「しっぽり」の意味・類語・対義語【使い方や例文】
日本語には色々な言葉がありますが、擬声語という独特な表現もあります。
「空がどんよりとしていて、今からでも雨が降りそうな天気だ」
このような表現は、日常会話の中でもよく出てくると思います。
これと同じような表現で「しっぽり」という言葉があります。
何故か「しっぽり」という言うと、少しばかり気恥ずかしくなってしまい、使うことにためらいを感じる言葉ではないでしょうか?
この言葉には、どのような意味があり、使われる場面などもきちんと理解して使っているかと思えば、必ずしもそうではなさそうです。
ここでは、この「しっぽり」という擬声語の内容を見ていくことにします。
目次
- 「しっぽり」の意味とは?
- 「しっぽり」の類語
- 「しっぽり」の言葉の使い方
- 「しっぽり」を使った例文・短文(解釈)
- 「しっぽり」の英語
- 「しっぽり」と「しっとり」の意味の違い
- 「しっぽり」を使った言葉と意味を解釈
「しっぽり」の意味とは?
「しっぽり」とは、色々な意味がありますが、「春雨にしっぽりとぬれて」といったような使い方ができることから、「しっとりと十分にぬれるさま」という意味があります。
その他に「しめやかに打ち解けたさま」という意味もありますが、特に「男女が情愛こまやかに戯れる(たわむれる)様子」という解釈もあります。
「しっぽり」も数ある動物の声や物事の音を言葉によって表した語である擬声語の1つですが、「大人の愛し合う男女がゆっくりと静かに飲んでいる」という場面を連想する人もいるのではないかと思います。
どこか色っぽくてロマンチックな雰囲気が漂っている意味の言葉でもあります。
お酒の席で、2人が身を寄せ合いながら、盛り上がるような会話がなくても、お互いの気持ちを理解し合った同士が、心から満足してゆっくり楽しむような時に使われる言葉でしょう。
まさに大人の世界を表現している言葉かもしれません。
「しっぽり」の類語
では、「しっぽり」の類義語としては、どのうな言葉があるでしょうか?
擬声語なので、この表現にピッタリの言葉を見つけることは以外に難しいのですが、「そぼ濡れる」という言葉が挙げられそうです。
この言葉の意味は、「びっしょりと濡れている様子」ということになりますにで、湿った感じのする雰囲気が、「しっぽり」という言葉の意味にかなり近い類語語となるでしょう。
「しっぽり」の言葉の使い方
「しっぽり」を使う場面を考えると、ワイワイ多くの人達が集まる賑やかすぎるような環境ではなくて、2人だけとか、1人で落ち着いて雰囲気のある時間か環境に対して使われます。
誰か決まった人に対して「しっぽり」と指し示して表現する場合に使われることはありませんので、「しっぽり」の意味から考えると、特定の人物に使用する言葉とは言い難い表現でしょう。
また、この言葉で注意することもあります。
「しっぽり」という言葉の意味の中に、「男女のエロチックな会話や行為」などのやりとりが含まれているからです。
カフェバーでお酒を飲むことだけではなく、特定の男女が「しっぽり」したというような意味で使った場合、その2人の関係が特別なものであるといったような意味合いになるので、聞く人によっては変な誤解を生んでしまうことにもなりかねません。
特に親しい友達同士の話だったなら、この「しっぽり」という言葉の使い方次第で間違った理解をされてしまうので、「しっぽり」の意味を正しく把握した上できちんと使うことができるようにしておくことが大切です。
「しっぽり」を使った例文・短文(解釈)
では、「しっぽり」を使った例文を見ていくことにしましょう。
- 「しっぽり」の例文1
- 「しっぽり」の例文2
- 「しっぽり」の例文3
「しっぽり」の例文1
「昨晩の雨で庭の芝生がしっぽりと濡れて、翌朝は日に照らされてキラキラと輝き、美しい光景でした」
この例文からでは、「しっぽり」が「しっとりと全体的に十分にぬれる」、「雨が静かに降る様子」など「水」についての意味でキレイな表し方をしています。
「しっぽり」の例文2
「私たちは先に帰るので、後は2人でしっぽり楽しんでください」
この時の「しっぽり」とは、男女の愛情に関わる「こまやかな様子」で「情が厚い、心がこもっている」ことを表している文になりますが、このように男女の情愛も表現する場合でも使われる言葉です。
「しっぽり」の例文3
「雰囲気の良い店で好きな女性と待ち合わせて、しっぽりと楽しむことができました」
この例文も男女の愛情をテーマにした「しっぽり」で、ロマンチックだったり、性的な描写も連想させてしまう表現です。
「しっぽり」の英語
「しっぽり」と英語で表現すると、「雨で濡れている様子」を例える場合、
“be wet through”、“be dripping wet”=「しっぽりぬれる」という形になります。
これが、「男女が打ちとけている様子」を表す「しっぽり」となると、“make gentle but passionate love”という英訳になってきます。
「しっぽり」と「しっとり」の意味の違い
「しっぽり」と似たような言葉で「しっとり」というものがありますが、「しっとり」という言葉は、人の身体の髪・顔・皮膚などに対して「しっとりしている」というように使われます。
「しっとり」の意味からすると、「しっとりした肌」と「しっかりと水分を含んで潤いのある肌」という理解ができますが、一方の「しっぽり」は、「しっぽりした肌」というような使い方はできません。
逆に「しっぽり飲んだ」というようにお酒を飲む場面で「しっとり飲んだ」と使うこともありません。
「しっとり」という言葉の意味は、特定の対象を指定しての使い方をする言葉なので、雰囲気や環境など特定しにくいような場合には使いません。
「しっぽり」を使った言葉と意味を解釈
「しっぽり」を使った言葉を詳しく見ていくことにします。
- 「しっぽり飲む」
- 「しっぽりと降り出した雪」
- 「しっぽり温泉に入る」
「しっぽり飲む」
「しっぽりと飲む」のイメージは、「落ち着いた雰囲気の中で静かに飲む」や、「気の置ける数人の仲間で落ち着いて話をしながら楽しい時間を過ごす」ような時に使います。
大人数の宴会や合コンなどの飲み会など、友人・知人と一緒に飲む時にはそぐわない表現でもあります。
「のんびりと考えごとや読書をしながら、静かに飲みたい時」や。
「何も考えずに会話もしないでゆっくりと飲みたい時」に「しっぽり飲みたい」という表現がマッチしますね。
このようなお酒を飲む理由は人様々ですが、静かに落ち着いて飲みたいという気持ちは時々あるのものです。
また、大人の男女が、居酒屋ではなく、バーなどの落ち着いた雰囲気のい場所で過ごしたり、飲んだ時でも、「しっぽりとした時間を過ごした」という表現をすることもあります。
中には、「1人で物思いにふけながら飲む」という時でも「しっぽり」が合いますので、うす暗いバーカウンターで、1人静かにグラスを傾けて飲むことのありますね。
このように忙しい仕事を終えて週末に、物思いにふけたい夜を過ごすのも大人の上手な時間の使い方かもしれません。
「しっぽりと降り出した雪」
「しっぽり」には、男女の愛情のイメージを連想させる言葉ですが、それ以外にも落ち着いて静かな様子という意味もあります。
「夜中にしっぽりと降り出した雪は、街路樹などを優しく包み込んで街に静寂が訪れたのです」
このような静寂な時の流れまでも印象付けることができる言葉です。
「しっぽり温泉に入る」
「しっぽり温泉に入る」というと、恋人達の「愛情のこまやかな関係や雰囲気」を連想させてしまいますが、家族や友人などで「しみじみ」と温泉につかり、美味しい食事とお酒でのんびり過ごす場合でも使える表現です。
「しっぽり」という言葉は、若い人々の間では使われなくなってきています。
その代わりに若者の間では、「しっとり」や「ほそぼそ」、「ゆっくり」を使います。
このように「しっぽり」を好む年代は、50代から60代以上の人達になってくるのでしょうか。
それても、この言葉に何となく趣のある雰囲気を覚えてしまいます。