「安堵の表情」の意味とは?類語、対義語や使い方、例文を紹介!
安堵の表情という言葉をご存知でしょうか。
新聞や雑誌などで目にする機会のある言葉ですが、正確な意味、用法をご存知でしょうか。
安堵の表情という言葉の意味や用法をご紹介します。
目次
- 「安堵の表情」の意味とは?
- 「安堵の表情」の類語
- 「安堵の表情」の言葉の使い方
- 「安堵の表情」を使った例文・短文・解釈
- 「安堵の表情」の英語
- 「安堵」の対義語
- 「安堵」と「安心」の意味の違い
「安堵の表情」の意味とは?
安堵の表情という言葉の意味を解説します。
まず、辞書で安堵という言葉と、表情という言葉の意味を引いてみると、以下のように書かれています。
- 安堵:気がかりなことがなくなり、心が落ち着くこと。
- 表情:心の中の感情が顔など外部に現れたもの。
安堵の表情という言葉はこの二つの言葉が組み合わさったものですので、以下のような意味になります。
気がかりなことがなくなり、心が落ち着いた感情が顔など外部に現れたもの。
つまり、心配していたことや不安に思っていたことが消え去って安心した心が、表情に現れたものが安堵の表情というわけですね。
ところで、安堵という言葉、見慣れない「堵」という文字が使われていますが、一体どういう意味の言葉なのでしょうか。
これはとても古い言葉で、鎌倉時代には別の意味で用いられた言葉です。
主君が家人に対して、土地の所有権や領有権、知行権を与えることを充行といいます。
この充行を確認、または承認することを「安堵する」と言いました。
ここから読み取れるように、昔は「堵」つまり「垣」の中で財産が守られている状態を表した言葉でした。
そこから主人から家人への法的な承認にこの言葉が転用されました。
そして現在に至っては、主に精神的な安心状態を表すために使われるようになりました。
言葉の意味や使われ方は時代によって変化していくものですが、そのことがよくわかる一例ですね。
- 「安堵の表情」の読み方
「安堵の表情」の読み方
安堵の表情という言葉の読み方を確認しましょう。
これは「あんどのひょうじょう」と読みます。
「安堵」という言葉さえ読めれば問題ありませんね。
「安堵の表情」の類語
安堵の表情という言葉の類語ですが、これは慣用句ではなく形容詞と名詞のセットなので、今回は「安堵」と「表情」の類語を別々に確認してみましょう。
- 安堵の類語その1 安心
- 安堵の類語その2 人心地
- 表情の類語その3 顔ばせ
安堵の類語その1 安心
安心という言葉は安堵という言葉の類語です。
読み方は「あんしん」ですが、これは江戸期からの読み方で、それ以前は「あんじん」と読んでいたそうです。
この安心という言葉、日常生活でも目にする機会が非常に多い言葉ですが、実はこれは儒教用語からきている言葉です。
そもそも安心とは、安心立命という言葉の略語です。
これは儒教において、天命を知り心を平安に保つこと、またはその身を天命に任せいつも落ち着いていることを表す言葉です。
後には仏教でも使われるようになり、達磨が初めて用いたそうです。
安堵の類語その2 人心地
人心地という言葉は安堵という言葉の類語です。
意味を辞書で引いてみると、「緊張が解けてほっとしたくつろいだ気持ち」と出てきます。
「人心地が付く」という形で耳にすることの多い言葉ですが、語源はご存知でしょうか。
これは元々は仏教用語でした。
仏教では平らで穏やかな気持ちが保たれているのが人という存在です。
恐怖や不安から解放され、人としての穏やかな状態を取り戻すことを「人心地が付く」と表現するようになりました。
今では仏教用語とも知らずに何気なく使われている言葉ですが、語源を知るとなんとも奥深いですね。
表情の類語その3 顔ばせ
顔ばせという言葉は表情という言葉の類語です。
心ばせという言葉は耳にすることも多いですが、顔ばせという言葉はあまり接する機会がありません。
この言葉、漢文の訓読体でよく用いられた言葉です。
よく目にする「顔つき」という言葉は和文に用いられました。
「ばせ」という言葉は走るという意味の「馳せる」からきています。
「安堵の表情」の言葉の使い方
安堵の表情とは人間の外見を表す言葉ですから、人の表情について形容したいときに用いるのがよいでしょう。
人間の表情を形容するときはどうしても主観的になりがちなので、この言葉を用いる際には配慮が必要になります。
自分にそう見えるからといって、むやみやたらに他人の表情を「安堵の表情」などと形容するのはやめておいた方がよいでしょう。
この言葉を使うなら、過去の自分を振り返った文章を書く時や、安心していると確実に分かる人について書くときに限った方が無難です。
「安堵の表情」を使った例文・短文・解釈
ここでは「安堵の表情」という言葉を用いた例文を紹介します。
- 「安堵の表情」の例文1
- 「安堵の表情」の例文2
- 「安堵の表情」の例文3
「安堵の表情」の例文1
「乱気流から抜けたパイロットは安堵の表情を浮かべた」
難しい局面を抜けて安心したパイロットの表情が表された例文です。
「安堵の表情」の例文2
「安堵の表情を浮かべた彼は、この後に起こる災難のことなど知る由もないのであった」
こちらは安心した男が安堵の表情を浮かべています。
「安堵の表情」の例文3
「無事に出産を終えた母は安堵の表情から一転、感極まり泣き出した」
出産という一大事を終えて安堵の表情を見せた母の表情の急変を表しています。
「安堵の表情」の英語
安堵の表情を英語で表現するにはどうすればいいのでしょうか。
これは単純に“look of relief”とすればよいでしょう。
“look”は見た目という意味で、“relief”は緊張、苦痛などを取り除くという意味です。
よってこの二つを前置詞ofで繋げばよいでしょう。
「安堵」の対義語
安堵の対義語をご存知でしょうか。
いくつかご紹介いたします。
- 不安
- 心配
- 緊張
不安
不安という言葉は文字通り安堵の対義語です。
心配に思ったり、恐怖を感じたりすることを表します。
他にも、恐怖とも期待ともつかない、漠然とした気味の悪い心の状態や、悪いことが起こるかもしれないという予感も表します。
人は様々なことをきっかけに不安を感じますが、そのようなとき、人は無意識に自分の体を触ってしまうそうです。
心配
心配という言葉は安堵の対義語です。
「しんぱい」も「こころくばり」も正しい読み方です。
意味は、何か起きるのではないかと気にかけること、不安がること。
心を配って骨を折ること。
いろいろと世話をすること、と辞書に書いてあります。
自分のことを考えるのか、相手のことを考えるのかによってニュアンスが異なる言葉ですね。
緊張
緊張は安堵の対義語です。
この言葉は精神にも肉体にも使われることがあり、精神に使われる場合が特に安堵と対立する場合でしょう。
心身両面に使える緊張という言葉ですが、元々は力学や生理学で使われていた、物体が張り詰めた状態を表す言葉でした。
ジャネやフロイトなどの心理学者が、人間の心理を把握しようとして研究する過程でこの言葉を転用し、今では普通に使われるようになりました。
「安堵」と「安心」の意味の違い
安堵と安心の違いを考えます。
まず語源としては、安堵は「垣の中に守られている」という状態から発生した言葉なので、物質的なイメージが先だって成り立った言葉です。
対して安心は儒教、仏教で用いられた「穏やかで平らな心」という概念を表す言葉なので、目ではとらえられないものから成り立った言葉です。
成り立ちからしてまるで違う二つの言葉が似た意味を示すのは非常に興味深いですね。
また、安堵という言葉は鎌倉時代には政治用語として用いられましたが、安心という言葉にそのような話は聞きません。
どちらかと言えば安堵は物質的、安心は精神的な言葉と言えるかもしれません。
安堵の表情という言葉について学んできました。
意味や用法をしっかり押さえられたかと思います。
日常でも目にする機会の多い言葉ですので、正確に使えるようにしておきましょう。