「下賜」の意味・読み方・類語【使い方や例文】
「下賜」とは、「身分の高い人(高貴な人)が、身分の低い人に物を下さること」などを意味する言葉です。
「下賜」の「意味・読み方・類語・言い換え・使い方・例文と解釈・英語・対義語・下賜と恩賜の違い」などについて、詳しく説明していきます。
目次
- 「下賜」の意味とは?
- 「下賜」の類語や言い換え・似た言葉
- 「下賜」の言葉の使い方
- 「下賜」を使った例文や短文(解釈)
- 「下賜」の英語
- 「下賜」の対義語
- 「下賜」と「恩賜」の違い
「下賜」の意味とは?
「下賜」の意味は、「身分の高い人(高貴な人)が、身分の低い人に物を下さること」や「日本では主に天皇陛下が国民に記念品・褒美・勲章などを与えて下さること」になります。
「ある人から物を下賜される」ということは、そこに「身分・立場の上下関係」や「高貴な身分についての共通認識」があることを示唆しています。
つまり、「下賜」という言葉を使う時には「身分や立場の違いがない平等な人間関係」を想定することはできず、必ず「主君・天皇・貴族などの自分よりも身分や格式が高い存在」がいるということになります。
「下賜」とは「身分の高い人(天皇・国王・貴族など)」から「身分の低い人(家臣・臣下・一般国民など)」に、褒美や記念の意味合いを持つ物が与えられることなのです。
近世以前の古い時代には、功績のある家臣は主君から「土地(領地)・俸禄(ほうろく,給料に当たるお米等)」などを下賜されていました。
- 「下賜」の読み方
「下賜」の読み方
「下賜」の読み方は、「かし」になります。
「下賜」の「賜(し)」という漢字は、訓読みで「たまわる」や「たまもの」と読むことができます。
「賜る(たまわる)」という言葉には、「身分が高い人(高貴な人)から物を頂く・身分の高い人から物や禄を頂戴(ちょうだい)する」という意味があります。
「下賜」の類語や言い換え・似た言葉
「下賜」の類語・言い換え・似た言葉には、どのようなものがあるのでしょうか?「下賜」の類語・言い換え・似た言葉について、分かりやすく解説していきます。
- 「恩賜」【おんし】
- 「賞賜」【しょうし】
- 「天賜」【てんし】
「恩賜」【おんし】
「下賜」の類語・言い換えとして、「恩賜(おんし)」があります。
「恩賜」という言葉の意味は、「天皇・君主から褒美・記念の物を賜ること(頂くこと)」や「身分の高い人から与えてもらった賜り物(たまわりもの)」になります。
「下賜」の意味は、「身分の高い人が身分の低い人に物を下さること」なので、「恩賜」はほぼ同じ意味を持っています。
そのため、「下賜」の類語として、「恩賜」を上げることができるのです。
「賞賜」【しょうし】
「下賜」の類語・似た言葉として、「賞賜(しょうし)」があります。
「賞賜」という言葉の意味は、「その人の功績・貢献などを賞して物を与えること」や「その人の働きを評価して与えられたもの」になります。
「賞賜」も「下賜」と同じく、基本的に自分よりも上位の人から褒美の品や賞品を与えてもらうことになります。
そのことから、「下賜」に似た言葉として「賞賜」という言葉を指摘することができるのです。
「天賜」【てんし】
「下賜」の類語・言い換えとして、「天賜(てんし)」があります。
「天賜」という言葉の意味は、「天子(主に中国の皇帝)からたまわったもの・賜り物」や「天からのたまもの・生まれながらに授けられているもの」などになります。
日本では古代中国の儒教・王道主義に基づく「天子(てんし)」という言葉は用いられることがありませんでしたが、「中国の天子(皇帝)」は日本では「天皇」に相当します。
そのことから、「下賜」の類語として「天賜」を上げることができるのです。
「下賜」の言葉の使い方
「下賜」の言葉の使い方は、基本的に自分よりも身分が高い人(家柄・血統が高貴な人)から、褒美や記念としての物を与えてもらった時に使うというものです。
「下賜」という言葉は、自分自身が身分の低い人に物を与える時にも使うことができます。
しかし、原則として身分制度が廃止されている現代社会では、自分が物を人に与える立場(身分が高いという自意識)で、「下賜」という言葉が使える人はまずいないでしょう。
日本には伝統的権威・歴史的君主である「天皇・皇室」が存続していますから、「天皇・皇族(身分の高い人)から褒美や記念の物を賜る時」に「下賜された」という言葉の使い方をすることができます。
「下賜」を使った例文や短文(解釈)
「下賜」を使った例文・短文を紹介して、その意味を解釈していきます。
- 「下賜」の例文1
- 「下賜」の例文2
- 「下賜」の例文3
「下賜」の例文1
武勲を賞して天皇から下賜されたとされる金時計は、我が一族の誇りであった。
この例文における「下賜」は、天皇から自らの武勲を高く評価されて、褒美の金時計を送られたということを意味しています。
日本で「下賜」という言葉を使う時は、主に「天皇から物をたまわること」を意味することになります。
「下賜」の例文2
主君から下賜された領地と俸禄によって、その武士は豊かな暮らしを送っていた。
この例文における「下賜」は、封建主義の時代に主君から「領地・俸禄(給料としてのお米の石高)」を与えてもらうことを意味しています。
武士の主な収入源は、主君からたまわった土地とそれに紐づいた俸禄(石高)にありました。
「下賜」の例文3
尊王家として、褒美の記念品・勲章が下賜されるほどの立派な働きをしたいものである。
この例文における「下賜」は、天皇・皇室を尊敬して支持している尊王家の人が、天皇に褒められるような立派な仕事をして、「記念品・勲章」などを与えてもらいたいと考えていることを意味しています。
天皇(皇族)や王族などのロイヤルファミリーを支持する人にとって、「下賜された物」はとても価値がある素晴らしい物になります。
「下賜」の英語
「下賜」の英語は、“an Imperial gift”、“royal gift”やただの“gift”などになります。
「下賜する」の意味の英語として、“grant”や“bestowe”、“give”があります。
“This silver watch is an Imperial gift(royal gift). ”(この銀時計はご下賜品です。)
“I was granted a pension. ”(私は恩給・年金を下賜された。)
“A gold cup was bestowed on me by the Emperor. ”(私は金杯を天皇陛下から下賜された。)
「下賜」の対義語
「下賜」の対義語は、「献上(けんじょう)・上納(じょうのう)」や「拝領(はいりょう)」になります。
「献上」という言葉の意味は、「主君・天皇・貴人に物を差し上げること、高貴な人に物を奉ること」になります。
「上納」という言葉の意味は、「政府・官庁に金品を納めること」や「自分よりも上位の団体組織・個人にお金を納めること」になります。
「下賜」には「身分が高い人が、身分の低い人に物を下さる」の意味があるので、逆に身分の低い人が、身分が高い人に金品・物を差し上げる「献上・上納」は対義語になります。
上位者が下位者に物を与える「下賜」に対して、下位者が上位者から物を頂くという意味を持つ謙譲語の「拝領」も、対義語になっています。
「下賜」と「恩賜」の違い
「下賜(かし)」と「恩賜(おんし)」の違いは、どのようなところにあるのでしょうか?「下賜」と「恩賜」の言葉にはどちらにも、「身分の高い人(天皇・主君などの高貴な人)が、身分の低い人に物を下さること」や「高貴な身分の人から褒美・記念でたまわったもの」の意味があり、基本的に大きな意味の違いはありません。
ただし、「下賜」という言葉には「下」という漢字が使用されていることから、「恩賜」という言葉よりも「身分の上下関係・身分(立場)の違いの大きさ」が強調されているニュアンスがあります。
それに対して、「恩賜」という言葉には「恩」という漢字が使用されていることから、「下賜」という言葉よりも「天皇・主君から価値ある物を与えて頂いたというありがたい気持ち(恩義を感じている気持ち)」や「身分が低い人の高貴な人に対する尊敬・感謝」が強く込められているニュアンスがあるのです。
「下賜」という言葉について徹底的に解説しましたが、下賜には「身分の高い人(高貴な人)が、身分の低い人に物を与えて下さること」などの意味があります。
「下賜」の類語・言い換え・似た言葉としては「恩賜(おんし)」「賞賜(しょうし)」「天賜(てんし)」などがあります。
「下賜」という言葉について詳しく調べたい時は、この記事を参考にしてみて下さい。