「素封家」の意味・対義語【使い方や例文】
人には色々な願望がありますが、その願いは人によって様々なものがあります。
常に美しくありたい人がいれば、理想的なパートナーとの出会いを期待している人もいるでしょう。
その中で最も多くの人々の共通している願いは、おそらくお金持ちになることではないでしょうか?
そう、誰でもお金があれば何でもできるということを身をもって知っているので、お金持ちになることを望んでいるはずです。
このような話題に触れる時、お金持ちに関係する言葉が出てきそうなのですが、その1つに「素封家」という言葉が出てきます。
この言葉は、あまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、お金に関するテーマに関心のある人ならば、雑学的な知識として知っていても損はないかもしれません。
目次
- 「素封家」の意味とは?
- 「素封家」の語源
- 「素封家」の言葉の使い方
- 「素封家」を使った例文・短文(解釈)
- 「素封家」の英語
- 「素封家」の対義語
- 「素封家」と各言葉の違い
「素封家」の意味とは?
「素封家」という言葉を普段の会話の中で聞くことはめったにないことでしょう。
ビジネスの世界でもほとんど耳にすることはないのではないでしょうか?
「素封」という言葉の起源はかなりは古く、「史記」に見ることができる語句です。
「素封」の「素」とは、「むなしい」、「無い」という意味で、「封」は、「封土」、「封禄」の「封」から来ています。
このことから、「社会的な地位や領土のこと」を言っており、言い換えると「素封」とは「社会的な地位や領土はないが、諸侯にも等しい財産があること」を指しています。
したがって、「素封家」というのは、「そのような人」のことで、「民間の大金持ち」ということになります。
いわゆる「昔からの財産家」や「その土地の名家」ということになるでしょう。
- 「素封家」の読み方
「素封家」の読み方
「素封家」は、「そほうか」という読み方になりますが、普段の日常的な会話の中では、まず使われることがないので、この機会に覚えておくこといいでしょう。
「素封家」の語源
「素」とは、「むなしい」という意味で、「封」は「封禄」や「封土」という意味があったことは、前の項目で説明した通りです。
すなわち、「社会的な地位や領地」という解釈ができるわけです。
「史記」から出て来ているとされるこの「素封」は、「領地や官位を持っていないが非常な資産を持っている者」という意味に解釈が次第に転じてきたのですが、現代に近づくにつれて、「家」をつけて「素封家」という形で「大金持ち」という意味で使われるようになったと考えられるのです。
しかも、これは明治時代になってから用いられるようになったこともあり、おそらく明治維新後に士農工商の階級が崩れ、財閥が生まれてきたことも起因しているのではないかと思われます。
- 「素封」の意味を深掘りする
「素封」の意味を深掘りする
「素封」という言葉を紐解くと、元々は中国から伝来した言葉の1つです。
「素」という漢字には、色々な意味や解釈がありますが、その中には「何もない」という意味合いから、「資産やお金をかけていない」という意味があったと考えられます。
これもちょっと古い言葉ですが、お金を全く持っていないことを言う「すかんぴん(素寒貧)」があるという言葉にも「素」が使われています。
一方の「封」は、「ふう」と発音する場合は、「封鎖」や「封筒」といったように「閉める」、「閉じる」という意味があります。
しかし、これが「ほう」という読み方になると、封建社会における「封禄」や「封土」などの君主や国主から与えられた「地位」、「領土」を指すようになってくるのです。
したがって、「素封 (そほう)」には「封土がない」という解釈につなかっていくのです。
「封土」がある人となると、すぐに思い浮かべるのは、貴族のような階級の人達のことでしょうし、世の大半の人は封土というものがない方が当たり前の時代でしょう。
そのようなことから、「封土がない」=「特別に地位も土地もない」ことを「素封」という少し変わった言葉で表現したのかもしれません。
「素封家」の言葉の使い方
「素封家」を使う場面は、かなりの資産家の家柄であったり、何かしらの関係があった時に使われる言葉ではないかと思います。
「素封家」を使った例文・短文(解釈)
では、「素封家」を使った例文を見ていくことで、どのような場面で使うことができるのかを理解していきましょう。
- 「素封家」の例文1
- 「素封家」の例文2
- 「素封家」の例文3
「素封家」の例文1
「素封家に生まれた彼の祖父は、戦後の厳しい世間の流れに揉まれて家財をつぶしてしまったのです。しかし、その息子の嫁も地方の素封家の生まれなのだったことから、彼は何とか平穏な家庭生活を営むことができたのです」
今では、あまりこのような場面や環境の人は、少ないかもしれませんね。
中流以上の感覚を持っている家庭が多いので、「素封家」という感覚は薄いでしょう。
しかし、明治から昭和前半は、維新を経て大きく古い時代か近代国家へと大きく変貌を遂げた時代です。
この時代に「素封家」が厳しい環境に遭って苦しい家庭環境に陥ることも珍しいことではなかったのかもしれません。
「素封家」の例文2
「彼は、帰国後、関西の素封家である後藤家の婿養子となったのだ」
ここで言う「彼」が、海外留学に行っていたのでしょう。
有望な将来を保証されているかのごとくに、留学で多くのことを学んだ後は、富豪の家の婿養子となって、さらに裕福な人生を送ることになったのです。
でも、このような例文でも、何となく一昔前のような雰囲気を漂わせている文章ですね。
「素封家」の例文3
「鳴海家は、網元や廻船問屋を営んでいる素封家です」
やはり、ここでも古い時代の文章の印象を受けますが、網元や問屋という仕事で、大きな財産を築いたのが「鳴海家」なのであれば、元々からの諸侯ではなく、「民間の大金持ち」という意味で理解するとができます。
「素封家」の英語
「素封家」を英語で言うなら、“a wealthy person、family”という表現になるでしょう。
「素封家」の対義語
「素封家」の反対の意味を持つ言葉としては、「庶民的な家柄」があります。
「庶民的な家柄」とは、「ごく普通の庶民感覚を持っている家柄」ということになるでしょう。
今でも「庶民的」という言葉を使うことがありますが、多くの家庭が普通の生活をしているので、「庶民的」や「庶民感覚」がごく当たり前になっているのではないかと思います。
「素封家」と各言葉の違い
「素封家」に近い言葉には、「金万家」や「億万長者」という言葉がありますが、これらの言葉と違いがあるのでしょうか?
- 「金満家」と「素封家」の違い
- 「億万長者」と「素封家」の違い
「金満家」と「素封家」の違い
「金満家」も「お金持ち」という意味がありますが、この言葉には、何かお金に対しての放漫さを感じてしまいます。
「お金が有り余り過ぎて仕方がない」
そんな感じさえ伝わってきそうです。
この言葉には、周囲からの妬みの含まれているような感じもしますので、あまり意味で使われるようにことがなさそうです。
これと比較して、「素封家」はまだ家風の良い印象を受けます。
「億万長者」と「素封家」の違い
「億万長者」も「お金持ち」ですが、「桁違いの高所得者」や、「富豪」、「資産家」というイメージがあります。
「億」という漢字が含まれているので、まさに「大富豪」といったところでしょう。
「非常に多くの金や財産を持っている人」ということになりますが、海外では、宝くじに当たったり、カジノで数億円レベルの配当金を稼いだりと、一夜にして「億万長者」になった人もいるので、「素封家」とも異なったニュアンスがありますね。
「億万長者」も「金満家」も「素封家」とは、明確な線引きがないので、使う場面で異なってくるのかもしれません。
今では、「素封家」という言葉を知っている人が少なくなったのではないかと思います。
しかし、現代社会では、インターネットを巧みに利用して1代で大きな財産を築いたり、事業を起こす人達も数多くいます。
そのようなことを考えると、誰もが「素封家」になれるチャンスがあるとも言えます。