「長きにわたり」の意味・対義語【使い方や例文】
言葉は色々なことを相手に伝えることができる素晴らしい意思伝達手段です。
特に日本語には、色々な表現がありますので、様々ばバリエーションの言葉を選択することができます。
古いことわざを引用してみたり、現代風のカタカナ語を交えて、ライトな感覚で表現することもできます。
その中でも人に時間の流れを情緒的に言い表すことができるようなものもありますので、そのような言葉を自分のボキャブラリーに中に取り込んでおくことで、会話や文章を書く時に役立つことになるはずです。
「長きにわたり」という表現もその1つかもしれません。
目次
- 「長きにわたり」の意味とは?
- 「長きにわたり」を分解して解釈
- 「長きにわたり」の言葉の使い方
- 「長きにわたり」を使った例文・短文(解釈)
- 「長きにわたり」の英語
- 「長きにわたり」を使った退職のあいさつ文の例文
「長きにわたり」の意味とは?
「長きにわたり」という表現は、身近な日常生活の中やビジネスシーンの場面でも、よく使われる言葉の1つですが、どのような意味があるのでしょうか?
「長きにわたり」とは、「長期間続くこと」、または「長い間連続するさま
などを意味する表現です。
時間の経過を認識することができる言葉としてとてもいい表現で、多くの人が使っています。
「長きにわたり」を分解して解釈
では、ここで「長きにわたり」を「長き」と「わたり」に分解して、それぞれの言葉の意味を解釈していくことにしましょう。
- 「長き」
- 「わたり」
「長き」
「長き」とは、「長し(ながし)」の連体形から来た言葉で、「長いこと」や「長い期間」を指しています。
「30年の長きにわたり勤務した」
「50年の長きにわたり営業続けた」
このような形で使われます。
「わたり」
「わたり」とは、「渡る/渡り」という漢字を使いますが、この言葉の意味にはいくつかの解釈があります。
「人・動物・乗り物が、川・海や道などを横切って向こう側へ移動する」や「間をさえぎるものを越えて向こう側に移る」、「橋や通路を通って向こう側に移る」、「海などで隔てられた地点へ移動する」、「外国へ行く」、「風などが、ある場所を通って吹く」、「あちらこちらと移る」、「世間の人々の間で暮らしてゆく」、「生きてゆく」などがありますが、「長きにわたり」における「わたり」の解釈としては、「長い年月において」が当てはまると思います。
「長きにわたり」の言葉の使い方
「長きにわたり」は、非常に長い時間の経過を示す言葉の1つとして使われていますが、この言葉を使う場面としては、長年経営してきた事業や店舗を終了させたり、退職時に使うことが多い言葉です。
「長きにわたり」を使った例文・短文(解釈)
では、ここで「長きにわたり」を使った例文を見てくことで、どのような場面で使用されるかを理解していくことにします。
- 「長きにわたり」の例文1
- 「長きにわたり」の例文2
- 「長きにわたり」の例文3
「長きにわたり」の例文1
「サマラン王は長きにわたって善政を敷いて王の模範と言われた」
国を治める王・国司などの為政者が長期間、善政を敷くことは、とても難しいことです。
治める前半生では善政を行っていたのに、人生の後半になると、急に悪政に変わっていくことは、過去の歴史を振り返ってみると、よく分かります。
長きにわたり祀りごとを行うことは大変なことでしょう。
「長きにわたり」の例文2
「秀吉は長きに渡って続いた戦国の世を終わらせたのである」
日本の歴史を勉強する時に、必ず出てくる人物が、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の3人です。
それぞれ、歴史の大きな転換点を築いていた人であることは言う間でもありませんが、時に秀吉は、長い間続いてきた戦国時代を終わらせて、全国統一を果たした功績は、とても大きいことが誰もが知っていることです。
ただ、1代で終わり、その後は、徳川政権に移っていったことをどのように評価するかは、人の考え方で異なってくるかもしれません。
「長きにわたり」の例文3
「伝説書の存在は古くから知られていますが、誰が編集したのかは、長きにわたって不明であった」
昔から世界の歴史を覆すような歴史書、伝説書は世の中にいくつも伝承されてきました。
私達が勉強してきた歴史の流れを一変するようなものまであり、「偽書」と呼ばれる異端的な歴史書も存在しています。
しかし、そのような記録は、誰がいつ、何の目的で製作・編集したのか、長い間不明だったという場合も少なくありません。
このような歴史書などが、歴史の表舞台から闇に葬られることもありますね。
「長きにわたり」の英語
「長きにわたり」を英語で表現するなら、“over a long period of time”、“known for a long time”などの文章で訳すことができます。
「長きにわたり」を使った退職のあいさつ文の例文
「長きにわたり」という表現は、退職する時のあいさつ文として使われることが多い表現です。
次の項では、具体的な退職のあいさつの中で、「長きにわたり」がどのような形で盛り込まれているかを見ていくことにします。
- 例文1
- 例文2
例文1
「さて私ことこのたび40年間勤務いたしました〇〇株式会社を定年退職いたしました。在職中は、公私にわたりひと方ならぬご懇情を賜り厚く御礼申し上げます。おかげ様で入社から今日までの長きにわたり 大過なく勤めることができ感無量でございます。改めてありがたく厚くお礼申し上げます。今後におきましてもあい変わらぬご厚情を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。本来ならば直接参上いたしお礼申し上げるべきですが、略儀ながら書中をもってお礼かたがたご挨拶申し上げます」
このような退職のあいさつは、本人が退職後に自宅にはがきや手紙で送られてくることが通例ですが、最近はビジネスではメールで送られてくることが多くなってきましたね。
伝達手段は変化してきたものの、感謝の意は変わることがありませんね。
例文2
「新卒で入社してから長年にわたり、多くの業務に携わり学んで成長していけたことをとても感謝しております。在職中は、御社とながきにわたるお付き合いをさせていただき深く感謝申し上げます」
退職のあいさつは、お世話になった社員や取引先の方々への退職の報告や感謝の気持ち、そしてこれからの活躍を応援するための大事なあいさつでもあります。
心を込めた一言をお世話になった関係者に送ることで、これからの次の人生の大きな励みにもなるはずです。
「長きにわたり」という言葉は、このように仕事で1つの活動に終止符を打つ時に使われる言葉でもあります。
私達は、多くの人々に支えられて仕事をすることができるので、退職する時だけでなく、1つの仕事を終える時でも、使いたいフレーズです。