「九牛の一毛」の意味・類語・対義語【使い方や例文】
日本語には色々な言葉や用語がありますが、それらの言葉を私達は、生活の中での会話や、ビジネスシーンでのコミュニーケションの中でどれ程活用できているでしょうか?
日本語には、昔から伝わることわざや四字熟語もあり、現在でも脈々と伝わる言葉もあります。
これらの日本語は、日頃のごくありふれたことでも、巧みな比喩的な表現で例えることもできるので、非常に便利な言葉でもあります。
しかし、これらのことわざの意味を正しく理解しておかないと、変な場面で使ってしまい、失笑を買うこともありますので、よく勉強をしておくことが大切です。
今回は「九牛の一毛」という言葉に注目して、この表現のことを説明していきたいと思います。
目次
- 「九牛の一毛」の意味とは?
- 「九牛の一毛」の語源や由来
- 「九牛の一毛」の言葉の使い方
- 「九牛の一毛」を使った例文・短文(解釈)
- 「九牛の一毛」の英語
- 「九牛の一毛」の類語
「九牛の一毛」の意味とは?
「九牛の一毛」という言葉を知っている人は、どのくらいいらっしゃるでしょうか?
この言葉は現代用語の中でも、普段の会話の中ではめったに使われることのないフレーズではないかと思います。
「九牛の一毛」とは、多数の牛の毛の中の1本の毛という意味から「多くの中のほんの一部分」のことを指している言葉です。
ここでいう「九」は、具体的な数を指しているのでなく、「たくさん」という意味を比喩的に例えている表現です。
そのようなことから、「ほんの一部」ということになるわけです。
この言葉の意味を理解できると、色々な場面で当てはめることができそうです。
- 「九牛の一毛」の読み方
「九牛の一毛」の読み方
「九牛の一毛」は、「きゅうぎゅうのいちもう」という読み方になりますが、決して難しい発音をしているわけではありませんので、ここでしっかりとチェックしておいてください。
「九牛の一毛」の語源や由来
「九牛の一毛」の語源や由来を見ていくと、この言葉は、中国南北朝時代南朝梁の皇族であった昭明大使という人によって編纂された詩文集で歴史家の司馬遷のことを記述した「報任少卿書」に由来しています。
その中で「九牛の一毛を亡うが若し」という記述があり、これが語源とされています。
「九牛の一毛」の言葉の使い方
「多くの中のほんの一部分」という意味を持つ「九牛の一毛」は、日常会話の中で、平易な意味で持ち言われることはほとんどありませんが、数多く存在しているものや環境の中で、一部のことを指す時に使える表現と思われます。
「九牛の一毛」を使った例文・短文(解釈)
では、「九牛の一毛」を使った例文を見ていくことで、具体的な活用シーンをイメージしていくことにしましょう。
確かに「九牛の一毛」を使える人はほとんどいないと言っても過言ではありませんので、ここでマスターして言葉のボキャブラリーを増やしていただければと思います。
- 「九牛の一毛」の例文1
- 「九牛の一毛」の例文2
- 「九牛の一毛」の例文3
「九牛の一毛」の例文1
「失敗する人の数に比べると成功する人は九牛の一毛に過ぎない」
これは、難しい受験や資格試験の場合に使えそうなフレーズかもしれませんね。
「失敗する人はたくさんいるのだけども、成功する人はごく僅かだ」という意味になります。
合格率が低い難しい問題においては、このような表現ができるかもしれません。
「九牛の一毛」の例文2
「こんな金を得たしても、九牛の一毛だ」
お金のことで、この言葉を使うことができるかもしません。
宝くじで100万円が当たったとしても、一生暮らすに必要なお金の足しにしかならない。
ここでは、「お金のことを考えると、ごく僅かなお金にしかならない」といったようなニュアンスで理解することができるでしょう。
お金はあればある程に使い道が出てきそうですが、多すぎるお金もまた、不要な存在かもしれません。
多すぎることで、人生を狂わしてしまうこともあるのですから。
「九牛の一毛」の例文3
「ロングヘアーを1cmくらい切ったのでは、九牛の一毛で気付かない」
確かに長い髪を多少切っただけでは、ほとんど気付かないということもあるでしょう。
しかし、女性が髪を切って、イメチェンすることは気のある男性に気づいて欲しいものです。
ちょっとした変化にも、配慮が必要な場面ですね。
「九牛の一毛」の英語
「九牛の一毛」を英語で表現するなら、“mere fraction”、“drop in the bucket”という表現が挙げられます。
「九牛の一毛」の類語
では、「九牛の一毛」の類語としては、他にどのような言があるでしょうか?
- 「断片」
- 「ごく一部」
- 「端くれ」
「断片」
「九牛の一毛」に似た意味を持つ類義度の中にある言葉では、まず「断片」という言葉が挙げられるでしょう。
「断片」とは、「切れ切れ(きれぎれ)になった一部分」や「切れはし」という意味がありますし、この言葉で物事を表現することの方が、日常的なフレーズして身近な存在かもしれません。
「彼の言っていることは、とても断片的で何を言っているのか、理解に苦しむんだ」
この時の「断片的」とは、話の内容が一部のことしか言っていないことから「彼」の言いたいことが全く理解できないということを指しています。
物事の内容を相手に理解してもらうためには、まず、全体の概要的な話をしていく必要があるのですが、「彼」のように「断片的」なことしか言えない人が少なくありません。
ビジネスにおいては、「報告・連絡・相談」の「報・連・相」が常識ですが、話し方を勉強してマスターしておくことが重要です。
「ごく一部」
「ごく一部」も「九牛の一毛」の類義語の1つとして挙げることができます。
意味としては、「全体に対して極めて僅かな部分」や「全体に対して極めて少数の部分」という意味となります。
「ごく」は「程度が甚だしいこと」、「一部」は「全体に対する部分のこと」を意味していますので、「限られた一部のこと」という意味で理解することになります。
これも「断片」のように、「全体を把握」することは難しいので、やはり「全体」を意識した話し方を重視しなくてはなりません。
「端くれ」
「端くれ」とは、「全体から折られる何かの小さな断片」という意味になり、類語としても使える言葉ですが、ビジネスシーンではあまり使われることがありません。
「九牛の一毛」という言葉を調べてみると、意味は簡単でも、このような表現のしかたがあるものだと改めて日本語の奥深さを再認識してしまいます。
とは言うものの、慣れない言葉を普段の会話の中で使えるようにすることは、決して簡単なことではありませんので、日頃からどのような場面で、どのような言葉が使えるのかを学んでいく必要があることを痛感します。