「市井の人」の意味とは?類語、使い方や例文を紹介!
「市井さん」という名前の人は芸能人などにもいますが、「市井の人」ということばは聞いたことがない、という方もおられるでしょう。
ここでは「市井の人」ということばについてご説明していますので、「市井の人」ってなに?なんだっけ?という方はぜひ一読ください。
目次
- 「市井の人」の意味とは?
- 「市井の人」の類語や言い換え・似たことば
- 「市井の人」の言葉の使い方
- 「市井の人」を使った例文
- 「市井の人」の英語
- 「市井の人」の対義語
- 「市井」を使った言葉と意味を解釈
「市井の人」の意味とは?
「市井の人」は、街の中にいる普通の人や庶民を意味します。
「市井」とは、人が多く集まり住むところ、という意味になりますので、普通の住宅街などに住んでいる人が、「市井の人」ということですね。
なんとなく字からも意味がわかりますが、なぜ「井」という字が入るのでしょう。
- 「市井」の由来
- 「市井の人」の読み方
「市井」の由来
「市井」ということばの由来には諸説ありますが、その中のいくつかを紹介します。
一つは、井戸がある場所には人が多く集まり、家がたくさんあるからというもの。
一つは、そうして井戸の周りに人が集い、そこに市が立ったからというもの。
一つは、市街では道が井戸の「井」という文字に似た通り方をしているから、というもの。
どれが正確なところかはわかりませんが、これらの由来からも、「市井の人」が街中にいる普通の人のことを指す、ということがわかります。
「市井の人」の読み方
「いちいのひと」と読みたくなりますが、「しせいのひと」と読みます。
「井」の字を「せい」と読むのに抵抗があるかもしれませんが、この読みは「市井」だけの特別な読み方ではなく、塩井(えんせい)、油井(ゆせい)などの語句にも使われている読みになります。
「市井の人」の類語や言い換え・似たことば
「市井の人」ということばが聞き慣れない方には、なかなかうまく使いこなせないかもしれません。
類語表現や言い換えのきくことばを知っておくと、「市井の人」がどんな人なのかがわかり、使いやすくなるかと思いますので、いくらか挙げておきます。
- 「庶民」【しょみん】
- 「大衆」【たいしゅう】
「庶民」【しょみん】
「庶民」とは、世間一般のことや、特別な地位、財産、社会的特権などを持たない人のことです。
また、貴族や華族、時代によっては武士などに対して、一般の人々、という意味でも使われます。
「庶民的」「庶民階級」などのことばも一般に広く知られています。
「大衆」【たいしゅう】
「たいしゅう」と読みます。
社会を占めるうちの大多数や、大勢を占める人々を表し、またそれらに属する個人のことも意味しています。
昔は農民に属する人が多かったですが、時代とともに農業を含まない労働者が増えています。
とはいえ、それらを総括して「大衆」ということができるでしょう。
また、「大衆」と同じ字を書いて「だいしゅ」と読む場合があります。
その場合には多くの僧侶を表す仏教用語となりますのでお気をつけください。
「市井の人」の言葉の使い方
「市井の人が」「市井の人を」「市井の人として」「市井の人の」などの使い方があります。
また、「の」を除いて「市井人(しせいじん)」という言い方もあります。
どちらも民衆、大衆、市民、庶民、などと同じように使うことができます。
「市井の人」を使った例文
では具体的に、どのように「市井の人」が使われているのか、例文を見ておきましょう。
例文のなかで見ていくと文脈がわかるので、どんな語句を覚える、理解するときにも効果的です。
また、そのなかで自分の使いやすい使い方も見つかるでしょう。
- 「市井の人」の例文1
- 「市井の人」の例文2
- 「市井の人」の例文3
「市井の人」の例文1
「出産を期に芸能界を辞めたあとは、夫と郊外で市井の人として暮らしている」
ある種、芸能人というのは「市井の人」とはいい難い部分があるかと思います。
アイドルや女優でも、結婚や出産を期に芸能界を辞め、それきり家庭に入っている、という人はたくさんいますね。
このような人々は、顔を見かけると驚かれたり、喜ばれたりするのかもしれませんが、それでもやはり、生活が庶民的であるなどする場合には、「市井の人」ということができるでしょう。
「市井の人」の例文2
「市井の人を書いた文学作品は今も市井の人々に読まれ、共感を得ている」
「市井の人々」という語句も出てきました。
どちらかというと「市井の人」には個人的な要素がありますので、より多くの人々、というニュアンスを持たせる場合には、「市井の人々」とすると、より伝わる情報が多いでしょう。
「市井の人」の例文3
「無農薬野菜は、市井の人には手が届かないと思われがちだが、要所要所に取り入れることは可能かもしれない」
上流階級の人々とは、衣食住すべてが違っていると思いがちな「市井の人」ですが、それでも人脈や工夫をこらすことで、贅沢品とはいえ、生活の一部に組み込むことのできるものもありそうです。
「市井の人」の英語
「市井の人」は、街の人、市民、庶民、などと考えると、“citizen”や“townspeople”、“common people”などの英語が使えそうです。
また、“ordinary people”、“general people”なども使うことができます。
英文の中でどれがふさわしいか考えながら使うといいでしょう。
あまり英語が得意ではない、というときには、どれか一つでも覚えておくと、とりあえずの意思疎通はできそうです。
「市井の人」の対義語
「市井の人」が大衆や一般人を意味するのであれば、そこに属しない人や人々のことを示すことばが、対義語にあたります。
具体的には、貴族や華族、富裕層、有名人、著名人、などが対義語にあたるでしょう。
ほかにもいろんな表現があると思いますので、考えうるものを挙げてみると、「市井の人」の対義語がわかります。
「市井」を使った言葉と意味を解釈
「市井の人」という語句の意味や読み、使い方がわかったところで、「市井」という語句の幅を広げましょう。
「市井の人」というフレーズだけでなく、「市井」を使ったほかのことばも知っていることで、さまざまな表現につながります。
- 「市井の徒」
- 「市井の賢人」
- 「市中の山居」
「市井の徒」
「しせいのと」と読みます。
「徒」は多くの人々、という意味がありますので、「市井の徒」はやはり、一般大衆や普通の人、という意味で使われます。
しかし、「市井の人」と違い、「市井の徒」には、街中にいるならずものや、不良のことを意味する場合もあります。
どちらの使い方がされているのか考える必要がありますね。
「市井の賢人」
「しせいのけんじん」と読みます。
「市井の埋れ木」なんていうことばもありますが、「市井の賢人」とは、世間一般での知名度は低いが、とても優れている人のことを意味します。
世間や世界で認められている優秀な人もいますが、地元では有名、会社では有名、といった、人知れず優秀な人というのはあちこちにいるのではないでしょうか。
「市中の山居」
「市井の山居」または「市中の山居」といいます。
千利休などの茶人が、都会の中に、都会らしさから離れ、自然を感じることを目的につくった空間や、そこへ通ずる道のことをいうようです。
「山居(さんきょ)」とは、山の中に住むことや、そのための住居を意味することばですので、それを「市井」=街中につくる、もしくはつくられた空間のことをいう、というのがわかります。
「市井の人」とは、普通の人、一般人、庶民などを意味することばだとわかりました。
だれしも一度くらいは、有名になりたい、大金持ちになりたい、などと夢見たことがあるかもしれませんし、そうなった人も実際にいるでしょう。
ですが、「市井の人」には「市井の人」の幸せがあり、その中で人生を謳歌することは、かけがえのない時間です。
今を尊び、今を慈しむ心があると、毎日が輝いていきそうですね。