国のトップになるにはとても無理があるという評価の低さを表します。
「牛耳る」の英語
「牛耳る」という言葉に対する直接の意味の英語はありません。
「管理する」「支配する」という意味で考えると自然です。
- 「rule」
- 「control」
「rule」
“rule”は日本語で「ルール」と言われる様に、「規則・決め事」を意味します。
この言葉は動詞として「統治する」という意味に使えます。
“He rules the party. ”(彼は党を牛耳る)となります。
「control」
“cotrol”も「コントロール」として使われていて「管理・支配」という意味です。
こちらも動詞として使えて“She controls the class. ”(彼女はクラスを牛耳る)となります。
「牛耳る」の類語
- 「君臨する」【くんりんする】
- 「統治する」【とうちする】
- 「支配する」【しはいする】
「君臨する」【くんりんする】
一国の主として臨むことから、唯一の存在として組織や団体のトップにいる人を意味します。
現在でも王国はあるので、本当に「王」としても使う言葉です。
「統治する」【とうちする】
こちらも昔の貴族や王族の時代に使われていた言葉です。
今とは違い、地方貴族にはそれぞれの領土があり、リーダーとして管理する役割をしていました。
「統」とは取りまとめることですが、「牛耳る」程直接的に権力を振るうイメージはありません。
「支配する」【しはいする】
「牛耳る」に最も近い意味で、言い換えとして使われます。
上から圧力をかけて人を思い通りに動かす意味があり、元々与えられた役職ではなく下から上がってきてトップの座を得る人に使われます。
「牛耳る」はあまり響きの良い言葉ではありませんので、ビジネスで使うのは避けた方が良いでしょう。
人に対して使う時には、嫉妬やコンプレックスを感じさせない様に「応援しているよ」とひと言付け加えるとスムーズです。