「一瀉千里」の意味・類語・対義語【使い方や例文】
「一瀉千里」は、読むのも書くのも難しい言葉です。
下手に使って間違ってしまったら恥ずかしいからと普段口にする人は少ないのではないでしょうか。
この機会に「一瀉千里」の意味や使い方を覚えておきましょう。
目次
- 「一瀉千里」の意味とは?
- 「一瀉千里」の由来
- 「一瀉千里」の言葉の使い方
- 「一瀉千里」を使った例文・短文(解釈)
- 「一瀉千里」の英語
- 「一瀉千里」の漢字のよくある間違い
- 「一瀉千里」の類語
「一瀉千里」の意味とは?
- 「一瀉千里」の読み方
- 「一瀉千里」の意味1
- 「一瀉千里」の意味2
- 「一瀉千里」の意味3
「一瀉千里」の読み方
「いっしゃせんり」と読みます。
「瀉」の読み方が難しいのですが、間違えない様にしましょう。
「一瀉千里」の意味1
「流れが非常に速いこと」
水の流れは極めて早く、千里の長さでも一気に流れて行ってしまう様子です。
ここから転じてものごとが非常にスムーズに解決していくことを意味します。
「一瀉千里」の意味2
「文章が上手な人のこと」
文章を書くのが上手で、スラスラとしかも読み手がイメージし易い様に書ける人を表します。
「一瀉千里」の意味3
「弁舌が達者なこと」
人前でもよどみなく喋れて、スピーチが得意な人を表します。
似た様な表現に「立て板に水」があり、立てかけてある板に水を流す様に、すらすらと話す人のことを言います。
どちらもスムーズな状態を「水」に例えているという共通点があります。
「一瀉千里」の由来
「一瀉千里」の由来は、漢字を分解して解釈すると分り易くなります。
「一」は文字通り「ひとつ」という意味です。
「瀉」は「水をそそぐ・流れ出る」という意味で、お腹をこわすという意味にも使われます。
「千里」は実際の千里ではなく、「千里の様に非常に遠い距離」という意味です。
「里」は昔の距離の単位で、「一里=約4キロ」でした。
千里とうと4千キロの距離で、車も飛行機もない時代には全く見当もつきません。
それだけの長い距離を水が流れていく様子を「一瀉千里」と表現したのが由来です。
「一瀉千里」の言葉の使い方
- ものごとがスムーズに終わった時に
- 人前でもすらすらと話せる人に対して
ものごとがスムーズに終わった時に
大変だと思っていたことを一生懸命集中してやっていたら、いつの間にかスムーズに終わっていた時に使います。
ものごとというのはタイミングが大切で、思い切って手を付けるとその勢いで分らないことを次々とクリアできる様になるものです。
自分ではそこまでスムーズに早く終ると思っていなかったので、後になって自分を褒めたくなるでしょう。
その時の自分の気持ちや勢いをまとめて「一瀉千里」と表しているのです。
人前でもすらすらと話せる人に対して
普段は明るくハキハキと喋れる人でも、いざ皆の前で改まって発言やスピーチをする時になるとしどろもどろになってしまうものです。
いつもよりも言葉遣いや起承転結に注意して喋ろうと思うと頭が混乱してしまう為です。
しかしそんな中でもすらすらと、要点を順序良く述べて話せる人がいます。
最初から最後まで流れが頭に入っていてきちんと整理されているのです。
この様な人に対して「一瀉千里」と言います。
自分では止められない勢いに対して
現代ではIT技術が発達して、地球の裏側にいる人とでもすぐにコミュニケーションが取れる時代になりました。
しかも一度に不特定多数の人と通信することが可能です。
良い評判なら良いのですが、悪い噂もあっという間に全国各地に広まるでしょう。
一度発してしまったら自分では止められない勢いに対して「一瀉千里」を使います。
「一瀉千里」を使った例文・短文(解釈)
- 自分では止められない勢いに対して
- 「一瀉千里」の例文1
- 「一瀉千里」の例文2
- 「一瀉千里」の例文3
「一瀉千里」の例文1
「今日が期限の課題レポートを夕べ必死でやったら一瀉千里で終わった」
会社に入ったらもう勉強をしなくて良いと思っていた人は、研修や出張などでレポートを書かされると知り憂うつになるでしょう。
嫌だと思って先延ばしにしていると、段々と記憶も薄れるし上司から催促されてしまいます。
期限ギリギリになって腹をくくって必死に作成したら、意外にはかどり一晩で終わらせた時の言葉です。
本人もかなりスッキリした気持ちになっていることがうかがえます。
「一瀉千里」の例文2
「彼が現れたら問題が一瀉千里で解決した」
どうにもできないトラブルが起きてしまい、あらゆる方面の人達が困り果てていた時に、その道に詳しい経験者が現れました。
トラブルというのは根本的な原因が分かっていれば意外にスムーズに対処できるものです。
てきぱきと処理をして各方面に連絡を入れ、あっという間に解決してしまったのです。
その手際の良さと知識の豊富さに周囲の人が感動してこの様に言ったのでしょう。
「一瀉千里」の例文3
「彼女は一瀉千里のプレゼンでコンペに勝った」
プレゼンテーションは元々海外の企業で重視されている方法ですが、最近では日本企業でも取り入れることが多くなりました。
何かの企画に関して提案者にプレゼンをさせて、その中から最も優れたものを採用するコンペも開かれています。
プレゼンで大切なのは聞き手を引き込んで納得させるスピーチで、ただ話すのではなく表情や間合いなどもコツになります。
プレゼンの時に堂々と自信に溢れ、スムーズに話す様子を称賛するフレーズです。
「一瀉千里」の英語
「一瀉千里」という熟語に対応する英語はなく「非常に急いでいる」という意味の英語で表現します。
“rush”、“swiftly”は「急いで」という意味の単語で、“He moves very swiftly. ”(彼は非常に素早く行動する)となります。
また、「一瀉千里」は水に関する言葉ですが、英語では“wildfire”(山火事)という言葉があります。
“His scandal spread like wildfire. ”(彼の不祥事は一気に広まった)となり、日本人にも使い易いのではないでしょうか。
「一瀉千里」の漢字のよくある間違い
「一瀉千里」の書き間違いとして多いのが「一潟千里」です。
何となくイメージで覚えてしまい「瀉」を「新潟」の「潟」と間違えない様にしましょう。
「一瀉千里」の類語
- 「一気呵成」【いっきかせい】
- 「電光石火」【でんこうせっか】
- 「一瀉百里」【いっしゃひゃくり】
「一気呵成」【いっきかせい】
「呵成」は「息を吹きかけて完成させること」で、「一気」が付くことで「一息で仕上げる」という意味になります。
「電光石火」【でんこうせっか】
火打石は非常に短い時間しか発光しません。
そのことから短時間で素早く行動することを意味します。
「一瀉百里」【いっしゃひゃくり】
「一瀉千里」と距離の違いはありますが、同じ意味の言葉です。
「一瀉千里」は難しい言葉ですが、意味を覚えると意外に簡単に使える言葉です。
何か達成してスッキリした気持ちになった時に口にしてみてはいかがでしょうか。