「奇貨として」の意味とは?類語、使い方や例文を紹介!
「奇貨として」という言葉が出てきた時、正しい解釈の仕方が理解できていないと、その意味を読み間違えてしまいます。
文章を正しく読み取るため、また適切な場面で「奇貨として」を使える様に言葉の意味を学んでいきましょう。
目次
- 「奇貨として」の意味とは?
- 「奇貨として」の類語や言い換え・似た言葉
- 「奇貨として」の言葉の使い方
- 「奇貨として」を使った例文と解釈
- 「奇貨として」の英語
- 「奇貨として」の語源や由来
- 「奇貨」を使った言葉と意味を解釈
「奇貨として」の意味とは?
「奇貨として」に使われている「奇貨」とは珍しい品物や貴重な品物、掘り出し物といった意味がある言葉です。
「奇貨として」といった用法で使用すると「利用する事によって利益を得られそうな機会や事柄」といった意味になります。
特に一見役に立たなそうだったり、価値がなさそうなものが後々利用価値のあるものになったり、利益をもたらしてくれる事も「奇貨として」の意味です。
しかし、裁判などの判例などの中に登場をする「奇貨として」というのは、「~を(悪いように)利用して自分にとっての利益を得る(犯罪をする)」といった悪い意味としても使われる用法でもあると覚えておきましょう。
- 「奇貨として」の読み方
「奇貨として」の読み方
「奇貨として」はそのまま「きかとして」と読むものです。
奇は、音読みが「き」しかありませんから、迷うことなく読むことが出来ます。
同じように貨も音読みは「か」のみですから、その意味や使い方を知らなくても多くの人が間違えずに「きか」と読む事が出来るでしょう。
「奇貨として」の類語や言い換え・似た言葉
奇貨の類語は、貴重品や珍品、珍しい機会といったところでしょう。
では、「奇貨として」といった用法で使用した場合は、似た意味の言葉はあるのか考えてみてください。
「奇貨として」は使用されるシーンによって基本的な意味は同じであっても、言葉のニュアンスは異なるものです。
その点にも注意しながら、似た意味の言葉を見ていく事にしましょう。
- 「(事柄や機会)~を利用して」
- 「千載一遇」
「(事柄や機会)~を利用して」
「奇貨として」は「~を利用して」という言葉に置き換えて使用する事が出来ます。
例えば「その不幸な立場を奇貨として」は、何の価値もないと思われる不幸な立場を利用して利益を得るといった様な意味となる文です。
これを「その不幸な立場を利用して」に言い換えても大筋の意味は変わらないでしょう。
「千載一遇」
千載一遇は、割りと頻繁に利用される四文字熟語なので、その意味も浸透しているでしょう。
「めったにない機会、またとない好機」といった意味があり「奇貨として」にも同様の意味が含まれています。
千載とは千年という意味で、遇は出くわすという意味がありますから「千載一遇」は、千年に一度の機会に恵まれるという意味になるのです。
「奇貨として」の言葉の使い方
「奇貨として」は「利用することで利益を得られそうな事柄や機会」という意味ですが、どちらかというと上手く使うというよりも、目的達成の為に自分に都合よく使うといった便宜的なニュアンスを含んだ使い方をする事が多くなります。
また、明らかに利用する価値のあるものよりも、一見役立たなさそうなものに対して使うほうが用途としては相応しいでしょう。
他には、裁判などの判決で犯罪のきっかけや理由を陳じる際に使われる事もあります。
その場合は、「~につけこんで」「~をいいようにして」といった意味で使われるものです。
「奇貨として」を使った例文と解釈
「奇貨として」は使い方が難しそうに見える言葉なので、敬遠してしまう人も多いでしょう。
しかし、使う事を避けていれば、いつまでも使いこなせる日はやってきません。
例文を見ながら、使い方の練習をしていきましょう。
- 「奇貨として」の例文1
- 「奇貨として」の例文2
- 「奇貨として」の例文3
「奇貨として」の例文1
「私の父は不景気を奇貨として、株の投資で大儲けをしたそうです」
不景気いうと、経済的に苦しくなるというイメージがあります。
しかし、この例文では「不景気を奇貨として」とあるように、景気の悪化を利用して安く株を購入し、結果的に大儲けをする事が出来たのです。
このように滅多にない機会を利用して利益を得るといった時に「奇貨として」は最適な言葉だと言えるでしょう。
「奇貨として」の例文2
「藤原道長は、帝の病を奇貨として幼帝の摂政となり政治の実権を握った」
この例文では「奇貨として」が、天皇の病を自分が政治の実権を握る為に利用して摂政となったという事を表現しています。
ですから、上記例文の「奇貨として」は天皇の病を自分の私欲の為に利用するという事になるので、あまり良い印象を与えないでしょう。
このように使い方で、印象が悪くなる言葉でもあるのです。
「奇貨として」の例文3
「過疎化によって空き家が増加したことを奇貨として、無料で家を貸し出し村外から人を呼び集める事に成功した」
日本の田舎では、年々進む過疎化が深刻な問題となりつつあります。
村外から移住者を呼び込むにあたって、問題のひとつでもある空き家を無料で貸し出すといった逆転の発想で人を集めに成功している地域もあるのです。
この例文では、村の利益の為に利用するという良い意味合いで「奇貨として」が使われています。
「奇貨として」の英語
奇貨としてに相応しい英語として“take advantage of ~”を紹介します。
“take advantage of ~”には「~を上手く利用する」という意味と「便宜的に利用する」「弱みにつけこんだり悪用する」といった意味がある英文です。
「奇貨として」も、またとない機会や事柄を利用する事という良い意味合いと、つけこんだり悪用するといった意味合いがある言葉になります。
ですから“take advantage of ~”は、どちらの意味合いの「奇貨として」にも対応することが出来るのです。
「奇貨として」の語源や由来
まず「奇可として」を分解して考えてみる事にしましょう。
「奇」という漢字は「めずらしいもの」「普通ではない」「思いがけない」「あやしい」等といった意味があります。
そして「貨」には「価値のあるもの」「宝」「お金」の意味がありますから2つの漢字の意味を合わせると「奇貨」とは「価値のある珍しいもの」が語源になっていると考えられるでしょう。
価値ある珍しいものは、簡単に手に入るものではありません。
ですから「奇貨として」は、価値のある珍しいものは利用する事で利益を生むという意味を持つのです。
「奇貨」を使った言葉と意味を解釈
「奇貨」は「奇貨として」だけではなく、もちろん別の使い方もあります。
どのような言葉と一緒に使用されるものなのでしょう。
「奇貨として」以外にも、こんな言い回しや言葉があるという事を紹介していきましょう。
- 「奇貨居くべし」
- 「奇貨居可」
「奇貨居くべし」
「奇貨居くべし」とは呂不韋が由来となった言葉になります。
「珍しい機会(事柄)や貴重な機会(事柄)は、絶対に逃さず利用するべきだ」「一見不要なものに見えても、珍しい物や貴重な物は手元においておくと後から利用する事が出来る」といった意味があります。
人質となりまわりから冷遇されていた王族の子楚を見て呂不韋は「これ奇貨なり、居くべし」と言い、彼に援助を惜しまなかったそうです。
その後、秦王となった子楚(荘王)から丞相に取り立てられたのです。
「奇貨居可」
この読み方は「きかきょか」となり、意味は「奇貨居くべし」と同じになります。
「奇貨居くべし」すなわち「奇貨居く可し」を全て音読みにしたのが「奇貨居可」という四文字熟語なのです。
当然、由来も史記の呂不韋からきていますが、一般的には「奇貨居くべし」の方を使います。
奇貨とは「珍しい、貴重な物や機会」の事で「奇貨として」の用法だと「利益を得る為にめったにない貴重な物や機会を利用する」といった様な意味になります。
また、裁判用語として使用される事もある等、様々な表情のある面白い言葉のひとつだと言えるでしょう。