「牛の歩み」の意味・類語・対義語【使い方や例文】
日本語には、色々な種類の言葉がありますが、その中でも比喩的な表現で物事を言い例える方法があります。
このような言葉の表現には、中国由来のことわざや四字熟語もあるのですが、動物や植物の動きも日常的な生活の場面で使うこともできます。
最近では、SNSなどインターネット空間で使うようなスラングやカタカナ語も流行っていますが、古き良き言葉を理解することで、私達の日頃からの会話の幅もかなり広がってくるはずです。
まだまだ私達の会話習慣の中で使えるような言葉やことわざが、埋もれているはずです。
ここでは、「牛の歩み」という言葉について触れて行きたいと思います。
この言葉は、日頃の生活の中で日常会話の1つとして使いこなしている人が少なくなっていますが、意味や使い方の用例を理解すると、より豊かな会話表現ができますので、是非、ここでマスターしてもらえればと思います。
目次
- 「牛の歩み」の意味とは?
- 「牛の歩みも千里」の意味
- 「牛の歩み」の言葉の使い方
- 「牛の歩み」を使った例文・短文(解釈)
- 「牛の歩み」の英語
- 「牛の歩み」の類語
- 「牛の歩みも千里」の類語
「牛の歩み」の意味とは?
「牛の歩み」という言葉は、疲れている文字の意味から見れば、「牛の歩き方」という意味になりますが、ここから転じて、「進み具合が遅いこと」という解釈ができます。
「牛歩(ぎゅうほ)」という表現もできるのすが、かなり前に国会の議会投票で、国会議員達が時間稼ぎのために投票する時にゆっくりと歩いた「牛歩戦術」という光景が国会中継で流れていたことがありました。
この時の「牛の歩み」は決していい意味で使われていたわけではありませんが、「時間をかけて進むペースが遅い」という意味は間違いありません。
- 「牛の歩み」の読み方
「牛の歩み」の読み方
「牛の歩み」の読み方は、「うしのあゆみ」となるので、決して難しくはありません。
「牛の歩みも千里」の意味
「牛の歩み」を使っていることわざで「牛の歩みも千里」というものがありますが、このことわざの意味は、「歩くのが遅い牛でさえ歩き続けていけば、やがては千里先の遠くまで行くことができるということ」という意味で、このことから、「どんな人でも毎日コツコツ努力を続けていけば、大きな成果を得られる」ということを指すようになりました。
言い換えると、「継続は力なり」という言葉と同じ意味になるのですが、日々、目立った成果はなくとも、少しずつ勉強を続けていくことで、いずれ大きな成功を手にすることができる」ということになります。
勉強においても、仕事においてもコツコツの地道な努力を重ねていくことが、非常に重要なことを言っていますね。
「牛の歩み」の言葉の使い方
「牛の歩み」の言葉の使い方を考えてみると、ゆっくりと物事を続けていく場合に使うことになりますので、日頃から努力を重ねている人を指して言う場合が挙げられるでしょう。
「牛の歩み」を使った例文・短文(解釈)
では、ここで「牛の歩み」を使った例文を見ていくことで、どのようなケースで利用できる言葉なのか理解できることと思います。
- 「牛の歩み」の例文1
- 「牛の歩み」の例文2
- 「牛の歩み」の例文3
「牛の歩み」の例文1
「いつも自家用ジェット機に乗って移動するアーティストが久しぶりに車に乗ると、まるで牛の歩みに思えるのではないか」
「自家用ジェット機」を所有している人と言えば、ハリウッドスターや世界的に有名なミューッシャンの人達がいますが、常にジェット機で移動する彼等が車で移動するとなると、時間が止まったように感じるかもしれません。
それだけ24時間365日多忙を極めている人種なのでしょう。
「牛の歩み」の例文2
「牛の歩みであっても亀の歩みであっても、遅くても一歩ずつ確実に進んでいることは間違いない」
ゆっくりとした進み方だと、どうしても進化・発展しているようには感じないのですが、着実に前に向かって進んでいることは確かなのです。
人類も長い年月を経て進化していますが、今この時を見ても何ら変化が見られないことと同じです。
「牛の歩み」の例文3
「コンピューターの処理能力に比べれば、人の思考スピードは牛の歩みといっても過言ではない」
インターネットが発達し、コンピューターもAIの時代で、人間の思考スピードではついて行けない程の速さで物事を処理します。
最近ではAIの進化でコンピューター自身に自我が目覚めて、人類に脅威を及ぼすというターミネーター的なことを危険視している人もいますが、人間の活動は「牛の歩み」であっても、創造性はやはり人間の長けていることではないかと信じたいですね。
「牛の歩み」の英語
「牛の歩み」の英語で表現すると、“snail's pace”となります。
「牛の歩み」の類語
では、「ゆっくりとしたペースで進む「牛の歩み」を他の言葉で言い換えるとどのような表現になるでしょうか?
- 「鈍足 ( どんそく )」
- 「埒が明かない」
「鈍足 ( どんそく )」
「鈍足」とは、「走り方が遅いこと」という意味になりますが、この言葉は、「牛の歩み」の直訳的な意味で解釈されます。
「埒が明かない」
「埒が明かない」は「らちがあかない」という読み方になりますが、元々は「埒が明く(らちがあく)」という表現で「物事の決まりがつく」、「かたがつく」といったような意味で使われていました。
しかし、現代の用法では否定表現の「埒が明かない」として使われることが多く、「埒」が進展の意味で使われるようになった由来は、加茂の競べ馬(くらべうま)で、柵が外されるのを待ちわびた一般客が言った言葉が始まりとされています。
ここで言う「埒」とは、「馬場の囲い」のことですが、「囲いがあかない」から「打開する方法がない」という解釈に変化していったと考えられています。
「牛の歩みも千里」の類語
では、「牛の歩みも千里」の類語も見ていくことにしましょう。
- 「雨垂れ石を穿つ」
- 「人跡繁ければ山も窪む」
「雨垂れ石を穿つ」
「雨垂れ石を穿つ」とは、「微力でも根気よく続ければ成就する」という意味があり、どんなに硬い石でも雨露に長い間打たれれば、穴が開くことから、このような理解に転じていったのです。
「人跡繁ければ山も窪む」
「人跡繁ければ山も窪む」とは、「毎日大勢の人が頂上を目指して押し寄せるとで、その重みで山頂がくぼむであろう」という意味から「小さな力でも積み重なれば大きな結果を残す」という理解に変化していきました。
これも「長い時間をかけて小さな動きを何れは大きな結果に結び付く」ということです。
現代社会の流れは、非常に時間の進み度合いが速くなってきたように感じれられます。
時にビジネスの世界では、1週間、1ヶ月の流れがあっという間に感じられるのですが、このような時代だからこそ、じっくりを腰を据えて「牛の歩み」を実践することが大切なのかもしれません。